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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2021年7月の記事一覧

焼きナスで愛を感じたお話

先日唐突に、「焼きナスが食べたい!!」って猛烈に思ったので、ナスを買ってきて焼きました。 焼きあがって、少し冷ましてから一心不乱にナスの皮をむきむきしていたのですが、ここでハッて気が付きました。 あれ、これも愛だなって。 以前こちらの記事で触れたのですが、 要約:自分を本当に大切にできているか(愛せているか)疑心暗鬼になって不安になったお話 なんだ、私ってば「ちゃんと自分を愛せているじゃない」って安心しました。 そう思ったポイントとして、 ①焼きナスが食べたいと

10年、節目の片道切符

アメリカに行く。大それた野望も、勝算も、企みも、あったわけじゃない。無鉄砲だった。ただ「何かを変えなければ」と焦りだけがあった。駆け抜けた20代の終わり。住み慣れた地元の街。積み重ねてきたものをすべて投げ出そうとするぐらいには追い立てられていた。 何から?それがうまく言えたらよかった。秘密を抱えた家族との会話とか、景色に染み付いた失恋の記憶とか、何を得ても褪せない飢餓感とか。私にしか、いや私にすら理解できない。海外へ渡る理由になるはずもない。 もちろん、長年温めてきた純粋

新しいタオルケットとは、まだ心の距離を感じる。

私はタオルケットがほしい。 けれど、私がほしいタオルケットの入手は困難を極める。 私はただの新しいタオルケットがほしいのではない。 使い古されたくたくたのタオルケットがほしいのだ。 おばあちゃんの家にあるような、薄ピンクだったり薄水色だったりするやつ。 あのヨーロピアンともアラビアンともつかない謎の模様が繰り返されている柄の、ちょっと端っこがほつれかけているくらいのタオルケットがいい。 東京に上京してくる際に私は実家から、もういつから使っているかわからないようなタオルケッ

エッセイ/深夜の

久しぶりにガンプラを作った。小さなSDガンダム。二頭身のかわいいやつだ。購入したのは1ヶ月ほど前なのだが、疲れていたのかなかなか組み立てる気になれなく、ようやく先日の深夜に組み立てたいという衝動にかられ、取り憑かれたかの様にガンプラを組み立てた。 深夜にガンプラを作るという子供の頃ならば確実に母親に怒られるであろう行為を、堂々と自室の蛍光灯を全開にして組み上げるのは大人の特権である。はじめはガンダムのテーマソングをガンガンにかけながら作業していたが、組み立てが複雑になるにつ

母のことが知りたい|聴こえない母に訊きにいく|五十嵐 大

 すべてを詳らかにされるのが公正中立な世の中だとしても、それでもぼくは、この世には明らかにされなくていいこと、知らなくていいことがあると思っている。友人がついた嘘、パートナーの過去、家族の傷跡。大体の場合、それらを「知る」という行為には痛みを伴う。  でも、「これだけは知るべきではないか」と個人的に思っていることがある。ぼくの母が抱えている、過去だ。  母は耳が聴こえない。生まれつき聴力がない、先天性の聴覚障害者である。彼女はろう学校時代に、同じく耳が聴こえない父と出会い

厳格な父と「チキンフィレサンド」

1年に1回はケンタッキーの「チキンフィレサンド」を食べます。べつにすごく好きというわけでもありません。ただ疲れているときや、元気がないときに、ふと食べたくなるのです。 そして食べたその一口で、一気にとある過去の一点に引き戻されます。 それは小6の1月、中学受験で埼玉のある学校の入試を終えたあと、迎えに来た父と一緒に車中で「チキンフィレサンド」をほおばる景色です。 このとき初めてケンタッキーの「チキンフィレサンド」を食べました。 ケンタッキー独特の油の匂い、マヨネーズの

無敵の用務員

ある人と同じモノを使っているのに、それが全く違うモノに見えた事はあるだろうか。 昔の通販なんかは、わりとよくあった。 中でも一番ひどかったのはトランペット。 映像ではすごくカッコよく演奏しているのに、3日でキミもこうなれるってガイジンのおっさんは言ってたのに、家に届いて箱を開け20年が経過した今でも、マウスピースすらまともに鳴らない。 親父にあげたら、2日で鳴った。 完璧にその人のコピーなんか出来ない事はわかっていても、真似をしたくなるのは、きっとそこに憧れがあるからだ

「伝わり方の濃縮還元ジュース」 - あなたが本当にその言葉を伝えたい人は、誰ですか? -

時は遡って4月ごろ。 所属するコミュニティの勉強会にて、 とあるカメラマンさんの書いているブログの話を聞いた。 そのブログは世界でたった2人しか見られない、 お子さんの成長記録を綴った非公開のブログ。 見られるのは彼と、その奥さんだけ。 「いつか、自分の子供たちにそれを見せてあげたくて」と 彼は言っていた。 私はその頃自分に起こった出来事を書いたnoteが偶然にもバズって、 世の中から見たら誰でもない私のnoteを 5万人近いの方が読んでくださって、 メディアの方から取