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それぞれのモデルの融合可能性 ~コーチングとインストラクショナルデザインの専門家による架空対談 その12~

コーチングのGROWモデルとインストラクショナルデザインのARCSモデルは、親和性が高そうですね。
他にもいろいろなモデルがあるのですが、それらのモデルの融合は可能なのでしょうか?
高橋さんがさらに深堀していくようです。

高橋純一さんの深堀り質問:

「ARCSモデルとGROWモデルの融合について非常に実りある議論ができましたが、IDとコーチングの分野には、他にも多くのモデルがあります。ここからは、他のモデルについても、融合の可能性を探っていきたいと思います。例えば、IDのADDIEモデルや、コーチングのSMART目標設定モデルなどが挙げられますが、これらのモデルがどのように融合できるか、またその可能性についてお二方のご意見をお聞かせください。」

ADDIEモデルの観点から:

鈴木先生は、インストラクショナルシステムデザインの視点からADDIEモデルについて解説します。
「インストラクショナルデザインのADDIEモデル(Analysis, Design, Development, Implementation, Evaluation)は、教育プログラムの開発プロセスを体系的に進めるためのフレームワークです。このモデルは非常に汎用性が高く、特に教育や研修の計画段階から評価までのプロセスをしっかりとカバーしています。これをコーチングモデルと組み合わせることで、たとえば、ADDIEの初期段階でコーチングを取り入れることで、学習者やクライアントが自分の目標やニーズを明確にすることができます。さらに、実施(Implementation)段階で、コーチングを用いて学習者がプログラムに沿って進めていく際に生じる課題をリアルタイムで解決し、評価(Evaluation)段階でフィードバックを通じて更なる成長を促すことが可能です。」

SMART目標設定モデルの観点から:

佐藤先生は、ビジネスフレームワークであるSMART目標設定モデルについて、コーチングの観点を加えて説明を行うようです。
「SMART目標設定モデル(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)は、必ずしもコーチングのモデルというわけではないのですが、コーチングでも有用です。eスポーツのコーチがSMARTを取り入れて成果を上げているという実績もあります。SMARTは、クライアントが達成可能な具体的な目標を設定するための非常に有効なツールです。このモデルをIDのADDIEモデルと組み合わせると、特に分析(Analysis)段階で、学習者のニーズをSMART基準で明確にすることができ、その後のデザインや開発段階において、よりターゲットを絞った効果的なプログラムが設計できます。たとえば、プログラムの実施中に、SMART基準で設定された目標に対して進捗を測定し、定期的なコーチングセッションを通じて、学習者が目標を達成するためのサポートを継続的に提供することが考えられます。」

高橋純一さんの促進と新たな組み合わせ提案:

「お二人の提案を聞いて、ADDIEモデルとSMART目標設定モデルの組み合わせが、プログラムの開発から実施、評価に至るまで、非常に整合性の取れたプロセスを提供できることが分かりました。また、他にも、例えばインストラクショナルデザインのDick & Careyモデルや、コーチングのOSKARモデル(Outcome, Scaling, Know-how, Affirm, Review)などもあります。これらのモデルがどのように統合され、さらなる効果を生む可能性があるかについて、お二人の考えをお聞かせください。」

Dick & Careyモデルの観点から:

鈴木先生は、目標から逆算して教育プログラムを設計するモデルであるDick & Careyモデルについて説明し、コーチングを活用する方法論について述べるようです。
「Dick & Careyモデルは、教育プログラムの設計において、目標から逆算して各要素を設計していく手法で、非常に詳細な分析と計画が特徴です。このモデルをコーチングのOSKARモデルと組み合わせることで、目標設定から具体的な行動計画の策定、そして進捗の評価までを包括的にカバーすることができます。たとえば、OSKARモデルでのスケーリング(Scaling)をDick & Careyの評価フェーズに組み込むことで、学習者の進捗を定量的に評価し、次のステップに向けた調整が容易になります。これにより、学習プログラムがより柔軟かつ効果的に進行し、コーチングを通じた個別のサポートが加わることで、学習者の成功を確実に支援できます。」

OSKARモデルの観点から:

佐藤先生は、解決志向のコーチングで効果を発揮するOSKARモデルとDick & Careyモデルの組み合わせの可能性について論じます。
「OSKARモデルは、特に解決志向のコーチングにおいて効果を発揮します。このモデルをDick & Careyモデルと統合することで、学習者が目標達成に向けた具体的なステップを設計し、進捗を評価しながら改善を続けるサイクルを作ることができます。特に、学習者が目標達成に向けた進展を実感できるよう、スケーリングを通じて自己評価を行い、その結果を基に次の行動を調整するプロセスは非常に有効です。また、Reviewの段階で、フィードバックを基に学習プロセス全体を見直し、次のサイクルに活かすことで、持続的な成長が可能になります。」

高橋純一さんの総括と提案の深化:

「非常に興味深い議論です。Dick & Careyモデルの詳細な分析と計画プロセスと、OSKARモデルの解決志向のフレームワークを組み合わせることで、学習プログラムがより精密に設計され、かつ実践的なフィードバックと改善が可能になります。さらに、この組み合わせを拡張し、例えば複雑なプロジェクトマネジメントや企業全体の研修プログラムに適用することで、大規模な組織変革やリーダーシップ育成にも対応できる包括的なモデルが生まれるかもしれません。今後は、この組み合わせを実際に試してみて、その効果を検証する研究プロジェクトを立ち上げることを提案したいと思います。」

このディスカッションでは、インストラクショナルデザインとコーチングの他のモデル、例えばADDIEモデル、SMART目標設定モデル、Dick & Careyモデル、OSKARモデルなどがどのように融合できるかについて議論が行われました。お二方は、それぞれのモデルの強みを活かして統合することで、学習プログラムの設計から実施、評価までのプロセスがより効果的になることを強調し、具体的な応用例を提案しました。高橋さんは、この議論を基にさらなる研究や実践への応用を提案し、議論を深めています。

【登場人物や対談内容については、すべてフィクションです】

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