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AM01:00の寝室


妻が眠る深夜1時の寝室
緑の灯りが赤点滅に変わるとき
「それ」は けたたましい音と共に動き出した…


愛する妻が寝息を立てながら横で眠っているというのに、どうしようもない夫である私は我慢が出来ず、布団の中でそっとオナラをしてしまったのだ。
オナラの音もニオイも無いし、ぐっすりと眠る妻にバレることなんてないだろう…。私は完全犯罪を犯したかのような高揚感に包まれていた。

しかし、油断していたその時「ブォーーーッ!」という大きな音ともに、寝室の空気清浄機が動き出した。どうやら人間の嗅覚では分からないような微量のオナラ成分を、空気中から探知したようだ。
私は自ら放ったオナラ成分を閉じ込めるかのように、慌てて布団をギュッとしたが既に手遅れ。いや、そもそもそんな事で気体であるオナラが閉じ込められるわけもない。

うす暗かった室内が、まるで緊急事態になったかのように点滅する赤いランプで照らされる。妻の可愛い…いや、薄く白目を剥いている寝顔が分かるほどの明るさだ。
空気清浄機の出す轟音と明滅するランプで目覚めるのではないかとヒヤヒヤしつつも、ランプが再び緑に戻ることを祈りながら眠りについた…。


翌朝、妻は何も言わずいつもどおりだった。
私がオナラをしたことも、空気清浄機が起動していたことも気付かず、のんきに爆睡していたのだ。
こうして私は調子に乗り、深夜1時になるとラジオを聞きながら布団へ入り、そっとオナラをするのであった。

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