『バブル』感想

前回の記事で感想を書く気力がないと言ったがやはり少しくらいは書いておいた方が後々のためにも良いと思うので感想も少しだけ書いておきます。
このアニメの内容/感想以外の点については前回の記事を読んでください。

本投稿は映画『バブル』のネタバレが含まれるため映画館で鑑賞予定、Netflixで見鑑賞の方は本編視聴後に読んでください。

良かった点

・映像美

映像はかなり良かったです。崩壊しているがどこか美しく幻想的に描かれる東京の街並み、アクションシーンの動き、カメラワーク。映像美といった点では最近みた映画の中でもトップクラスによかったです。また荒木監督らしさ、WIT STUDIOらしさがあってスタジオ10周年にふさわしい作品だったと思う。(10周年記念作品ってわけではないが)
特にパルクールアクションはパルクールを知らない初心者が見てもなかなか作り込まれていて見応えがあった。

・音楽

劇伴ボーカルほぼ無い澤野さんの音楽を純粋に楽しめた。これを映画館の音響で聴くのは最高だと思う。クライマックスや見せ場になると英語詞の曲が入るのがここ最近の澤野さんのパターンだったのでそれが無いのは逆に新鮮で良かった。
主題歌もTeddyLoidのremix楽曲もよかっし、OP、EDも個人的には好き。
サントラは普通に聞きごたえがあるので結構お勧めです。

メインテーマにあたるBUBBLEは楽器が増えていき、音が複雑になっていく展開とかちょっとドレミファ澤野(勝手にそう呼んでる)を彷彿とさせるものがある。ドレミファ澤野の音源化待ってます。

悪かった点

さてここからは悪かった点です。ちょっときつめの感じになってます。本作が好きな方は読まないことをおすすめします。

・主演二人の演技

周りが過去の荒木作品で主要キャラを演じていた声優がキャスティングされてる中で主演二人の演技はどうしても浮いてしまっていた。
ヒビキは口数が少なく、ウタはほぼしゃべらないキャラ。セリフが少ないのでゲスト声優と主演を兼ねさせることができる絶好の条件のようだがそれは違うと思う。アクションが多いため走ってるときの息遣い、力む声が多いのだが多分こういったセリフのない演技こそ声優以外には難しいもだとわかった。また、数少ないウタのセリフも上手くないので良いシーンのはずが上手く感情が乗ってないように感じてしまった。
このタイプのいい例として『鬼滅の刃』の竈門禰󠄀豆子や『古見さんは、コミュ症です。』の古見さんがあげられるが、彼女たちはセリフや語彙が少ないのに感情豊かなのは声優さんの技量あってのものだと思う。

・キャラがよくわからない

キャラ名が『○○リーダー』、これが良くないと思う。アンダーテイカーリーダーや関東マッドロブスターリーダー、電気忍者リーダーと主人公チーム以外はほとんど個人名が無く○○リーダーとなっている。部下に至っては完全に名無しのモブといったようにキャラに名前が無く、全く愛着がわかない。
そもそもチーム同士の関係性もあまり明かされないまま話が進むので電気忍者は初戦で戦う雑魚、マッドロブスターは船で助けに来る便利屋、アンダーテイカーは人は拉致るけど最後は最強アイテム恵んでくれるいい人？みたいなふわっとした印象しか残らない。4チームあったんだからもう少し描き方を丁寧にしてほしかった。100分あったのに数回しかバトルクールで戦うところがなくて物足りない。

・設定の曖昧さ

まず東京が今どんな状態にあるのかがあまり明確ではない、食料品を取り合う状況下にありながら服はきれいだし、そもそもその食料はどこから来てるのか？身寄りがないとはいえ東京を出て外の世界に行けばどうにでもなってしまうのではないか、この人たちが東京にとどまる理由はあるのかと考えてしまう。

バトルクール(パルクール)のルールも曖昧だ、通常のパルクールなら構成や難易度で採点があるらしいが(パルクール日本選手権の大会ルールを見ただけの知識)、本作のバトルクールではフラッグを先に取った方が勝ちとされてるのに何もない平坦なところでトリックを決めることなどタイムロスになりそうな不要な動きが多い。画的に面白いのだがスピード重視なのかトリック重視なのかがわからない、食料を賭けてるってことは一応命を賭けてるってことと同義ですよね？かっこいいことをしてることはわかるのだが競技そのものへの興味は湧きづらい。
ラストのウタを助けに行くシーンは誰とも争って無いし、それこそスピード重視のはずなのに謎にトリックを入れ始める。素人目でも「タイムロスだろ！みんな死ぬぞ！」と思ってしまった。

魅せることに注力しすぎてて競技から離れてしまい一体バトルクールとは何をしたいのかと…終始謎だった。

まとめ

良かった点と悪かった点の量の違いはそのまま私のこの作品に対する評価なのかと思います。座組が豪華すぎて最初から闇鍋感はあったし誰の個性がどう生きるかと期待していただけお互いに殺しあったのはちょっと残念だった。

WITはヴァンパイアインザガーデンの配信もあるのでそちらに期待します！
ちょっと言ったがなんだかんだで2000字書いてしまった。