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WEBではなく、ブランドをつくる。NOT A HOTELマーケティングチームが目指す体験

ーまだ実際に建っていない物件を、ECサイトで販売する。

生活に必需とされる「衣食住」のうち、衣と食は気軽にECで購入できるようになりましたが、住の購入はなかなか難しい。ましてや、「まだ建っていない数億円の建物をECカートに入れる」と聞けばなおのこと。しかし、NOT A HOTELはサービス開始から現在まで、ECサイト中心の販売スタイルを貫いています。

実際に物件が売られているページを訪れると、意外にも掲載されている内容は非常にシンプルであることに気づく。パースと呼ばれる物件の完成CG画像、コンセプト文、そして空間を演出する機能群。とてもシンプルなようにも見えるが、まるでその世界観に没入するような不思議な体験が味わえる。

つくり手は何を思い、NOT A HOTELを表現しているのでしょうか。WEBのみならずSNS運用やメディアリレーションなどを担うNOT A HOTEL・マーケティングチームから山口琢磨、中牟田知樹を招き、その取り組みやこだわりを聞きました。


ECに込められた、NOT A HOTELのアイデンティティ


ーまずはマーケティングチームのミッションから教えてください。

山口:一言でいえば「NOT A HOTELのファンを増やすこと」ですね。まずはNOT A HOTELを知らない方に関心を持っていただき、最終的にはNOT A HOTELがある暮らしを体感していただく。この一連の流れをいかにデザインするのかがマーケティングチームのミッションだと考えています。

中牟田:大変ありがたいことに、物件が増えていくに連れてNOT A HOTELをご購入いただくお客さまも増えていますが、私たちは「すべての人にNOT A HOTELを」というミッションを掲げているので、「NOT A HOTELのファンを増やすこと」はまさにイコールなんです。もちろんそのミッションを達成するためには相当な努力が必要だと思うのですが、「ミッションを達成するために、今後どんなことが考えられるだろう?」とチームで日々議論しているようなチームです。

中牟田 知樹:上智大学総合グローバル学部卒。新卒で出版社マガジンハウスに入社、anan編集部で女性誌『anan』の編集に携わる。22年12月NOT A HOTELに参画。

山口:WEBやEC、メディア、SNS、イベントなど多くのタッチポイントを活用しながら、NOT A HOTELというブランドを広げています。

ーNOT A HOTELと言えば、約8億の那須の物件がECで販売されたことが話題を呼びましたよね。まだ建っていない物件をECで、しかも8億…と驚くべきポイントがたくさんありました。ECで物件を販売するというアイデンティティはどこから生まれたのでしょうか。

山口:創業者でありCEOである濱渦さんが元々アパレルECサイトのシステムを開発してきたので、その経験も大きいと思います。それに「洋服みたいに物件を売ったらどうなるのか」という実験的な側面もあったと聞いています。物件をカートに入れて、購入ボタンを押せば、いつでもすぐに購入できる。そんな時間や場所を問わない滑らかな体験は、「すべての人に」届けようとするNOT A HOTELとして、大切なアイデンティティとも言えますね。

WEBサイトも、NOT A HOTELの一つのプロダクトである


ー今回、創業初のWEBディレクターを採用すると聞きました。まさにマーケティングチームの支柱となるようなポジションだと理解していますが、一見すると既に完成されているかもと思われる方も多いと思います。実際、どのようなチャレンジがあるのでしょうか。

山口:やはり自宅・別荘を購入するという大きな決断だけに、ECでご購入していただくための仕組みや再現性をいかにつくれるかは大きなチャレンジと捉えています。WEBは平面ではありますが、工夫の仕方によっては多くのトライができるというのも事実。いかに表現として奥行きをもたせられるか、いかに言葉で魅力的に伝えられるか、いかに動きを取り入れて訪問者のワクワクを演出できるかなど、挙げ出したらキリがないくらいの伸び代があります。「ECで8億の物件が売れた」という過去の実績がまぐれではなく、再現性のあることなんだということを証明したいですよね。建築という巨大な立体やその土地の空気感をも味わえるような表現を、いかにWEBに落とし込むかは、とてもチャレンジングだと思いますね。

山口 琢磨:佐土原高校卒。アラタナにてSaaS型ECシステムの営業、ディレクター、ECコンサルを経て、株式会社mtc.でCRM領域のコンサル、ディレクターに従事。22年9月NOT A HOTEL参画。

中牟田:NOT A HOTELのお客さまを見ていると、過去に別荘の購入を検討されたお客さまが、ご購入いただいているケースが多いんです。でも、今後は家をまだ買ったことがない方がNOT A HOTELをご購入してくださるような世界観をつくっていきたい。賃貸の家に暮らしながらも「年に10日間、NOT A HOTELで暮らせるなんていいじゃん!」と思ってもらえるような、暮らしそのものを提案できるWEBをつくりたいですね。

インタビューでは東京と宮崎をつないだ

ーNOT A HOTELは物件や不動産の販売にとどまらず、新たな暮らしを販売している印象があります。マーケティングを展開するなかで、常に意識していることはありますか?

中牟田:一般的に住宅や別荘は、購入や賃貸を決めるまでにモデルルーム見学や内覧をして、実物を見る機会があると思います。しかしNOT A HOTELは施工開始する前にパース(完成イメージのCG画像)の状態で販売するので、購入の時点では実際に建っていないことがほとんど。だからこそ「ここでこう暮らせそう」とか「ここに人を呼んだら楽しそう」とイメージを膨らませることが、とても大切です。

山口:WEBをつくる際、リファレンスにするのも不動産サイトだけでなく、ラグジュアリーなアパレルブランドもチェックします。「この服を自分がきたらどうだろう?」という想像性も大切ですし、何よりそのブランドが醸し出す世界観に惚れてしまうような感覚ってあるような気がしていて。それをNOT A HOTELが展開する不動産や物件でも表現してみたいですね。

山口:あとこれはすごく平易な言葉ですけど、いかに「かっこいいサイトであるか」は、シンプルなようでとても重要だと思っています。仮に購入しなくてもWEBを回遊するだけで十分楽しめたり、ワクワクできたりするような感覚になれば最高だなと。私たちが理想とするレベルに到達するには、UI/UX観点での磨き込みが必要なので、そこをもっと強化していきたいと考えています。

中牟田:すごくわかります。たとえ、商品がいくらかっこよくてもサイトに力を入れていなかったら、なんだか残念な気持ちになりますよね。「なぜ、WEBをブランドの一部として表現しないんだろう?」と。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、WEBサイトもNOT A HOTELの一つのプロダクトだと思うんですよ。

NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA IRORIの販売ページ

山口:いや、本当にその通りだね。

ー「すべての人にNOT A HOTELを」というミッションから逆算すると、すべての人に届けられる唯一の手段がWEBであり、ECなんだと思いました。そういう意味でもポテンシャルは高いし、より高いレベルを求めているからこそやれることも多そうですね。

中牟田:難易度は高いと思います。抽象的な表現になってしまいますが、NOT A HOTELは建築というプロダクトとしての売りと、WEBを中心としたブランドとしての売りの二つがあるとした場合、どちらかが先行することなく、両方を同時にブラッシュアップしていくような会社なんですよね。もちろんシームレスにつながってはいるものの、それぞれの世界観を磨き込みながらも、実際の販売スケジュールにもアジャストしていかなければならない。このスピード感も含めて、難易度はとても高いと思いますね。

定例ミーティングにはCEOが同席。経営直下だからこそ味わえる醍醐味


ーWEBやECを中心に手がけながらも、他の領域も手がけていると思いますが、マーケティングチームはどのような役割・体制なのでしょうか。

山口:今は私と中牟田さんを含めて3名の体制です。私がキャプテンとしてチームの取りまとめやチーム間の連携、次なる施策の仕込みなどを担っています。中牟田さんは、雑誌編集のバックグラウンドを活かしてコミュニケーションプランニングから制作ディレクションまでを担ってくれていますが、他にもメディアリレーション、SNS企画、販売サイトのコピーライティング、撮影ディレクションなど、領域は幅広いですね。そして、もう一人の福岡さんは新規のお客さまへリーチするためのWEB広告のプランニングやそのためのクリエイティブディレクション、媒体のプランニング、セールスチームとの連携などの役割を担ってくれています。一人ひとりの役割は絶妙に異なりますが、お互いに背中を預けながら、フォローし合っているような感じです。

ーまさに三者三様ですね。他チームとの連携も多いと思うのですが、チームや業務のユニークな点はありますか。

山口:マーケティングチームは、CFOである江藤さんの管掌範囲ではあるものの、CEOの濱渦さんも毎週の定例ミーティングに参加し、実際にアイデアを一緒に出し合います。そのくらい経営として重要なファンクションだと理解していただいているのだと思いますね。もちろんプレッシャーもありますけど(苦笑)、めちゃくちゃ鍛えてもらっているという感覚の方が強いですね。私が入社した去年までは、濱渦さんもWEBデザインのラフ案を実際に書いてましたからね。

中牟田:たしかにプレッシャーはありますね(笑)。良い意味でこだわりがとても強い方々なだけに、自分たちのこだわりといかに擦り合わせていくかは毎回悩むポイントです。ただ、経営陣のすぐ傍で仕事をしていると、今後の事業に関することも早く降りてくるので、企画の上流から入り込むことができる醍醐味も味わえます。WEBやECに関しても、「こういう見せ方しようよ」とか「こんなのつくりたいね」みたいな未来の会話が飛び交うので、やりがいにつながっています。

中牟田:加えて思うのが、チームメンバーがそれぞれ異なる専門性を持ってはいるものの、少人数なので全員で知恵やアイデアを出し合って、ものづくりをしていること。正直、手探りな場面も多いですが、いい意味で口出しをし合えるのが良いインプットにもアウトプットにもなってますね。

山口:まさにWEBサイトがそうでしたよね。これまで明確にWEBディレクターという職種は不在でしたが、その分全員でアイデアを出し合い、制作してきました。決して、その道のプロではないですが、ワンチームで取り組んだからこそ、良いものづくりができた面もあると思っています。

NOT A HOTELは全員がクリエイターなのかもしれない


―お二人が考えるNOT A HOTELにフィットする人とは、どんな方だと思いますか。

山口:大きなビジョンを描けることも大事ですが、とことん細部にまでこだわれる人ですね。それこそ1ピクセル単位のズレやアニメーションの入れ方にコンマ数秒こだわれる人。

ーこだわりのレベルがとても高いですね。

山口:実際にNOT A HOTELに行ってみると、その理由がわかる気がします。ランドスケープから建築、内装、料理、接客まで、隅々にこだわっている。もしかしたら、WEBや広告のコミュニケーションによる、わずかなミスによって、これまで築き上げてきた世界観を一瞬で崩してしまいかねないわけです。それは絶対にしたくない。「WEBサイトも、NOT A HOTELの一つのプロダクトである」と中牟田さんも話していましたが、そういう小さなこだわりの積み重ねがブランドをつくると思っています。建築やソフトウェア、サービスに劣らない、むしろ超えていけるようなクリエイティブをつくらないといけません。実際、今でも広告を出すときは毎回緊張しますし、それだけは忘れたくないですね。

中牟田:すごく共感します。その根底にはクリエイターに対するリスペクトがあると思っていて。

一というと?

中牟田:建築もソフトウェアもCSもセールスもコーポレートもマーケティングも、NOT A HOTELというブランドや体験をつくるクリエイターなんじゃないかと。全員にその自覚とリスペクトがあるからこそ、自分の役割や業務に全力で取り組める。今の山口さんの話を聞いてそんなことを思いましたし、そんな価値観を大切にする方に是非仲間になってほしいですね。

一今回の記事で未来の仲間に伝えられたらいいですね。最後に現在募集中のWEBディレクターを検討している方へ、メッセージをお願いします。

山口:そうですね。大きな理想を描くことって、これまで急速に拡大してきたNOT A HOTELだからこそ大事だと思うんです。NOT A HOTELのECサイトとして、あるいはブランドサイトとして、どんな要素を足せば、あるいは引けばいいのか。売り方や見せ方もそうですが、より先々を見据えながらブランドそのものを考えていただけるような方からのご応募、お待ちしています。

中牟田:WEBを中心にしながら、一つのブランドに深く長くコミットし、育てていきたい方にとってはとても良い環境だと思います。昨年、NASUやAOSHIMAをはじめ複数の拠点がオープンし、本格的に稼働し、手応えと同時に多くの改善点が見えてきました。「NOT A HOTELって既に完成されているんじゃ?」という声もよく耳にしますが、まったくそんなことはありません。マーケティングチームもまだ3名体制ですし、裁量を持ってチャレンジできる絶好のタイミングと言ってもいい。是非同じ想いを持った方とお話しできることを楽しみにしています。

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STAFF
EDIT・TEXT・PHOTO:Ryo Saimaru

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