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桃崎有一郎『室町の覇者 足利義満』


【足利家の認知の歪み、歴史を動かす】

歴史の区分は1つしかない、俺様の前か後かだ!
室町切ってのイケイケドンドンと思われがちな義満であるが
もちろん最初から順風満帆であったわけではない。
自分に不利と分かれば目標を達成する為に『待ち』が出来たのが
義満の一番恐ろしいところだと思う。

義満ばかりではなく、拗れたキャラが多い足利家は魅力的である。

カリスマだが、躁鬱な尊氏。
金も暴力も権力もコミュ力もあるが、新儀フェチで陰湿な義満。
大政治家だが、プッツンな義教。

坊主でありながらヤクザであり、キャバ嬢でもある義満。

源氏名室町殿は「今度イベント(仏事)あるんだー」と言いつつも決して来いとは強制しない。
だが蔑ろにしようものなら「あいつマジ空気読めてなくね?」
「おめーの席(所領)ねーから」と
社会的に抹殺してしまうのだから恐ろしい。

朝廷では作法と先例が力を持つ、この知恵をつけ、
揉み手のし過ぎで火傷するのではと思うほど媚びたのが
初代揉み手マスター二条良基だ。

生まれ持っての唯我独尊が
厄介なことに知恵も持ち合わせ、皇室にも襲い掛かる。
次第に病んでいく後円融天皇を公家達は素知らぬふり。
だって、室町殿おっかねえもん。
もはや止めるものはいなくなりました、現世では。

数々の先例破りをしてきた義満ですが上皇にはなれませんでした。
何が義満を止めたのか、君臣の別です。

室町時代でも先例が積み重ねられてきました。
その重みはいま生きている人間だけで軽んじていいものではないのです。

翻って現在ではどうだろうか。皇室を守りたい、日本を守りたい。
そう自称している人間も、知識の浅さから行動に結びついてない。

そうならないようにまずは知識を深めることから始めたい。

今の時代に義満がいたら一体誰が止められますか。

追伸 著者は上皇陛下の事を平成○○あるいは○○天皇と称する箇所があるが
これが歴史学会に対するエクスキューズなんだろう。
こういうのが無いと「あいつマジ空気読めてなくね?」
「おめーの席(ポスト)ねーから」と社会的に抹殺されてしまうのだろうか、恐ろしい。


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