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浦和レッズ 記事まとめ

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#明治安田生命J1リーグ

マーク原則の綻び

守備において『マーク』は欠かせない要素の一つである。相手にゴールを決めさせない、パスを出させない、ターンさせないためにはマークが重要になってくる。攻撃側は相手のマークを上手くかわしながら攻める必要があり、マークを外したり、マーカーとのデュエルに勝つ必要がある。 今回は浦和vs福岡の試合から良い攻撃をするためのマーク原則の攻略法についてまとめていく。 緻密な設計の3-4-3プレスまず試合の流れの中で浦和の4-3-3のビルドアップに対して、福岡の3-4-3のプレスという構図が

【対策の初手は良し】J1リーグ 第4節 湘南vs浦和 雑感【喧嘩が弱い】

サッカーを愛する皆様、こんにちは。 J1リーグも代表ウィークを前に4節を消化しました。 結果はご存じの通り派手な打ち合いの末に4-4のドローとなりました。 X(旧Twitter)ではバカ試合と呼ばれるほどド級のオープン合戦となった試合ですが、試合の流れを追いながらどのタイミング、どの挙動がこんな展開を招いてしまったのか考えてみたいと思います。 強い気持ち。 スタメン 浦和のスタメンは前節で負傷したショルツに代えて佐藤瑶大が入った以外は札幌戦と同様。湘南はシーズン開始当初は

【解禁された流動性】J1リーグ 第3節 札幌vs浦和 雑感【演習問題のその先は】

サッカーを愛する皆さん、こんにちは。 とりあえず5節は頑張って書いていこう、ということで今シーズン進めていますが折り返しの第3節がコンサドーレ札幌のホームで行われました。 現地参戦された方々は大雪で道中大変だったかと思います。 同じく浦和レッズもお世辞にも良い状態とは言えないピッチコンディションの中、内容では圧倒と言えるゲームを披露した一方、普段よりも消耗する形で勝利を収めました。 ピッチと同じく負傷者も多くチーム状態が良いとは言えないコンサドーレ札幌相手とはいえパフォーマン

2024シーズン、J1リーグ第2節を終えて(Concept Map #1)

はじめに ここまで各クラブとも2試合を消化し、連勝クラブなし。連敗クラブが一つという波乱の序盤戦となっています 順位表 まずは順位表から確認しましょう。  負けなしは鹿島、広島、G大阪、町田、柏、そして福岡の6クラブ。いずれも勝点4で並んでいます。以下、勝点3(1勝1敗)が7クラブ、勝点2(2分け)が2クラブ、勝点1(1分1敗)が4クラブとなり、勝点0(2敗)が名古屋となっています  いまだ得点がないクラブは、札幌と名古屋の2つ。そして、注目すべきは失点が0のクラブが福岡

【始まりましたね】J1リーグ 第1節 広島vs浦和 雑感【まだ始まったばかり】

サッカーを愛する皆さん、こんにちは。 とうとう、浦和レッズの新シーズンが始まりましたね。 今シーズンも書き残せるだけ浦和レッズの試合の感想を書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ヘグモ新監督を迎えての初戦、悔しくも敗戦となってしまいましたが試合の展開の概要とその中でも一定の構造や関係性を見出しながらこの試合を振り返ってみたいと思います。 スタメン 浦和のスタメンは大方の予想の通りアンカーにグスタフソン、IHに小泉と伊藤敦樹が並ぶ形。左ワイドに関

【浦和レッズ】一年の振り返り(雑感ベース)【お疲れさまでした】

はじめに 京都麩って美味しいですね!!!(挨拶)  サッカーを、そして浦和レッズを愛する皆様こんばんは。  今年も残り数時間となりました。大晦日のご馳走を平らげて慌てて書いています、くろだです。  ・・・と書いていたら色々あって年を越してしまいました。  みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。  一昨年は書けたか覚えていないのですが、今回は雑感ベースでも書き残しておかねばならぬと思い筆を取ることにしました。  2023シーズンはACLのタイトルを取ることが出来た

モダンサッカーのセオリー

2-3 ルヴァンカップ決勝と同じカードとなった浦和レッズ対アビスパ福岡の一戦は福岡が逆転して勝ちきった。 この試合では両チームがシーズンを通じて積み上げたもの、そして積み上げられなかったものが顕著に現れた試合だった。 埋められないスペース基本的にサッカーのどのフォーメーションでも埋められないスペースというものが存在する。福岡は5-2-3の守備ブロックからトランジションで前に出ていく型を武器に今シーズンは飛躍の一年となっている。 そんな福岡の5-2-3のブロックに対して浦

『個』は組織を破壊する

0-0 真っ赤に染まったカシマスタジアムは試合開始前には両チームのサポーターによる大声援が鳴り響いていたが、試合終了直後は静寂に包まれた。 この試合は両チームの守備意識の高さが目立った一方で、攻撃面での物足りなさも垣間見えた。そんな両チームの攻防についてまとめていく。 リソースの割き方この試合で鹿島の攻撃を牽引したのは紛れもなく垣田だろう。垣田は鹿島の攻撃のコンセプトにおいて欠かせない存在となっている。 鹿島は4-4-2のシステムでFW垣田が最前線でターゲット役になった

ポジショナルプレーの引き出し

2-0 守備時には4-4-2を基調とする浦和対柏の対決は後半から柏の守備ブロックを攻略した浦和が勝利した。 両チームともに守備時には4-4-2のブロックを作り、コンパクトな守備陣形で守っていた。柏はなぜ前半上手く浦和の攻撃に対応することができていたのか。浦和は後半にどのような変化を加えて攻略したのかまとめていく。 1.5人分の働き浦和の狙い 浦和は柏の4-4-2の守備ブロックに対して3-1-5-1のような立ち位置を取って前進を試みた。基本的にボランチの岩尾が両CBの間に

『釣り出す』と『ピン留め』の使い分け

1-1 優勝争いに望みを繋ぐために勝点3が必要な浦和と残留に向けて勝点3が必要な横浜FCの対戦は互いに勝点を分け合う痛み分けとなった。 横浜FCの5-2-3で激しく人に付いて行きボールを刈り取る守備が前半は目立ち、後半は浦和がスペースを意図的に作ったことで主導権を握った。今回は横浜FCの5バックで『人』を捕まえる守備とそれに対する浦和の『釣り出す』と『ピン留め』を使った打開策に注目していく。 【5-2-3】の『人』を捕まえる守備横浜FCの守備は『人』を基準にマークをする。

10人での戦い方

1-3 今シーズン4回目の対戦となるガンバ大阪対浦和レッズの『ナショナルダービー』は意外にも10人と劣勢になった浦和がチャンスをモノにして勝利を手に入れた。 この試合で明暗を分けたのが1人多くなった時のガンバの振る舞いと1人少なくなった浦和の振る舞いだろう。ガンバは+1のアドバンテージを上手く利用できない場面が多く、逆に浦和は-1になったことでリスクを負う場面と割り切って守るところでチームの意識が統一されていた。今回はそんな両チームの振る舞いも含めて振り返っていく。 ゾー

プレスにおける解明度

0-1 最下位で勝点を何としてでも積み上げたい湘南と、優勝争いに喰らいつくために勝点3が欲しい浦和の対戦は、ホセカンテの芸術的なゴールで浦和がアウェイで貴重な3ポイントを得た。 この試合のチャンスシーンは両チーム合わせてもさほど多くはなかった。これは両チームが相手の良さを消したとも捉えることができると共に、良さを出せなかったと捉えることもできる。今回はなぜそういった試合になったのかまとめていく。 プレス時のタスクとトリガー湘南はプレス時には5-3-2からIHのプレスによっ

幅を取る選手の高さとプレーエリアの関係性

1-0 2週間前に両チームが天皇杯で対戦した際には名古屋が浦和を上回り3-0で勝利したが、この試合は浦和が名古屋の攻撃を凌いで勝点3を手に入れた。 ゲームのポイントはワイドで幅を取るウインガーの立ち位置だった。ゲームの文脈もあるが、後半から名古屋がハーフコートゲームで優勢になったのも名古屋のWBと浦和のSHの立ち位置が関係している。 2種類のハイプレス名古屋のマンツーマンプレスと浦和のサリーダ 試合の入りが良かったのは浦和。名古屋のマンツーマン守備に対して、CFのホセカ

【4-4-2】ミラーゲームの争点

2-0 優勝争いに食い込んでいくために重要なゲームとなったセレッソ大阪対浦和レッズはホームのセレッソ大阪が前半の2発で完勝。 この試合、お互いに4-4-2(4-2-3-1)を採用したミラーゲームとなったが明暗を分けたのがライン間とSBの攻撃参加だった。 vs縦スライドの打開策4-4-2を基本の守備陣形としているチームに対して、最終ラインを3枚にして相手の2トップに対して+1を作ってビルドアップすることは定番となっている。 そして、最終ラインが3枚になった場合に守備側のチ