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家族とお寿司

実家へ帰省すると、両親や弟家族たちと
出前のお寿司を食べるのが定番になっている。

テーブルいっぱいに寿司桶を広げると
幼稚園児の甥っ子、姪っ子が駆け寄ってくるのだが
玉子やツナには目もくれず、手に取るのは
サーモンやマグロいくら…と、お刺身ばかり。
そして、大人顔負けの食欲でバクバクと
遠慮なく食べることに毎回驚かされている。

私はといえば、小学生高学年になるまで魚が
大の苦手で、家族で回転寿司へ行っても
ツナ、玉子、ツナ、かっぱ巻き、ツナ…と
100円の安いネタばかり繰り返し食べていた。
当時から大変経済的で親孝行な息子だったのだ。
弟はというと、皿の色も全く気にせず欲望のまま
好きな刺身のネタを好きなだけ食べていた。
おそらく甥と姪にも、その血がしっかりと
受け継がれたということなのだろう。

そんな寿司好きの甥、姪。
この日初めて見る、キラリと脂の輝いた
「中トロ」にも興味津々のようだった。
ダメだ…このままでは私の分まで食べられる…
しかも、幼稚園児のくせに中トロのおいしさを
覚えたら、この先パパもママも困るだろう…。
そう思った私は、とっさに中トロを口に入れて
「苦ーい!」と顔をしかめる小芝居をして見せた。
すると、その顔を見て「じゃあ いいや…」と言い
素直にあきらめくれたのだ。
大人顔負けの食欲でも、まだまだ幼稚園児。
しかし、中トロをにらむ2人の顔を見ていると
イジワルしちゃったなぁと少しだけ反省した。

これから彼らがもう少し成長したら、その時は
美味しい「中トロ」をご馳走してあげよう。
ただし、1人2貫までね。

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