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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2023年7月の記事一覧

読書と時間を忘れかけている現代

こんにちは、いつものマッシ(@massi3112)です。 ずっとネットに繋がっている日常生活。AIによって数秒でなんでも作られてしまう、一つの検索で自分の手には世界が広がる。待たずに、苦労せずに、手に入りたい「こと」「知識」「体験」はすぐできることが当たり前になっている。そんな中で時間が経つ大切さが薄くなると感じている今日この頃だ。 現代の自分は早く進むことがすべてで、「時間と言葉」を育てる手間はある意味、邪魔な存在に変わり始めていた。時間をかけて多くのコトバを読んでいる

サイゼリヤのミラノ風ドリア

 人は、他の人と関係を持ちながら生きているので、死ぬと、自分の意志と関係なく理不尽にその関係性が終わってしまう。  その、理不尽さや唐突さになんとか理由をつけて納得しようと思うのだが、理由をつけてもさみしいものはさみしい。  そしてそのさみしさはだんだん小さくなっていくように見えて、ある日唐突に、嵐のようにやってきてしまうのだ。  母が亡くなってしばらくして、ひとりでサイゼリヤに行った日に、恥ずかしいほどに泣いてしまった。  外食が好きな母は「サイゼリヤのミラノ風ドリアを食

読まれて完成

漫画読んでくれてありがとう こんにちは。 前回の記事でも書いたようにジャンプ+に読み切りの漫画が掲載されました。 以前連載していたマンガの終了から実に7ヶ月ぶりの掲載、ということでたくさん読んでもらえてうれしかったぜ! もちろんそのあいだも趣味でTwitterに漫画載せたりとか同人誌出したりとかはしてたわけですが、それらはやっぱりどうしても基本的に知ってる人が読んでくれてるわけで、こうしたメディア上に載ることでぜんぜん縁のない人に読んでもらえるのは格別の喜びがあるしうれしい

【追記絶対読んで!!!!】「跳ばないこと」を誓った日/水樹奈々「LIVE PARADE」福島初日

2023年7月22日。僕は推しである水樹奈々夏のライブツアー「LIVE PARADE」福島公演に参加していた。 会場であるいわき芸術文化交流館アリオス大ホールは、どうやら普段は主にクラシックコンサートなどで使用されるハコのようで、大変落ち着いた雰囲気の素晴らしい会場だった。 僕はその最上階である4階席で、「おいホール公演は水樹奈々との距離が近いって言ってたやつ誰だ、大嘘じゃねえか!」などと文句を垂れつつも、開演をいまかいまかと心待ちにしていた。 さて。 突然シモの話で恐

上田豪さんに名刺デザインをお願いしたら、人生を全肯定できた話。

タイトルと矛盾するが、いま自分のズボラをとても情けなく思っている。 上田豪さんに名刺を作ってもらったことをnoteにアップしようと思っていたら、書いている途中で、私より後に作ってもらった坂上薫さんがnoteを先に公開された。薫さん、やること早っ。 ちなみに坂上薫さんとは、昨年11月の稲田万里さん著『全部を賭けない恋がはじまれば』のイベントをご一緒させていただいてからのご縁だ。 名刺の話の前に、人にはどうでもいいことで恐縮だが、私は昨年からアカウント名を「タカハシ ユカンチ

創作は、頭の中にある内が、一番輝いてる。

漫画家のかっぴーです。「左ききのエレン」など描いてます。 たまに「漫画家の仕事漫画を描いて欲しい」と言われるんですが、私もいつか描きたいと思っています。ただ、あれはキッチリ売れた漫画家が描くから重みが出るものなので、まだ10年早いと思っています。 ジャンプ+版の「左ききのエレン」が終わる少し前くらいに、作画のnifuniさんとお茶してる時に「いつかnifuniさんと漫画家の漫画を描きたい!」と言いました。漫画家としてキッチリ売れる事ができたら、改めて御願いしに行こうと思い

ママになって知る、父の“なんでもない日の贈り物”の意味

実家で暮らしていた頃、甘いものを食べない父が、よく仕事帰りにコンビニのスイーツを買ってきた。ふわふわのクリームが挟まれたケーキや、フルーツがちょこんと乗せられたプリン、モンブランが鎮座したパフェ。買ってくるのは母・妹・私の3人分だけだった。 「お父さんは食べないのに申し訳ないな」と子どもながらに思いつつも、家族のためだけに買ってこられたデザートは素直にうれしかった。どうしてなんでもない日にわざわざ買ってきてくれるのか不思議でならなかったが、最近になって父の気持ちが少しわかっ

幻の焼肉屋

鎌倉には、幻の焼き肉やさんがあった。 鎌倉駅を降りると、ほどなく「小町通り」という名前のにぎやかな通りがある。 観光客目当てのおみやげやさんやお食事処が ひしめきあう場所だ。 小町通りをまっすぐに歩いて前方、左の角に傘やさんが見えてきたら、そこを左に曲がる。 まっすぐに歩いていると、ちいさな踏切が見える。 その踏切の真ん前にその「焼き肉や」さんはあった。 ちいさな白い建物はすこしすすけたマッチ箱のようでふるぼったい引き戸のドアがぴっちりと閉まっていた。 そこにはそっけのないの

ベビーカーを押していると、世界がちょっぴり優しくなる

散歩が趣味だ。 お金はかからない、健康にいい、周りの風景を楽しめる。いいことづくしだ。 子供が産まれて、ベビーカーを押しながら散歩するようになった。 雨の日以外は毎日のように散歩しているため、息子の足は日に焼けた。ちぎりパンが、こんがりパンになった。 散歩の内容も、少し変化した。 まず隣の駅まで歩けなくなった。途中で授乳室がないため、休憩できないからだ。 代わりに近所をぶらぶらして、スーパーに行って、帰ることが多くなった。 2つ目に、道を選ぶようになった。 1人だった

この道で合ってる、ずっと

弟の良太には、死んだはずの父が見えている。 とか言うて。 2年前の、春。 岸田家は限界も限界、玄界灘で小舟にしがみつきゲソを噛みながら、インド洋を目指しているような有様だった。 母は感染性心内膜炎で生きるか死ぬかの手術の入院、ばあちゃんは認知症がいよいよ、じいちゃんの葬式を準備しながら、わたしは実家を留守番しつつ働いていた。 生まれてこのかた規則正しかった生活リズムが大胆にジャズりはじめた良太は、ばあちゃんの作る醤油煮(醤油は思うてる倍)もあいまって、みるみるうちに

あの頃神宮球場にいたわたしへ

この前の日曜日、神宮球場のパノラマルーフ席に初めて座った。 ネット裏の、屋根がある席です。 長いこと、もう何十回も神宮球場に来ているのに、生まれて初めてネット裏に座った。 これがもうびっくりするほど良くて、ほとんど感動といっていいほどだった。 ネット裏から見る神宮球場の光景に、わたしの30年はなんだったんだ!!と愕然としたほど。 あなた、こんな顔をしていたの? 神宮球場よ。 中学生のとき、かれこれ30年ほど前にヤクルトスワローズの大ファンになった。 当時は野村ID野球の