見出し画像

【気になる生態】 #3 羽ばたかない怪鳥 「アンデスコンドル」

動物園で必ずじっくりみてしまう鳥。それは”コンドル”です。

特に翼を広げた時のデカさには毎度驚かされます。

現存する鳥類の最大はダチョウですが、飛行する鳥の中で最大なのはコンドルです。なんと体重は大きいもので15kgにもなります。

ちなみに寿命も長く50年〜60年くらい生きるそうです。

鶴は千年、亀は万年」と言われていますが、そんな鶴でも寿命は20〜30年ということで、もし日本にコンドルがいれば「コンドルは千年、亀は万年」というしっくりこない言葉が出来上がっていたかもしれません。

ではなぜあれだけ大きいコンドルが空高く飛べるのか。

鳥が飛ぶことのできる限界の重さは12kgということを聞いたことがあります。その理論から考えるとコンドルは完全に重量オーバーです。

それでも3000m以上高く飛べるのにはしっかりした理由があります。

まず大前提としてコンドルの住む場所には必ず強い風が吹いています。

アンデスコンドルで言えば、生息地となるのは南米のアンデス山脈。アンデス山脈では強い上昇気流が吹き荒れます。

上昇気流こそがあの重い巨体を空高く舞い上がらせる原動力なのです。

そしてその風を最大限に生かすのが大きな翼です。

アンデスコンドルはなんと翼を広げると3mにもなるそうです。

あの大きな翼は羽ばたくための翼ではなく、強い風を受け止めるための翼なのです。

ではなぜ高く飛ぶ必要があるのか


それはコンドルの食べる餌に理由があります。

コンドルは一般的な猛禽類とは違い、自ら狩りをすることはなく、死肉を食べる鳥です。野蛮なスタイルに見られがちですが、死体を自然に返す重要な役割を担っています。

そして驚くことにコンドルの消化器官は死肉を食べても食中毒にならない消化器官を持っています。

その餌をいち早く見つけるために、上昇気流を利用し高いところを滑空して地上を見渡しているのです。

しかし、死肉は簡単に見つからないこともあるため、長時間飛ぶこともあるようで、2020年の研究論文によると5時間以上飛び続けることができたそうです。

しかもほとんど羽ばたかずに170km以上飛行していたということです。

エネルギーを使わないとても省エネな飛び方ですよね。

以前そんなに長く飛べるなら、もっと色々な場所でコンドルが生息していてもいいのに思ったことがあったのですが、高く飛べるのに彼らが生息拠点を広げることができないのは、上昇気流がなくなったら飛べなくなってしまうというリスクがあるからです。

地上において15kgの体は錘でしかありません。すなわち上昇気流を掴めないところに降り立ってしまった場合一巻の終わりです。

だからこそアンデスコンドルは高い山脈を生息地としているのです。

最初にアンデス山脈に住み着いたコンドルの先祖はどのくらいの大きさだったのか、コンドルの進化の過程が気になりますね。

そして日本の動物園などでは残念ながら滑空している姿を見ることはできませんが、いつか空高く舞うコンドルの姿を拝んでみたいものです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?