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【映画日記】「思うようにはいかない」映画『ザ・キラー』にしてやられる

2023年11月15日

先日行われたの宝塚歌劇団の謝罪会見が虚しくてたまらなかった。
問題を労働環境にすり替え、加害の実態を見えなくする姿勢にゲンナリ。会見席に並ぶ面構えにも「記号」を見ているような既視感を覚えた。

こうした謝罪会見の席に着く人に「個」が見えないのはなぜだろう。謝罪会見用の服装、言葉遣い、表情、態度が準備されるのはわかるけれど、ああいう立場になると「素」の自分自身を守りたいという意識が強く働くのだろうか。

その予定はないけれど「謝罪会見仕様の自分」を想像してみる。はたして自分をさらけ出して謝れるだろうか。


こちらは一味違う「思うようにはいかない」を楽しめた映画『ザ・キラー』

監督 デヴィッド・フィンチャー & 主演 マイケル・ファスベンダー
背筋どころか全身が“凍結”するサイコサスペンス・スリラー『ザ・キラー』

というフリに、冷徹な殺し屋のノアールサスペンスを期待してました。

映画『セブン』(1995年)『ファイト・クラブ』(1999年)ほか、その奥行きにいつも驚かされるデヴィッド・フィンチャー監督作品。『それでも夜は明ける』(2013年)の冷酷非情な農場主や『FRANK-フランク-』(2014年)でほぼ被り物で出演というある意味サイコなマイケル・ファスベンダー。Nスタイリッシュなキー画像。ティルダ・スウィントン様まで出演となればそりゃ期待しますよって。

が、見始めると「ン?なんだこれは、どこがサイコやねん……」と。

こう書くと「期待外れだった」と思われるかもしれませんが、いい方向に外されました。ネタバレはしませんが、ノワール!殺し屋!殺しの美学!とワクワクしていた期待を見事に逆手に取られ「してやられた!」。

主人公が「思うようにいかない」に直面するのですが、それを見ている自分の「思うように」もグラグラ揺さぶれる。この映画やっぱりサイコです。



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