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月報(2021年7月)

■ もういっかいやすみ

    またしても「緊急事態宣言」が発令された月でした。個人として色々と思うところはありますが、今年これまでの歩みの中で積み上げてきた試みも芽吹きつつあります。立ち止まっているわけではありません。

    限られた状況の中でも自分にできることは増えてきているし、ゆたかな交友は保てています。だいじょうぶ、と言い聞かせます。

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   発令の直前に海に行きました。あげは蝶が一羽潮風に吹かれて飛んでいきました。

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   海だったものたちの欠片を持ち帰り毎日眺めています。美しかった風景をずっと胸に刻みながら生き延びような、とこころに誓う日々です。

   宣言が出ているとは言えど、気を付けつつ動物園訪問も続けています。今月は2回も多摩に行ってしまいました。生けるものたちと向き合う時間は、いい時間です。いつの間にか動物園に通い始めてから4年が経っていました。

■ 読書がたのしい

 この7月は今年、いやここ数年で最も読書の密度が高かったひと月だったかも知れません。

    内田百閒と開高健をしっかり読もう、という軸はあったものの、やや乱読気味でした。けれど、つまらない本はありませんでした。全部私にとって「当たり」です。

    本を読むのが楽しいという感覚は何年ぶりでしょう。大学時代でさえも研究や課題のために読む本が多く、純粋に楽しむ読書はできていなかった気がします。行動派としての自分を制限されたら、違う形で動き回るための心を整えていくしかないのです。

 皮肉なことではあるけれど、こうして自由な読書ができるようになっていったのは今の状況が私にもたらした正の作用だと思います。

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■ 猿走り、霊長類学会、甲子猿

 7月の前半は、現在制作している「霊長類フリーマガジン【EN】ZINE Re:Boost!!」の寄稿者のひとりでもある、霊長類研究者の武真祈子さんから嬉しい企画のお誘いがありました。「猿走り」です。

  今月の前半戦は 「猿走り」に便乗する格好で、ゆるゆるとジョギングしていました。まだ本格的に酷暑となる前でいい気晴らしになりました。走っていたら野生動物たちにも何度か出会えたのも嬉しかったことです。

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   「猿走り」からの流れで、オンライン開催された日本霊長類学会も聴講しました。

    動物園での飼育の記録が研究に生かされていることや、人畜共通感染症の広がりが野生の大型類人猿に影響を与えていることを再確認でき、よい学びがありました。

   毎年楽しみにしている日本モンキーセンターのプレゼンバトルイベント「甲子猿」の視聴も、今月楽しかったこととして挙げたいと思います。

   まだまだ第1回戦が終わったところなので、楽しく勝負の行方を見守っていきます。第1回戦の個人的なベストバウトは魏梵島vs楠ライスです。


■ 「蠍座小説」

   7月はものすごく久しぶりに小説を書きました。全国の動物園の閉鎖が現実のものとなったことを受けて「書けなくなってしまった」連作『いのちの箱舟』への着手にはまだ至っていませんが、「夏」と「蠍座」と「ペット密輸」をテーマにした前後編を綴り、『デザートヘアリースコーピオン』と題しました。

   今まで綴ってきた文章とは毛色が違うので戸惑う方がいるかも知れませんが、取り組んでいてとても楽しかったです。

   ルポや短歌も含めて、余力がある時でなければなかなか創作・執筆はできないのですが、これからも気が向いたら緩く作品世界を生み出していけたらいいな、と思います。

■ 「ノスタルヂアに惑わされるな」

   7月の後半は、動物園を訪問した昔の記憶を掘り起こし、「ノスタルヂア」をテーマにした3本のルポ記事を発表しました。

   この連作で取り上げた動物園のルポ執筆は初訪問から時間がかかりました。とりわけ結論部分にあたる遊亀公園編を仕上げる上では甲府市の資料も読み込み、丁寧に記述することを意識しました。

  プロフィールに「記憶のメディアとしての動物園」に関心がある、と綴ったように、日本の動物園に横たわるノスタルジーには私自身強く惹かれてきたところがあります。

 ただ、そうした郷愁にも似たまなざしが変革の枷になっている側面もあるのではないか、という立ち位置から、問題提起を深めることができたと考えています。

 ここで出した結論は「すべて」ではありません。まだまだ探求を続けていきます。

■ その他、継続事項ほか

   ここからは箇条書きです。

・ 霊長類フリーマガジン。編集チームで最終チェックを行っています。ことし1月からの長丁場でしたが、完成まであと一息です。

・  財務会計の勉強。隙間時間でゆるゆる続けています。むかし一度挫折した分野についても、自分ごととして引き受けていく大切さを感じます。下手の横好きですが、好きな分野だという感覚があります。

・音声通話アプリ「mocri」を通じた交流。毎日誰かしらと喋っている気がします。とてもありがたいつながりです。筋トレ部もゆるゆると継続しています。


 ままならぬことが続く日常ですが、このまま元気で夏を走り抜けていきます。皆さんもお元気で。時節柄体調等お気を付けください。