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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2022年4月の記事一覧

生理前のアラサーがわかめと自分を比較したり湯婆婆になったりする話

夕飯をつくろうと思ったら、キッチンの作業台の上、シンクギリギリ崖っぷちのところで、ふえるワカメが増えていた。 昼に買ったわかめを瓶に補充したときに、ひとかけ落としたのだろう。 作業台に落ちていた、たった一滴のしずくを吸って、ふえるワカメは増えていた。 いつものわたしなら、「え、一滴でこんなに増えるの!?!?すごーい!!」と言って、早速同居人に報告しているだろう。 けれど、今のわたしは生理前なので、「わかめもこんなに成長するのに…一体わたしは何をしているのだろう…」と、わかめ

スキマスイッチがライブを新発明した夜のこと

2021年、12月22日 水曜日。 日本武道館。 スキマスイッチが一日限りのライブ 「Soundtrack」を開催する日だった。 前にnoteで書いたとおり、演出に漫画が使われる。 その漫画の原案をわたしが書かせてもらった。 漫画と歌とライブ。 前代未聞のコラボレーションである。 中ではリハーサルが、外ではグッズ販売が始まっている。 関係者入り口の前で、わたしはしばらくボーッとしていた。 あの、ほんと、これはもう、 怒られるのを承知で言いますと。 行きたくなかっ

赤字だらけのガイドブック

あの日、私はへとへとで乗り込んだ氷河急行の座席にもたれ、車窓を眺めていた。 目の前を流れていくスイスの雄大な自然、牧歌的な家々、青空にそびえる山並みは、もちろん言葉で言い表せないほど美しいはずなのに、この時の私にはその一つひとつに感動できるほどのHPがきっと残っていなかったのだと思う。 当時、私は主に海外ガイドブックの制作を担っている編集プロダクションに勤めていた。 年に数回、割り当てられた国の新年度版のガイドブック作成のために現地に出向く。 訪れたことのない国々を自分の足

こんな商品があったらいいなを描いてみた #虚構スケッチ

ありそうでなさそうな、でもあるかもしれない!というアイデアを絵にした「虚構スケッチ」。思いついたときに描いて、Twitterに投稿しているのですが、ストックが溜まってきたので、noteでもまとめて放流します! お寿司好きのためのティッシュケース やる気ないイヤホン兄弟 ツイサブレー ツイハイボール(Aoitory) ホールケーキを食べた気になる、合わせ鏡ケーキ皿 スパイ専用乾電池 3ヶ月で6つの作品が溜まりました。ぼくにとって虚構スケッチは息抜きでもあり、仕事で

後悔というものの大きさ

 高校がキライだった。  3年間の記憶はすべて灰色。一日もはやく抜け出したかった。  卒業式の日は晴れ晴れしていた。やっとオサラバできる。  社会に出て、ぼくはテレビ番組のディレクターになり、映画監督になった。ぼくは才能のある演出家ではないが、何十年かその世界で生きてこられているのは、多少は向いているのかもしれない。  しかし世の中には、大人になってわかることがたくさんある。ぼくが今日ここにあるのは、あの高校の3年間があったからということに気がついた。卒業から20年も

継続するコツ 第1回 継続に才能は全く関係がありません

 何かを作る。僕はこの行為こそ、全ての人間に必要な楽しいことだと思ってます。実際に、みんな何かを作っているはずです。僕は本を書き、絵を描き、歌を作ってますが、それ以外にも、セーターを編み、陶芸をし、ガラスを吹き、織物を織り、先日はフェルトでフグの人形をつくりました。畑で野菜も作ってます。そこで収穫した野菜を使って料理することも大好きです。みなさんもそうやっているはずです。実はみんな何かを作っているんですね。お金になるならないは関係ありません。そんなことどうでもいいです。作って

やってきたことがまとまりだす年齢

取材後の雑談のなかで、いい話を聞いた。 70歳を過ぎて、それまで趣味で集めてきたコレクションの稀少性と価値が認められた収集家の方が、「若いころからいろいろやりたいことをやってきた、それが少しずつまとまってかたちになりはじめたのが50歳ごろだった」と語っていた、という話。 聞かせてくれたのは本人ではなく、その方と親しくしている、わたしと同世代のクリエイターの方だった。 今年50歳になるわたしは、そのとき、目の前から遠くへとまっすぐに伸びていく、光に照らされた美しい道が見えた

令和4年4月4日4時44分に四ツ谷駅で切符を買う人が2人もいた

「2022年2月22日 22時22分」ではなく、「令和4年」の方を選んだのはなぜか。 知りたいか? よろしい。ナンシー関さんの話をさせてくれ。 平成最強のコラムニストナンシー関さん。 1980年代後半から2000年代にかけて活躍したコラムニストである。 多数の著書で、主に芸能人やテレビ番組に関する批評を展開。人の本質を鮮やかにえぐり抜く観察力と表現力は、読んでいてただただ痛快だった。人生で初めて体験した「面白い文章」だった。 さて、ナンシーさんにはこんな著作もある。