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23.マクドナルドのおばあちゃん。わたしは「マックばあちゃん」と名付けてみました!

「マックばあちゃん」

講演会に呼ばれる時、私は待ち合わせ時間が遠方の場合必ず一時間か二時間前に現地に着くようにしています。なぜかって、それは絶対に遅れたりしないためです。たとえば電車が止まる場合もありますし、事故で移動できない場合もあるからです。
そんなとき見知らぬ町であっても必ずマクドナルドがあります。高校生の頃から行っているため、安心して利用しています。(※マクドナルドの宣伝ではありません)
一人でも気軽にいい加減な気持ちで入れるから助かります。
ただ嫌なのは、店員さんたちの作られた笑顔とマニアル通りのつくられた言葉を聞くと、とてもイヤになってしまうのは私だけでしょうか。

ある日、相変わらず混雑している中で、とても背が低く、まるで小学生ぐらいの女性が私を席まで案内してくれました。髪の毛が白っぽいので外人さんか染めているのかなと思ったら、なんと七十歳か八十歳代のおばあちゃんでした。
そのおばあちゃんは背中が曲がり少しヨタヨタしながら、イスをテーブル下から出してくれてすぐさまそのテーブルを拭いてくれました。
「まあ、お兄さん、いらっしゃい。ここは少し狭いスペースだけど少しばかり我慢してくださいな!もっといい席が空いたら移動できるようにしますから…」
まあなんと、ユニホームは他の若い店員さんとまったく同じでストライプのシャツ、スラックス、頭にはペーパーハットをかぶっているのです。
そして、そのおばあちゃんはニコニコしながら他のお客さまのテーブルのゴミを集めてゴミ箱に片付けていました。
「兄さん、兄さん。あそこの席が空いたよ。悪かったねえ、窮屈で。ありがとさん!」といって私を移動させてくれました。
私は驚きのあまり声を失ってしまっていました。
だって、ここはマクドナルドだよ!こんなマニアルにないことしていいの?
わたしは疑問と嬉しさが込み上げてきていました。
そして、この不思議な光景を一時間ぐらい眺めていました。
帰りがけ、このおばあちゃんはまた、わたしに話しかけてきました。
「兄さん、にいさん。騒がしくてすまんのう。でもまたおいでよ!ありがとさん…」
わたしはさらに驚いてしまった。
「おばあちゃん、ありがとう。身体には充分気をつけて下さいね!」
そう言ってマクドナルドを離れました。
そのとき、おばあちゃんはさらに手を振って見送ってくれたのです。
マクドナルドは実験的かどうかわかりませんが、高齢者の雇用を駅前近くの店で交代制で行なっているという話は聞いていましたが実際に接すると驚いてしまいます。

「マクドナルド、捨てたもんじゃあないなあ!」。
私は心の中でそう思いました。また、この店に来よう!このおばあちゃんに会いに来よう!そのときまでまだ元気でいて欲しい、そう心から願いました。
この店はマクドナルド立川北口店のお店です。
私はそのおばあちゃんをマックばあちゃんと名付けてみました。

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「 言葉を話せない猫」
 
ある雨の日、道端を歩いていたら猫の声がしました。
まだとても幼い子猫がわたしの足元でまつわりついてくるのです。
恐くないのかなあ…。まるで以前から知り合いか、飼い主のそばにいるように安心した顔でスリスリと寄って来ました。
思わず、互いの目と目が合ってしまいます。猫はわたしの目を見つめ、まったく反らそうとはしないのです。一体何を言いたいのでしょう? 抱っこでもしてもらいたいのでしょうか?それとも何か食べ物を欲しいのでしょうか。そんなことを考えていましたが、相変わらず人の顔をジッと見つめているのです。
雨に濡れ、寒いのか少しブルブルと身体全体を震わせながらジッと見つめています。
「どうしたんだい、お母さんはどこにいるの?」と話しかけてみました。その猫は何も答えません。そこであたりを見渡しましたが、特に母猫がいそうなところも見当たりません…。
しかし、不思議ですが、この猫は言葉を話さない。普通はニャーニャーとか鳴くはずなのに、おとなしい…。


あれから20年近くたちました。その子猫は我が家の家族となり、ずいぶんと年を取りましたた。
最近になって少し言葉を覚えたのでしょうか、下手な鳴き声らしき言葉を話すようになりました。真夜中に家に返っても必ずあの時と同じように道端や駐車場で待ちかまえて、わたしにすり寄ってきます。
この子はあまり家の中にはなつかず、いつも外で夜空を眺めています。
あれから20年、この子は何を想い、何を考えているのでしょう?
この子はこれで幸せだったのでしょう…。
しかし、この子のおかげで私は猫を少しばかり好きになった気がします。なぜって、いつも外で待っていてくれるから。

追記:昨年この子は天国に旅立ちました。わたしは最後の最後まで一緒の布団の中で動けない彼女と過ごしました。全身が冷たくなり、体は臭くなり、呼吸はかすかとなり、もうこの世を去ってしまったかのように眠り続けています。わたしは涙が止まりません。人間も動物も同じいのち、かけがえのない大切ないのちです。私は泣きながら優しく全身を撫で続けました。すると、最後の瞬間に一瞬だけ目を開けて、最後の息を吸い込むかのように声を出してそのまま動かなくなりました。

あなたの最後の言葉は何だったのでしょうね…。

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doucouです。ごきげんよう!みんな、ありがとう!

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