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28.「応募作品の著作権は主催者に帰属する」これではボツになった作品は二度と使用できません。どうしても納得できません。

質問⑳・写真コンテストの応募条件の中に必ず記載されていることがあります。それは「応募作品の著作権は主催者に帰属する」という一文です。これではボツになった作品は二度と使用できず、お蔵入りとなってしまいます。これでは、せっかくの撮影者の努力、著作権まで封じこまれているようで、どうしても納得できません。もちろん入選者に選ばれたのであれば何も問題はないのですが…


おっしゃる通りです。写真やイラストなどのコンテストのほとんどは、「応募作品の著作権は主催者に帰属する」と記載されていますが、不思議な表現です。

正しくは、「応募作品の入選作品またはそれに準ずる作品に関しての著作権は主催者に帰属する」という表現でなければならないと思います。

なぜなら、すべての応募作品が主催者に帰属したからといっても、主催者はその応募作品を勝手に自由に利用はできないからです。

応募作品をパンフレット等またはホームページ等に掲載するために、著作権が主催者に帰属していなければ、後々の確認、承諾を取るのが大変だからという理由もあるかもしれませんが、それでもその応募作品を著作者の許可なく、ホームページ等に掲載することは著作権侵害はもちろん「著作者人格権侵害」になる恐れもあります。


これは写真やイラストのコンクールだけでなく、音楽や作詞、作曲、詩、俳句、短歌、エッセイや小説等の分野でも同じことです。

コンクール等を開催する主催者側が、他のコンクールの応募要項をそのまま「右に習え」ということで表示している規約にすぎない気がします。

しかし、これは応募者の著作権を軽んじる考え方で、逆に応募者は「主催者に帰属する」というコンクールには出品しないことが自分の作品を大切にすることに繋がります。


また、最近では、このような考え方のコンクール主催団体には著作者自らが応募しなくなっているのが現実です。

応募要項を注意してみると、「入選作品等に関しての著作権は主催者に帰属します。ただし著作者人格権は著作者に帰属しています。」という正しい要項になりつつあります。

また、この「主催者側の帰属」の意味は、主催者が入選作品を自由に扱いたい、または商品化して販売したい、様々な分野で活用したいという意味が含まれており、入選作品の賞品、賞金内容によって「著作権譲渡」の意味合いも含まれています。

しかし、賞品、賞金を入選者に差し上げたからといっても、「著作権の譲渡契約」等がなければ著作権は移動していないことになります。

「主催者に帰属する」という条文があったとしても、それは「帰属」であり、「譲渡」ではありません。「帰属」していたとしても、著作者の許可なく確認なく利用することはできませんので、主催者、応募者にとってメリットがあるものではありません。

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特非)著作権協会です、こんにちは!

応募要項(応募規約)に「応募作品の著作権は当社に帰属する」と書かれていれば、応募した時点で著作権は応募された側に移ると考えてしまいますが、おかしな表現です。「帰属」の本当の意味は「帰属=移転」「譲渡のこと」ですが、著作権等の譲渡契約書がない限り、現実には「移転」「譲渡」として認められるものではありません。

このような表現方法の誤りが混乱を呼んでいるのだと思うのですが、すべての応募作品の著作権が移転してしまうということは、落選した場合でも著作権が相手に移ってしまうという意味と解釈されがちですね。

これでは、まったくの誤りか、わかっているならばかなり悪質だと思います。(実際は知らない人、他の真似をしているだけかもしれませんが…)

また、何らかの賞を取った場合に著作権の移転が起こるような規約となっているようですが、応募要項に「著作権に関する記述」が何もない場合は著作権の移転はないものと考えられます。

しかし、何らかの賞を受賞しても「著作権譲渡契約書」「著作物使用許諾書」「出版契約書」等の契約がない限り、その著作物は受賞した作品であっても著作者に残ります。
普通は、受賞後に出版する場合は、主催者と話し合いのうえ「出版契約書」を結びます。

ただ、どのような応募やコンクールであっても「応募要項」は注意する必要があります。また、応募要項の不明な部分があれば迷わず主催者に質問するべきだと思います。

応募要項は注意しましょう!


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