麦の畑

大きめの麦わら帽子
かかしはにっこりと笑う
ゆらゆらとゆれる麦
世界は満ち足りていた

ただ鳥だけがその場にいない
麦わら帽子は少し傾いて
かかしはにっこりと悲しんだ

誰もいない空から
誰もいない麦の畑を探して
鳥は羽ばたき続けた

かかしは鳥のこないことを悲しむが
麦わら帽子で空は見えない

孤独を感じた鳥はいつしか
麦わら帽子に留まる
かかしはにっこりと笑う
見えない鳥に向かって笑う