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ソムリエの私が、NOT A HOTEL開業で学んだ「気づかせない」おもてなし

NOT A HOTELのVALUEである「すべての常識を"超えて"いく。」を、働くメンバーそれぞれの視点で紐解くシリーズです。何に共感してNOT A HOTELという道を選んだのか、どんな価値観を持ってここにいるのかを問います。
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Vol.3のメンバー:
若松 依里
NOT A HOTEL MANAGEMENT ホテルアシスタントマネージャー

今村学園ライセンスアカデミー栄養士科卒業。栄養士の実務を経て、2017年管理栄養士取得。中東料理を在来種、固定種の個性豊かな食材で表現する「FYLGDU MÉR」にてキッチン、サービスを兼任。サービスの面白さに目覚め、2021年ソムリエ取得。2022年3月にNOT A HOTEL MANAGAMENT入社し、レストランのアシスタントマネージャーを経て、現在はホテルのアシスタントマネージャーを務める。

プロフィール

誰かに喜んでもらうことの喜び


— 管理栄養士を志したのはどうしてですか?
わたしの両親はフルタイムの共働きでしたが、料理はいつも手作りで用意してくれました。母はお弁当も含めてできあいのものをほとんど使わず、栄養バランスだったり美味しいものを食べさせるための工夫だったり、思い返せばいろんなことをしてくれていたなと思います。

そんな母の影響もあり、小学校の頃から料理を作って家族や友人に喜んでもらえることがわたしの“喜び”でした。日々の食卓を通して、無意識のうちに「味や見た目だけではなくて、栄養も大事」だという意識が自然と芽生えていました。そのころに管理栄養士という仕事があることを知って、わたしの目標になりました。

高校卒業までその夢はぶれずに、地元鹿児島県の専門学校で栄養士科を卒業しました。

— どのようなキャリアを歩みましたか?
卒業後はクリニックと病院に2年半ずつ在籍して、調理や献立作成、発注業務、衛生管理全般を担当しました。学ぶことが多く、そして患者さんの健康に携われることにやりがいを感じていましたが、一方で患者さんと実際にお会いすることはほとんどありませんでした。実務経験を経て管理栄養士の国家資格を取得したタイミングで、気持ち的にも一区切りつき「もっと多くの人の笑顔を見れる仕事に就きたい」という想いで25歳の時に、飲食業界にキャリアチェンジしました。

はじめて地元の鹿児島を離れて、福岡の「FYLGDU MÉR」というレストランに就職しました。小さなお店だったため、食材の仕入れから調理、接客まですべてを経験させていただきました。

このブランドでは食を通した「地球や身体の巡り」をテーマにしていました。食材をひとつ選ぶにしてもどんな想いを持った生産者がどんな土で育ててくださったのか、お水はどんな場所を巡ってきたのか、うつわを通して伝統工芸の魅力を再発信できないか、といった細部まで「本物をつかう」ことを追求していました。

例えお客さまに見えない部分でも、プラスチックを削減するために保存容器はすべてホーローを選んだり、あえて無垢材の一枚板のテーブルで経年美化を楽しんだり......。そこまでこだわり抜くことで初めて、お客さまにも何ひとつ嘘偽りなく話ができるのだと感じていました。

ここで得た「軸をぶらさず、必要なことは一切妥協しない」という姿勢が、わたしがいま「NOT A HOTELらしさとは何か」を考え、サービスをする原体験になっています。

指先に“やさしさを灯す”ように


— お客さまへの接客で心がけていることはありますか?
キャリアチェンジのあとは接客の面白さにどんどんと魅せられていき、お客さまの笑顔に触れるたびに幸せを感じていました。

お客さまにサービス提供をする上で「指先までホスピタリティを」ということを意識しています。きっかけは子どもの頃から習っていた茶道と日本舞踊の経験です。姿勢や指先まで神経を行き渡らせることで、全身を使っておもてなしの心を表現をすることを学びました。

接客をするようになってからは、うつわを扱う手、ブランケットをお渡しする手、お席をご案内する指先まで、感覚を研ぎ澄ませるようになりました。手はその仕草で、柔らかい印象を持たせることも、はっきりとした意思を伝えることもできます。本当のおもてなしができた時、指先にまで灯るようなやさしさをお客さまに届けられたらと思っています。

世界をもっと知るために、NOT A HOTELへ


— NOT A HOTELを知ったきっかけを教えてください。
レストランでのサービスにやりがいを見出し、ワインソムリエの資格を取得しました。学びを通して「もっと経験を積んで、一層お客さまに寄り添ったサービスができるようになりたい」と思うようになりました。とはいえ前職が好きだったので具体的に次を考えていたわけではなかったのですが、もし転職するならホテルや旅館で“一組のお客さまを深くおもてなしするようなサービスを追求したい”という想いがありました。

そんな矢先に「FYLGDU MÉR」の閉店が決まりました。とても残念だったのですが次の職場を探すために自分のSNSで発信をしたところ、たくさんの方が機会を与えてくださりました。その時に連絡をくれた一人が先にNOT A HOTEL MANAGEMENTへのジョインが決まっていた野村大智さんでした。

他店の飲食店の先輩だった大智さんとは一緒に働いたことはありませんでしたが、バイタリティに溢れる尊敬するワインソムリエの一人で、そんな彼が選んだ転職先だということにまず惹かれました。

話を聞くまでは福岡から出るつもりはなかったのですが、食事に行った際に大智さんがあまりに楽しそうに話をしていて「ここでなら挑戦ができそう」と思い、2軒目に行く頃には「一緒にやります!」と決断をしていました。

NOT A HOTELの「世界中にあなたの家を」という壮大な世界観にワクワクして、同時に建築のスケールの大きさや、目指すサービスのレベルの高さには圧倒されました。ここを訪れるお客さまに本当に喜んでいただけるサービスを目指すには、成長せざるを得ないと思いました。

「自分は力不足ではないだろうか?」という不安はもちろんありましたし、それは今でも感じることがあります(が実際は悩む暇がないほど、目まぐるしい日々です。笑)。でもそのときのわたしは、取り組んだあとに絶対にいいものが残るという直感がありました。そしてやりたいことのチャンスが、このタイミングで巡ってきたからこそ「今しかない!」と思って飛び込みました。

“違和感を感じさせない”というおもてなし


— 入社してからはどんなことを担当しましたか?
2022年3月に入社をして宮崎県青島で働き始めた頃は「NOT A HOTEL AOSHIMA」に隣接するレストラン「LDK」の4月末のオープンに向けて開業準備の真っ只中でした。一緒に時期に入ったオープニングメンバーと一緒に、レストランのホールオペレーションの構築や、アルバイトスタッフの教育などに取り組みました。

実際にオープンしてお客さまがいらっしゃって初めてわかることもたくさんありました。その度に、それぞれ得意分野の経験を持ち寄ってレストランの導線や営業の形を決めていきました。

— 常識を“超えた”と思ったことは何ですか?
8月からはレストランのソムリエとして働く一方で、ホテルのアシスタントマネージャーとしてホテルの開業準備を行いました。10月にプレオープンし、12月の開業までにオペレーションの改善を重ねてきました。わたしは主に清掃やインスペクション(チェックイン前に客室の状況を最終チェックする役割)を担っています。

この数ヶ月間でお客様からいただいたフィードバックや、運営チームに溜まった知見を通して、NOT A HOTELのホテルサービスの根幹となる軸が見えてきました。中でも学びが大きかったのは、おもてなしの範囲の広さについてです。サービスとは接客のことだというのが、わたしにとっての常識でしたが「おもてなしは接客の前からはじまっている」ということに気付かされました。

ホテルでの清掃を例に挙げます。ホテルはきれいであることが当たり前なので、清潔であることや整頓されていることに感動されるお客さまは少ないかもしれません。でもその逆のことがあった場合には、お客さまはすぐに気がついて残念な気持ちになってしまわれるかもしれません。せっかくの楽しい気持ちを邪魔しないために「違和感を感じさせないこと」が大事です。

NOT A HOTELではこだわり抜いた建築と空間、そしてお食事をご提供します。お客さまの気持ちが「感動」に最大限集中できるように、当たり前のクオリティを落とさずに不要なストレスを与えないことが清掃やインスペクションの役割です。

そしてその「当たり前」はお客さまのことを日頃から本当の意味で観察して、想像しないと徹底できません。どうしたらお客さまに違和感なく寛いでいただけるのか、どんなふうにお部屋で過ごされるのか、それを想像して初めて「グラスに汚れが残っていないか」「埃がないか」「タオルの位置はずれていないか」といった隅々にまで気配りができるようになります。

そしてそこまでの基礎ができたうえで初めて、お客さまとの何気ない会話であったりお話しさせていただく時の笑顔といったプラスの部分が、サービスの感動体験につながっていくのかなと思っています。

ホテルの“常識”に捉われない柔軟なサービス


ー NOT A HOTELらしいサービスとは何だと思いますか?
NOT A HOTEL MANAGEMENTではチーム全員が「お客さまが喜んでくれること」に真摯に向き合い、どんどん新しいアイディアを取り入れています。

実は代表の林さんも含めて、NOT A HOTEL MANAGEMENTにはホテル経験者がほとんどいません。ゆえにわたしたちは人一倍勉強すべきことが多いのですが、ある意味でホテルの常識に捉われることなく「無理だと決めつけないで、なんでも挑戦する」ことを大切にしています。

わたしたちは、チームの誰かがお客さまのためを思って考えたアイディアを否定しません。一見難しそうなことだとしても判断基準は「できそうかどうか」ではなく「お客さまが喜んでくださるかどうか」です。

たとえばお部屋の無人コンビニにご用意するドリンクは、お客さまの趣味嗜好に合わせてアレンジすることがあります。どのお部屋も同じものをご用意することは簡単ですが、滞在していただく回数が増えるごとによりよい体験をしていただきたいという思いから、お客さまの好みに沿ったものをご用意しております。

そのようにひとつひとつは小さなことの積み重ねですが、やるべきことを叶える方法をみんなで前向きに考える姿勢や、柔軟さがNOT A HOTELらしいサービスをつくると思っています。

個性豊かなワンチームで目指す世界


ー NOT A HOTEL MANAGEMENTはどんなチームですか?
各分野のスペシャリストが全国から集まってできた個性豊かなチームです。世界各国で料理の修行をしてきたシェフもいれば、デザイナーを兼任しながらレストランで素晴らしいサービス提供をするスタッフや、まったく違う業界からキャリアチェンジをしてきたスタッフもいます。

それぞれが今までの経験や技術を用い、NOT A HOTEL MANAGEMENTをより面白いものにするために考えて行動しています。そんな彼らと一緒に働けることは、わたし自身学びも多く、おもしろい職場です。

また親会社であるNOT A HOTELのメンバーと顔を合わせる機会も多く、ひとつの目標に向かっているチームなのだと実感します。サービスチームとはまた違った形でスペシャリストが集まっているため、仕事の仕方ひとつ取っても勉強になることばかりです。そんなメンバーたちと壮大な夢に向き合えていることにやりがいを感じます。

改善したいことが生まれるたびに各チームが爆速で対応して、チーム全体で“良いものを作ろう”という雰囲気があることにワクワクしています。

ー これからやりたいことについて教えてください
これから全国に拠点が増えていくにつれて、運営スタッフも増えていきます。その時に拠点ごとにチームを固定するのではなくて、ワンチームとして刺激し合える関係性を作りたいと思っています。全体で統一した体験を提供しつつ、スタッフひとりひとりの個性を活かしたプレイスのカラーづくりができたら、拠点ごとの違いを楽しめるNOT A HOTELになっていくんじゃないかと思っています。

NOT A HOTEL MANAGEMENTのメンバーは、みんなが自分の個性を活かして伸び伸びと仕事をしています。「自分はこういうことがしたい」「こんなことを活かしたい」という志を持った人には刺激のある環境です。ひとりひとりの個性もありつつ、チームにまとまりがあるのは「お客さまに喜んでもらいたい」というシンプルな一本の軸があるからです。

求められるクオリティが高い分、自律を求められるチャレンジングな環境ではありますが、それも含めて成長させてもらえるし、人生を豊かにしてくれる職場だと思っています。いい仲間に恵まれて、いいブランドで、いい仕事をさせてもらえる。仕事のスキルだけじゃなくて人間的にも成長させてもらっているように感じます。

人は環境で変わる、とわたしは思っています。NOT A HOTELでこれまでにないサービスを生み出したい、とワクワクする方がこれからチームに加わってくださることを楽しみにしています。

ー ありがとうございました。


NOT A HOTEL MANAGEMENTではシェフをはじめとした職種を採用しています。気になる方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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