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雑記 司法書士としての就職・転職活動を振り返る ーその3 職場の人間関係によるストレスと対策について

 その1では、司法書士としての就職・転職活動にあたり、個人的に重要だと感じた考え方とその背景にある司法書士業界の現状について触れた。それらを踏まえてその2では、実際の応募や面接等の選考過程での注意点について書いた。


上に貼ったその1・その2の記事では、自分にとって働きやすい環境を自分で用意することが大切だという共通の考えを軸に話を展開してきた。そして以上の話は、主に入社前の段階の事である。
 一方、今回触れる職場の人間関係の問題は、入社後の話である。しかし個人的には、入社した後もこの考え方は重要であると思う。

司法書士事務所で実際に生じる人間関係の問題

 職場の人間関係の問題とは、明確にまとめるのは難しいが、仕事上の注意・指導、業務上のコミュニケーション等とは直接関係のない、対人間で生じるトラブルのことである。例えば、業務上の指導と称した上司からのパワハラ・モラハラ、従業員同士の喧嘩やいじめ、しょうもないマウントの取り合いなどがあり、これらは働く上で精神的なストレスの原因となる。

以下のサイトでも指摘されているように、司法書士事務所でもこうした問題は散見される。

(掲載元:メンターエージェント「1.先輩司法書士たちがなぜ事務所選びで失敗しているのか|司法書士のための就活コラム」)

 また個人的にも、以下のような経験をしたことがある。
・退職の意向を伝えた後、所長との間で引継に専念するため新規の担当業務をもたない約束をしていたにも関わらず、別の上司から意図的に新規案件を押し付けられる。
・知らないうちに(不在時に)座席を末席に移動させられる。最終的に座席を機材置き場にされる。
(以上は司法書士として就職した1社目の事務所での話。)

・申請内容の誤りを指摘したところ(例えば、記事「その2」の信託登記等)、それを説明した私の解釈・意見が、当時の支店長からは何の根拠もなく全否定される。
・同支店長から、退職したければ半年以上前に報告しろと言われる。実際に(あえて)そのようにして伝えたところ、その退職報告を冗談扱いされる。
(以上は2社目の話。)

 他にも色々あるが、パッと思いつくだけでも以上のとおりだ。
(こうして振り返ってみると、印象として1社目はより陰湿さが目立ち、2社目は上司からのマウント的な要素を感じる。)
これらはいずれも直接的な退職理由ではない。それどころかむしろ当時の自分としては、傾いていた退職に対する気持ちや、既に伝えていた退職の意向やタイミングは間違っていなかったと、自分の中で確信できた出来事でもあった。
(なお、上の例で挙げた申請内容の話については、後日法務局から案件担当者に連絡が入り、私の解釈は正しく、それを間違いとする支店長の意見については完全否定されていた。)

 しかしいずれにせよ、通常であれば、このような対応をされて快適な職場だと考えられる人はいないだろう。それどころか、例えば後々の相手との関係性を気にするがあまり、結果的に何も言えずストレスを抱え込んでしまう人や、自分にとってむしろ居心地の悪い環境だと感じてしまう人の方が多いのではないだろうか。

やはり、自分の身は自分で守るという意味でも、現在の勤務先は自分にとって働きやすい環境といえるのかどうかを、入社後も意識し続ける必要がある。


トラブルに対する考え方

 自分がこうした面倒くさい人間関係上のトラブルに巻き込まれそうになったときは、まず何よりもそこから回避することを考えるべきだ。これも社会経験だからという謎の理論で、我慢を強いる無能な上司も中にはいるが、こうしたことに割く時間と労力は間違いなく無駄だ。

 また、上の例で挙げた上司や支店長のような、自分の価値を無意味に下げる人とは無理して付き合う必要はない。主観的には、実務上のより正確な知識やスキルを身につけられるというメリットがあるからこそ、その範囲内での業務に関わる注意や指導を受ける価値はある。しかし、業務以外は赤の他人だ。仕事とは直接関係のない場面での、自分が尊敬できないあるいは好きでもない人による小言やはけ口からは、得られるものは何もない。したがって、そこに時間を費やす必要もない。

 実際自分自身も、例えば飲み会への参加を断る等、勤務時間外では極力そうした人達とはつき合わないようにしていた。またその一方で、退職するまでに残った有休をすべて消化して次のステップへの準備期間に充てる等、気持ちを切り替えて対処することができた。

 とはいえ、実際にこうした出来事に遭遇したとき、すべての人が容易に気持ちを切り替えられるとは限らない。よって、このような問題に直面したときまたはしそうになったとき、具体的に考えられる対処方法については以下に記す。


被害にあったときの対策

 このようなパワハラや嫌がらせ等、仕事に直接関係のない陰湿な問題については、速やかに信頼できる上司や人事部等に相談するべきだ。そしてそれでもすぐに改善しないようであれば、即転職することをおすすめする。その1で書いたように、司法書士業界では転職のハードルは低いので、次の勤務先も比較的容易に見つかるだろう。さらに、自分に対して経験者として評価し、より良い待遇を提示してくれる事務所に転職すれば、それまでの在籍期間をむしろプラスに変えることもできるだろう。

(それ以外にも、状況によっては労基署や書士会等に訴えるのも一つの手だ。)

 その一方で、こうした人間関係上の悩みに対してすぐには気持ちが整理できずに、それどころか、どこか自分にも至らない点があるのではないかと一人で考えこんでしまうこともあるかもしれない。

そのようなときは、外部の同業者に相談することをおすすめする。具体的には、例えば他の事務所で働く同期や知り合いの司法書士等がよい。その理由としては、何よりもこの業界の狭さが挙げられる。そうした人々と話していると、色々な事務所の内情やそこで働く司法書士・補助者に関する情報が、本当に簡単に耳に入る。場合によっては、自分が働いている事務所で、過去に在籍していた人の意見を聞くこともできる。ただし、噂レベルに過ぎない情報もあるので、その真偽を見極めることは大切だ。しかし、自分と職場は異なる一方で、同じ業界内の実情を把握する人と話す過程は、正気に戻り冷静な判断をするきっかけになることもある。


まとめ

 司法書士という資格は、就職・転職活動に関する一種のパスポートでもあると個人的には考える。この資格を取得することにより、基本的に就職先・転職先は保証されている。

 ただだからと言って、どこでもいいやと勤務先を適当に選ぶことはおすすめしない。
 なぜなら入社後も待っているのは勉強の日々だからである。実務上の経験や専門知識の習得の過程では、個人の多大なる努力が必要だ。しかし同じ状況下でも、最終的には自分の糧になる等とポジティブに捉えられるか、もしくはただやらされているだけで早くこの場から去りたい等とネガティブに感じるかは、周囲の人間関係や職場環境に大きく左右されると個人的には考える。前者の方が、よりスムーズにスキルは身につけられるし、成果も出せるだろう。そしてより充実した日々も過ごせるのではないかと思う。

 何度も言うが、そのためにも司法書士として就職・転職する上でポイントとなる考え方は、自分にとって働きやすい環境を自分で用意することだと個人的には考えている。
 せっかく取った貴重な資格を上手く活用してほしい。

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