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「SNSを活用してアスリートのキャリアをサポートをしたい」五勝出拳一さん #noteクリエイターファイル

noteクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、12月26日に著書『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を発売する五勝出拳一(ごかつで けんいち)さん。

現在、五勝出さんは株式会社Reviveにてアスリートのマネジメントをしています。マスメディアが強かった時代は肖像権を売ることで収益を得ていたアスリートたち。SNSの出現によりアスリートの価値の高め方に様々な可能性が生まれている今、多競技のアスリートに寄り添い、SNS周りのサポートや新しい事業づくりをしています。

noteでは、アスリートのセカンドキャリアをテーマに多くの記事を書いており、俯瞰的にアスリートの現状や問題点を様々な切り口から深掘りしていく内容に、アスリートやスポーツビジネス界隈から共感を得ています。

中でも「アスリートが考えるべき3つのバリュー」は反響の大きかった記事の1つ。これからのアスリートが生き残るために必要な価値が、分かりやすくまとまっています。実際に、自分自身の強みが分からなかったり、引退後のキャリアに悩むアスリートから多くの反響を得たnoteとなりました。

noteで発信を続ける五勝出さん、そもそもどうしてアスリートのセカンドキャリアに焦点を当てるようになったのか、そして、noteを使って発信をしようと思ったのでしょうか。そのキッカケや発信を続けることへの想いをお聞きしました。

引退したからこそ感じた、アスリートのポテンシャル

元々、ご自身もサッカーをしていた五勝出さん。ですが、足首の調子が良くなく、東京学芸大学に所属していたタイミングで現役引退を決意しました。現役は引退したものの、大学サッカーの企画や運営側に入るようになります。

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「大学生のときに、大学日本代表のチームのマネージャーをやっていた時期がありました。そのチームにいた選手たちが、Jリーグに入ったり、日本代表に選ばれたりしています。また、僕の弟はFC東京のユースチームのキャプテンだったんですが、彼は怪我でプロを諦めました。そうやって、選手のことを間近で俯瞰的に見ていくなかで、どうしたら彼らの価値を世の中に伝えることができるだろうかと考えていました」

大学卒業後、コミュニケーションやプロモーションなどを学んでいたことや、スポーツを軸に仕事をしたいという想いから、電通グループの電通テックに入社した五勝出さん。バリバリに働きつつも、アスリートのキャリアやSNSの支援をしたいと思いはじめます。ですが、会社では副業が許されておらず、何もできず悶々としていた時期がありました。

「アスリートのキャリアにおいては、マーケティング次第で選手個人でもできることがたくさんあると思っていました。副業が禁止だった分、ずっとインプットは続けていたのですが、あるときから自分でも発信してみようという想いが生まれました。アスリートのSNS発信をサポートしたいのであれば、自分がSNSを使えるようにならなきゃダメだなと考えるようになったんです」

アスリートのSNS発信をサポートしたいからこそ、自身がまず発信するところからはじめたという五勝出さんは、Twitterやnoteを使って発信をはじめます。

「アフィリエイトや広告がないクリーンな世界観があると感じたので、noteだったら続けられるかなと思って書いてみました。そしたら、スラスラと書きやすかったのでこれはいいなと思いました」

そんな五勝出さんの記念すべき初noteが「セカンドキャリアをアップデートしよう」。自身が感じていたアスリートのセカンドキャリアについての問題提起と、これからのアスリートが築くべきキャリアの形を図と一緒に分かりやすく説明しています。

このように、アスリートのセカンドキャリアをテーマに発信をはじめるにあたって、どのようなことを意識していたのでしょうか。

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「書きはじめた当初、実はえとみほさんに拡散してもらえたらと思って書いていたんです(笑)。えとみほさんはマーケティングの専門家。アスリート× SNSに関して書きながら、えとみほさんのツイートをnoteに載せて、それをTwitterでメンションして見てもらうようにしました」

実際に、えとみほさんに拡散してもらえるようになり、多くのアスリートやスポーツビジネス界隈に発信が届くように。noteで発信をすることで、サッカーにとどまらず様々な競技のアスリート、そしてアスリートのキャリアをどうにかしたいと考える人から声がかかるようになったと言います。

「Jリーグで働いている先輩たちが発信を見てくれていて、イベントに登壇させてもらう機会もありました。 FC東京の若手向けに発信の重要性について話をしてほしいという依頼をもらうことも。そうやって一歩二歩と進んでいって、気がついたら会社を辞めていました(笑)」

五勝出さんのnoteでの発信から転職までのお話はこちらから。

セカンドキャリアに悩み続むアスリートたちをサポートしたい

会社を辞め、アスリートとの直接的な関わりが本業となった五勝出さん。近い距離でアスリートと関わる中で、アスリートが次のキャリアについて悩んでいる様子を実感しているそう。

「アスリートは競技の軸で突き抜けているけど、競技の軸から外れるとどこに軸足を置いていいのか分からなくなってしまうケースが多い。僕からしたら、集中力とか大事な試合までの調整とか誰にとっても見習うべきものを持っているはずなのに、アスリート本人はスポーツの軸以外のところではそれができないんじゃないかと思っている。そうやって悩んでいるアスリートからは、スポーツ以外で何が好きなのか分からないとか、何に興味があるか分からないという質問もよくされます」

SNSを使う以前に、何を発信したらいいのかが分からないアスリートも多いという事実。そんな中でもSNSの発信をすることで可能性が広がるアスリートとはどんな人なのでしょうか。

「SNSを使うことで可能性の広がるアスリートは、何かやりたいことがある人。SNSをやらなくてもいいアスリートも確かにいるとは思うのですが、うまくSNSを使って彼らの活動と掛け合わせるとすごい効果を生みます」

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「アスリートは、引退後に何が残るかを嫌でも考えます。そのときに、メディアのようにずっと持ち運びできるものを持つことは本人にとっての資産になるはず。しかも、知名度があるタイミングにSNSを伸ばしておくことができたら、次のフェーズにも移行しやすくなります。ただ1対1ではサポートに限界がある。そこで、SNSを使いたい多くのアスリートたちの何か力になれないかと考えるようになりました」

アスリートがSNSを使うための教科書を

12月26日、「アスリートのためのソーシャルメディア活用術」を出版することになった五勝出さん。アスリートとSNSをテーマにしながらも、SNSマーケティングを広い領域から捉えられるようにしたというこの一冊の出版は、どのような経緯で決まったのでしょうか。

「SNSを使いたくても、クラブやファン、スポンサーなどの関係者が多いことからリスクを気にして発信できないアスリートが実は多いんです。なので、ガイドラインとしてこれを読めば最低限抑えるべきポイントがまとめてあるものがいいかなと。アスリートがSNSを活用して発信することが自分の資産になるように、アスリートのSNS発信の教科書を目指して本をつくりました」

元々は、えとみほさんにオファーがあった今回の出版の企画。ですが、アスリート視点でSNSマーケティングの話を書くことができる人が欲しいと、五勝出さんに白羽の矢がたったといいます。noteをはじめた当初、読んでほしいとアピールしていたえとみほさんからの直々の指名。本の構成や内容は、どのように決めていったのでしょうか。

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「この本を書くとなったとき、僕とえとみほさんだけで書くよりも色んな人に関わってもらって広い領域をカバーできる一冊にした方がいいのではと意見が出ました。なので、SNSマーケティングのトップランナーであるホットリンク執行役員CMOの飯髙悠太さんにお声がけしたんです。彼も元々サッカー小僧で、高校選抜でプレーしていたほど。スポーツに想いがある方と一緒につくれたらいいなと思い、お願いしました。また、プラットフォーム側の視点から、Twitter Japanのスポーツマーケティング担当の北野達也さんにも携わっていただきました」

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「構成としては、SNSマーケティングに関することが網羅的に書かれています。SNSマーケティングの基礎知識から炎上対策、SNSの活用事例など。アスリート以外が読んでも面白い内容です」

同世代アスリートのセカンドキャリアを後押ししたい

今回の本の出版のように着々とチャンスを掴んでいる五勝出さん。今後の自身のキャリアで、目標にしていることはあるのでしょうか。

「今の目標としては、僕の同世代の選手のキャリアや人生を少しでも後押ししたいです。ひとりでアスリートのキャリアの課題をすべては解決するのは難しいですが、彼らが引退しはじめるであろう1,2年の間に後押しできる仕組みがつくれたらと思っています」

トップ選手でも30歳前後で引退を迎えることが多いというアスリートたち。現在27歳の五勝出さんの同世代の選手たちは、まさに今がセカンドキャリアと向き合うタイミングでもあります。

「アスリートは競技以外のスキルセットがない。なので、いきなりビジネスの世界に飛び込んでも活躍しづらいんですが、その現状をセカンドキャリア問題としてネガティブに語られることが多い。アスリートには本来蓄積されてきたものがあるので、ネガティブにアスリートのキャリアを捉えるのではなく、ポジティブな文脈で捉えられるようにしたいです。そのためには、アスリート個人の変化とアスリートを取り囲む環境の変化の両方が求められるからこそ、何にどうやってアプローチしなきゃいけないのかを考え続けています」

アスリートに寄り添い伴走し続けてきた五勝出さん。だからこそ、アスリートファーストな視点から、アスリートのキャリアをポジティブに捉えられるような社会にしてくれるに違いない…。そんな期待が高まります。本の出版のみならず、今後、様々な場所でアスリートのために走り続ける五勝出さんの姿が楽しみです。


■五勝出 拳一 Kenichi Gokatsude
アスリートのマーケティングとキャリアを支えるRevive Inc.のPR Maneger。noteではアスリートのキャリアに関するアレコレを、様々な切り口からお届けしています。「ゴカツデ」は日本に40人のレアな苗字です。
note:@gokatsu
Twitter:@gokaken1

text by 下山田志帆 photo by 平野太一

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