【気になる生態】 #4 兄弟間闘争 「イヌワシ」
生態系のトップに位置するイヌワシ。
全国でも500羽程度しかいない大変貴重な大型猛禽類です。
そんなイヌワシの自然界での戦いは生まれた時から始まっています。
イヌワシは繁殖期に卵を2つほど産みますが、2匹の雛が育つことは99%ないと言われています。
卵は一度にふたつ産むだけではないので、先に生まれた雛が必然的に大きくなります。
そして。2〜3日早く生まれた雛は、後から生まれてきた雛を嘴で突きます。
親から餌をもらえないように首を上がらなくさせるようです。
これによって後から生まれた雛は餌を食べることができず死んでしまうそうです。
これが99%一羽しか成鳥にならない理由です。
なんとも厳しい世界ですね。
これがイヌワシの「兄弟間闘争」です。
兄弟間闘争の明確な理由は分かっていません。
おそらく自然における餌不足からこのような闘争が起こるとされています。
仮に2羽とも育てたとしても大きくなった時に、どちらも餌不足で死んでしまうと考えられています。
また、動物園の飼育科で生まれたイヌワシの雛でも兄弟間闘争が起こることがあるみたいです。
しかし日本のイヌワシだけにこの習性があり、海外の餌が豊富な土地では2羽育つそうです。
ではなぜ2個目の卵を産むのか。
だったら最初から1つの卵でいいのではないか?
そこに関してもイヌワシに聞いてみないとわかりませんが、おそらく先に生まれた卵に何かあった時のためのバックアップ的な存在を担っているのではないかという説もあります。イヌワシの卵はもともと孵化する確率も低いみたいです。
兄弟間闘争はなかなか残酷な生態ではありますが、「カッコウの托卵」と同様に自分の種を1%でも高い確率で存続するために生まれたものだと考えられます。
最後に
日本は自然豊かな国と言われていますが、決して森が多いことはイヌワシにとっていいことではないようです。
事実イヌワシが住みやすい環境というものを壊しているのは人間です。
あれだけ逞しい猛禽類が数を減らしてしまうのは悲しいことです。
少しでも環境保全に貢献にする意識を持って生活したいですね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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