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328.新しい素材を使って、料理、味つけをどうするか、料理法を考えて、食べ方まで考えている発想法。

※アイデアって、どんなに時代が変わっても色あせない。だ、大きく変化しているだけにすぎない。アイデアってすべてマネから始まる。ならば過去の素晴らしい、面白いアイデアだって、全てが宝物。過去には無限のアイデアのヒントが転がっている。そして、そのアイデアから新しいアイデアへと、大変貌し、大変化し続けている。過去の素晴らしいアイデアなき、新しいアイデアなんて生まれないかも知れないぐらい凄い潜在能力を持つている気がする。そう、過去から未来への創造するアイデアをヒントにして欲しい。

わくわく発想術⑤


⑴投げるだけで球速がわかる「速球王」


テレビで野球を見ていると、画面に球速が表示される。では「オレの球はどのくらいの速さだろう?」と思うのが野球好きの心理。だからといってスピードガンまで購入して自分の球速を測る人はいないし、とても高くて買えない。

だが、ツクダオリジナルの開発担当者の和久井威さんは、

「この『速球王』を見たら、だれでも一度投げてみたくなるんですよ。これで野球ファンの夢をかなえてあげたかったんです。」

そこで和久井さんは考えた。コストをかけず球速を測るために最も原始的な仕組みで間に合わせることにした。ボールを投げた瞬間にストップウオッチが動き出し、受けるとその衝撃で止まる。つまり、ストップウオッチを投げてみるという発想。

では、それをどうモノにしたか。さっそく工場に試作を依頼。しかしその試作で最も苦労したのはストップウオッチのスイッチをどこにすればいいか—?

そこで高校野球の監督や、草野球チームの人にあらゆる握り方を教わり、それから何種類か試作して使ってもらうことにした。

これは本物志向で縫い目、重量、サイズもプロ使用球に合わせ、最終的にはキャッチボールするときの一般的な握り方をして、中指の先がくるあたりにスイッチを設けた。この位置に中指を当ててボタンを押すようにして握る。投げる指先から球が離れた瞬間にストップウオッチのスイッチが入るという仕組み。これでやっと試作が完成

ツクダオリジナルのモットーはのひとつが、「試作ができたらまず自分で徹底的に遊べ」。

そのモットーを生かした和久井さんはいう。

「試作品はみんなで使ってみました。昼休みは社員が庭でキャッチボールをし、私も何十回、何百回と投げ込みましたよ」すると使っているうちに縫い目がほつれたり、革が傷んだりしてきた。最初は「玩具を作る」という意識で、中の機構を合皮でくるみ適当に縫い合わせてきたためだ。

「それじゃあというので本物のプロ使用球と同じ規格で作ろうということになりました。」革製で縫い目は百八。まるで本物。大きさや寸法も同じ、これでプロとまったく同じになった。

このアイデアは、ストップウオッチの基本原理を利用したもので、速度=距離÷時間という誰もが知っている基本原理に着眼し着手した。

このように一つの目的を達成するには原理原則に戻って考えることが最も重要。又、単なる遊びに終らせず、野球の好きな人達を対象に、自分の投球のスピードを知りたいという要求(ニーズ)に答え本格的に取り組んだ。
これは和久井さん自身が熱烈な野球ファンであり、野球が好きだから生まれたアイデアだ。
そして、試作品をただ作るだけではなく、その試作品をもとに、数々の実験をしながら、球の縫い目、重量、寸法をプロや球の規格(プロ使用)に合格するようにレベルアップさせた。

これは遊びの中の本物志向を心がけた結果、このこだわりがヒット商品となった。

ツクダオリジナル「速球王」TVCM


星野伸之が平均球速120㌔台でも 176勝2041奪三振できた理由【ピッチャーズバイブル】


⑵なんとパネルから音楽が「おんボード」一枚のボードから音が出たっていい。


ヨンマルゴの開発担当者の溝部達司さんは、壁にかけたしゃれたポスターから音楽が流れてきて、例えばパーティーや催事、イベント会場等の人の集まる場所で雰囲気を盛り上げることができたら面白い。

スピーカーなんて誰も見向きはしないし、つまらない。

こんな発想で開発したのがパネル状のスピーカースピーカーは普通は箱型になっているのが一般的だが、一枚のボードから音が出てきたっていいじゃあないか—。

これにはあるキッカケもあった。それは、これを開発する一年前に、三菱油化と共同でフィルム状のスピーカーを開発している。
これは一枚のペラペラのフィルムから音を出すというもので、ある新聞社から最優秀商品賞を取った。
このとき、フィルムが受けるならパネルでも受けるだろうと考えた。

音楽を眺めて楽しむ—。


KOTOBUKIのルームチューニングパネル音快速極魂 (おんかいそくごくだましい)「KP-07」。60,000円(1枚/税抜)

ではどのようにしたのだろう。
このボードちょっと見ただけではどこから音が出てくるのかわからないので少し不思議。つまり、パネルの中に振動素子が入っていて、電気が流れるとボード全体が振動して音が出る仕組み。

またこれは、アンプ(音の増幅装置)入りのものとアンプなしのものと三種類あり、アンプ入りの場合は「ウオークマン」をつなげば、ヘッドホンなしでも聞けて、アンプなしでも手近のオーディオ製品にコードをつなげば音が出る。

商品化する前にNECで試作的にパネルにタレント写真を入れて使ってもらったところ、どこで手に入るのかと問い合せが殺到。それで市場に出すことをきめた。

パネルの場合は、写真やイラスト、ポスター等と差し替えは自由。さらに面白いことに家庭の写真や可愛らしいペットの写真、風景写真でも何を飾ってもいい。ここに遊び心がポイントとしてある。

ただ出力は一wだからBGM程度なら十分。音のマニアには少しもの足りないかもしれないが、マニア向けではない。とはいえ、音のひずみは極力おさえ、均一の音が出るようにすることに苦心したという。これはスピーカーである以上はちゃんと鳴らねばまずい。

また、これはスピーカーだが、オーディオ売場では売れない、むしろインテリア売場に最適な商品。

ヨンマルゴの会社は本来オーディオ専門(装置産業)の会社ではない。光と音の分野の料理人だと自負している。

つまり新しい素材を使って、料理、味つけをどうするか、料理法を考えて、食べ方まで考えている点がユニークだ。
又、何かのアイデアが生まれたらすぐに試作品をつくるというスピーディーな開発を大切にしている。
そして音と光をテーマに商品開発を進め、視覚と聴覚を同時に満足できるものということでこの発想が生まれた。

つまり、企業の技術的なレベルの差はどこもそれほど変らないが、市場性・企画力・デザイン・発想、この4つの差が商品のヒットを呼んだ。

現在は、違うメーカーが製造している。KOTOBUKIより



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