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映画『ブルーベルベット』(1986年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ブルーベルベット
原題:Blue Velvet
製作年:1986年 アメリカ
監督:デビッド・リンチ

映画『ブルーベルベット』は、

切り落とされた人間の耳を見つけたことから、一人の青年が奇妙な事件に巻き込まれるサイコスリラーです。デビッド・リンチ監督の出世作として今なおカルト的人気を誇る映画です。

キャスト

・カイル・マクラクラン(ジェフリー・ボーモント)
急病の父を見舞うために一時帰省した大学生  

・イザベラ・ロッセリーニ(ドロシー・ヴァレンズ)
ナイトクラブの歌手 

・デニス・ホッパー(フランク・ブース)
ドロシーを暴力で支配する男

・ローラ・ダーン(サンディ・ウィリアムズ)
ジェフリーの母校に通う高校生 事件を追うジェフリーに協力する

映画『ブルーベルベット』の見どころと感想

1950年代のアメリカ、ノースカロライナ州の田舎町。大学生のジェフリーは父を見舞った帰り道で、切り落とされた人の耳が落ちているのを発見し警察署に届けます。

その後、事件の真相が気になるジェフリーはナイトクラブの歌手ドロシーが事件に関わっていると聞き、興味本位でドロシーの部屋に侵入。クローゼットに身を隠し覗き見たドロシーの生活は、暴力的な男にフランクが強要するセックスと凌辱されながらも恍惚となるドロシーの表情でした。

そしてジェフリー自身もドロシーとの行為におぼれていきー。

評)見てしまったら、見なかった世界には戻れない

耳の持ち主はどうなってるのか、が早々にどうでもよくなるほどの暴力と変態性癖。そこが刺激的なのは言うまでもありませんが、この映画の見どころはそうした露悪性に映し込んだ人間や社会の暗部ではないでしょうか。

映画の舞台は1950年代のアメリカ田舎町。”古き良き”が根強く残る幸せを絵にかいたような家族の風景が冒頭に描かれています。

が、そこから一転、水撒きをしていた男(ジェフリーの父)が発作で倒れ、犬が暴れだす様子をスローモーションで描き、続いて草むらのうごめく黒い虫の群れを超クローズアップで捉えます。

気持ち悪いですよ、これは。虫が、というのではなく、こうやってキレイに取り繕った世界(青空と真っ白な柵と真っ赤な花に象徴)の裏は生存と性の欲に満ち満ちている、それを今からたっぷりお見せしますー、というリンチ監督の変態性。

ストーリーはジェフリーが事件の真相に迫るというサスペンスなんですが、とにかく人物、行動、描写のすべてが衝撃的。もう、耳の持ち主が誰かなんてどうでもいい、ホント、どうでもいいんですよ。

ラストも同じ”古き良き”風景が映し出されるのですが、ここまで暴力と変態性癖を見せつけられた今となっては、この”古き良き”ほうがよほど気持ち悪く見えてしまうのです。表と裏、光と闇、虚と実ー。ひっくり返されたら、もう元には戻れないのです。

主演はカイル・マクラクラン。妙につるんとした顔がフツーのイケメンではない独特の気持ち悪さを漂わせています。

一方、ドロシーのI・ロッセリーニ。母イングリッド・バーグマン譲りの超美形なのにこんキツイ役をー、しかも案外なたるみボディ。酸素吸入器を片手に侮蔑語を吐き”ブルーベルベッド”の手触りに悶絶するデニス・ホッパー、この泣き顔、女優としてOKなの!?なローラ・ダーン。

衝撃が止まらない映画『ブルーベルベット』 これはぜひ、一度はー。

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