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最近の若者は本当に語彙力がないのか

「最近の若者は本を読まない」とは仕事で一緒になった年配の某経営者の言葉である。
これは間違いないだろう。
実際私もあまり読まない部類に入る。

これによる弊害を彼はこう語る。
「本を読まないから語彙力が無いんだよ。最近の子は。」
なんでもかんでも「ヤバい」だの「エモい」だの広く使える言葉を多用したり、「草生える」や「ぴえん」みたいなよく分からない造語を使う最近の若者が気に食わないらしい。

実際私も使う側なのであまりいい気はしない。
最近の若者はダメだという愚痴は何千年も前から言われていて…
なんてクリシェな返しはいくらでも思いつくが、それを言うと場が寒くなるので我慢する。

しばらく聞いていると、この方の怒りの根幹は
「高校生の娘がよく分からない言葉を使っていて気持ちが悪い」というところにあるようだ。
たしかに、女子高生はどんな発想したらそうなるの!?というようなクリエイティブ?な言葉を往々にして生み出す。
そのような言葉の数々が、60歳手前のおじさんには理解ができず、娘が手の届かないところに行ってしまったような寂しさを感じたのだろう。

その悶々とした寂しさのはけ口を探して思考が堂々巡りするうちに、対象を最近の若者に一般化し、よくわからない言葉を使うのは語彙力が無いからだ、語彙力が無いのは本を読まないからだという三段論法の結論に至ってしまったのではないか。


時代に置いて行かれた悲しきおじさんの末路である。。

思い返してみれば、仕事でWEB関連の話をする際、
「コンバージョン率が悪いですね」
と言っても
「コンバージョンってなんだ?日本語で説明してくれ」
のようなことを何度言われたか分からない。

コンバージョンが一般語彙とは言わないが、仕事柄避けては通れない言葉であるので、これくらいは知っておいてほしかった。

やはりこれくらいの年齢になると新しい概念をなかなか受け入れられないのだろう。

若者が本を読まないから語彙力が無いのではない。
若者は若者で新しい語彙を作る。おじさんは自身の語彙をアップデートできないので、おじさんと若者では一般語彙の差が生じてしまう。
すると、おじさん視点では若者が語彙が無いように見える。

こういうからくりではないか。

そうすると皮肉なことに、
「語彙力が無い」と若者を非難していたおじさんは、
若者視点では同じように「語彙力のないおじさん」と認識されていることになる。



この経験を受けて、自分もいつか新しいものが受け入れられないおじさんになってしまうのだろうかと悲しくなった。

いつまでも新しいものをフラットな心で見ることができる「素直さ」を大事に生きていきたいものだ。

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