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【識者の眼】「COVID-19感染拡大下の小児科診療で増えた課題とは」石﨑優子

石﨑優子 (関西医科大学小児科学講座准教授)
Web医事新報登録日: 2021-11-29

2020年初頭より始まったCOVID-19感染拡大に対する緊急事態宣言による休園・休校ならびにまん延防止等重点措置による自粛生活によって、子どもたちの日常生活もまた感染症拡大前とは大きく変わった。子どもたちの感染症全般が減少したのである。周囲の小児科医の話でも、この冬にインフルエンザを1例も経験していないという者がほとんどである。

日本小児科学会社会保険委員会による小児科学会代議員を対象とした一次調査の結果は、COVID-19流行後は入院、外来ともに8割の施設で20%以上患者数が減少したというものであった(日本小児科学会雑誌. 2021;125(9):1376-83)。人流を絶つことにより、子どものcommon diseaseである上気道感染が流行らなくなったのである。

二次調査の概要では、気道感染症をはじめとする急性疾患は減少した一方、小児科医が増加したと回答している問題もある。不登校と児童虐待である。

不登校に関しては、最近メディアでも取り上げられているが、自粛生活の間に昼夜逆転したり、長時間ゲームにのめりこむようになったり、外出に強い不安を訴えたり、さらには自粛生活を続けるうちに体力が低下して、少し動くだけで疲労を訴える子どもたちもいる。長期にわたり断続的な休校・自粛を繰り返した後に、毎日登校する日常を取り戻すのには時間がかかりそうである。

児童虐待が増えていることも憂うべき状態であり、児童虐待だけではなく、家庭内暴力が増加していることは周知のとおりである。本来、児童虐待に至る要保護・要支援家庭の地域での見守り役を担う園や学校が休みとなり、見守りが手薄になった結果でもあろう。早急に対応策を講じねばならないが、現時点では経済の回復と第6波への備えに人と時間が費やされ、児童虐待や不登校に力をさく余力はないように感じられる。今しばらく、医療機関が問題の見守り役を続けてほしい。

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