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282.いじめを、放置して諦観する人たちも、人をいじめている仲間なんですよ。

1.ある少女の死


 
私は子供の頃、病を抱えていたため他の子のように遊びまわることができませんでした。病名は腎臓病です。
その病気は日々怠く、疲れやすく、授業中でも眠くなります。
食事制限と運動制限がある中で、他の生徒たちと過ごさねばなりませんでした。
 
怪我ではありませんので、見た目には普通の子となんら変わりません。
そのためか、随分といじめられました。それは人と違う、人より劣るからです。
昼の食事は、皆は給食なのに私はお弁当です。
これは徹底とした食事療法のためでした。他の人から見れば不思議なことですから、面白そうにお弁当を覗かれます。それだけの違いで、私のお弁当に箸を入れ、勝手におかずを食べては笑い、引出しの中に入れてあったお弁当にはゴミや虫を入れたりされました。
 
授業では、勉学が遅れていた私は先生から指名されて答えを問われても、ほとんど答えられず、いつも同級生から笑われていました。
 
愛のムチなのでしょうか?
先生は毎回私に質問し、答えを黒板に書かせます。
しかし、何一つ回答できません。そのたびに教室内は笑いの渦となりました。
 
運動を禁止させられていた私は、体育の時間はほとんどが見学でした。
しかし、私の事を思う先生なのか、泳ぎの出来ない私に泳げと命令しました。水着がないといったら、下着のままで泳がされました。
泳いだことがなかったのでプール内を歩かされました。
元気な同級生たちは大声を出して笑っています。
水をかぶっていいたため、私が泣いている事を知る人などいなかったでしょう。
 
休憩時間はいつも校庭に一人でいました。
教室内にいてもからかわれるからです。
だから友達などいません。
 
休憩から戻るとまた戦いが始まります。
私の机の周辺にはいつもいたずらが仕掛けてあるからです。
一番酷いのが、椅子の上に置く画鋲です。
私だけでなく、ほかの子どもたちもいたずらされていました。画鋲ひとつでもお尻に刺されば痛いのですが、十個も二十個も置かれてありました。子どもたちの椅子には座布団が敷かれていて、画鋲が仕掛けられていてもわかりません。ですから授業が始まる前には皆が椅子に注意を払うようになりました。
そうして授業が始まり、教科書を開くと、太いサインペンで「死ね!」とか悪口が書かれてあります。ノートや教科書は破かれ、いたずらがどんどんエスカレートしていくのを、そばにいる子たちはただ笑って観ているだけでした。
その子たちの顔は、とても楽しそうに見えました。
 
いじめはさらにエスカレートします。
まだ自分だけなら済むのですが、隣の女の子の机の中に動物の死骸や汚物を入れた者がいて教室が大騒ぎになりました。当然、先生も生徒に対して説教を始めました。そこで、  数人の同級生が突然、私が入れたと言い出し、私は犯人にされました。
私はそこで一躍悪役になりました・・・。
 
何を言っても誰も信じてくれませんでした。
担任の先生は私に罰を与え、校庭を走らせました。
 
私は真剣に死にたいと願いました・・。
誰も私の事を信じてくれるものがいないからです。
誰も私を救うものがいないからです。
 
父や母にそんな話は出来ません。
ようやく授業に出られるようになったことを喜んでいた両親でしたから、散々病気で迷惑をかけたのですから、これ以上の心配や迷惑をかけたくなかったのです。
 
私はそのまま小学五年生となりました。
私は同級生たちと先生からのいじめの日々を送りました・・。
 
ある年、いじめに耐えきれなくなった同級生が二人自殺したことから、学校内でもようやく問題として取りあげ始めました。
私たちは担任の先生に引率されて、自殺した友だちの葬儀に出向くことになりました。
多くのクラスメイトたちは泣いていました。しかし、私は涙が出ることもなく、ただ怒りだけでした。
 
自殺した両親に話しかけている担任の先生の身命な姿を見たからです。
(偽善者め・・・私の怒りは頂点に達していました・・)
 
ハンカチで涙を拭う両親と担任の先生に向かって、
「殺したのは先生じゃあないですか!」
私は泣きながら、手足が震えるまま葬儀の席上で怒鳴りました。
周りは皆、不思議そうな顔をしていました。
死んだ女の子は、幼い頃から心臓病を患い、私と同じ見学組の一人でした。
私と同じように、医師から運動を禁止させられていました。
 
それなのに、走ってはいけない彼女を走らせ、怒鳴り、いじめた先生だったのです。
私は先生の復讐が怖かったのですが、衝動に任せて言い放ってしまいました。
 
すぐさま「馬鹿言うじゃない!」と、先生に一喝されましたが、それは私の精一杯の抵抗でした。
その時だけは、周りの生徒たちも私と一緒に「そうだ、そうだ、酷い、謝れ!」と言ってくれました。私以外にも同じような気持ちを持っていた者たちがいたのです。
その後、担任の先生は学校を去りました。
 
怒りと悲しみの葬式でしたが、皆と共感できた私は嬉しくて、嬉しくて、まだ生きてみようと思えたのです。
彼女は私の席の隣の子でした。私が犯人にされた時、それでも私を信じてくれた見学組の同士でした。もう失くしてしまいましたが、四葉のクローバーが好きで、私にプレゼントしてくれた時の事は忘れられません。
 
私の生涯忘れることのない、大切な想い出のひとつです。
 
 

Ⓒ編集協力coucou@note作家

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子どもの社会もいじめがありますが、その子どもたちは社会に出てもいじめが続きます。
特に、現代はスマホでの心の痛みを植え付ける苛めへと変化してきました。いじめる側は言葉だけではなく、自分の手を汚さない、ラインやメール、SNS投稿によって、簡単で楽に人を傷つけ、それを楽しんでいる者たちも増え続けています。

本当は、友だちや仲間たちが助けてあげればそれで随分と助かるはずなのですが、実際は、一緒になって楽しんでいるようです。
何も加担しなくとも、放置して眺めている人たちもいますが、実際に何もしなくとも、それも加担しているともいえるでしょう。

大人の社会でも同じです。電車内で争いが起こっていても、そばに居る人たちは一切無視しています。もちろん、下手に巻き込まれて恨まれたくないとか、危害を及ぼされたくない、とか。そんな勝手な事情もあるのでしょうが、いざ、自分がその立場となったらどうするのでしょう?

問題児たちは何もしない、無関係な者たちの姿をよく見ています。
そして、その結果、さらに激しく増長させてしまいます。
しかし、これらは犯罪なのです。

みなさん、明日は我が身なのですよ。


教材⑥ 写真や動画が流出する怖さを知ろう(全編)

【スクープ】いじめ相談『7か月間放置』か...さらに顧問や教頭は被害生徒に「まず謝れ」「周りに責任あるという考え方が...」市教委は『重大事態』に認定(2022年12月14日)


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※本内容は、悪口、いじめ、誹謗・中傷を中心とした内容ですが、「著作権侵害」「著作者人格権侵害」「肖像権侵害」「プライバシー権」「パブリシティ権」「個人情報保護法」、その他「人格権」「人権」等に最終的にはつながるものばかりです。
特に、ツィッター、フェイスブック等のSNS全般、このnoteなども含まれるものです。断じて、許すことのできない犯罪です。
言葉によるいじめ、暴力など他人を著しく傷つける行為がウイルスのように広がっていく時代になりました。
同時に「なりすまし」「偽物」「フェイク」などの画像やメールなどが出回りまるでカオスの様相を帯びているネット社会。
また、皆様もご存知の通り「偽物メール」なども大量、いや無限に近く飛び回っています。
今や、銀行や郵便局の偽メール、アマゾンやメルカリ、国税庁の偽物請求メール、裁判所からの金品請求の偽メールが出回り、市や都からの偽物メールなど多くの人たちが、混乱しています。
さらに、「本物ぽい偽物」などは何とか見分けがつきますが、「偽物ぽい本物」などはまるで見分けられないという問題が生じています。

一番の被害者は、子どもたちです。それを確認できないお父さんやお母さんたちにも問題があり、子どもたちは何も知らないまま犯罪に手を染めてしまったり、人を傷つけてしまいます。ぜひ、お読みください。

本内容は、全国の都道府県、市町村、学校、NPО団体、中小企業、noteの皆様、クリエイター、個人の方々を対象としているものです。また、全国の職員研修での講演先のみなさまにもおすすめしています。
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