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NEO表現まつりZ|クロストーク【譜面絵画×かまどキッチン×たちくらようこ】

6月21日から2週間にわたって開催される『NEO表現まつりZ –技術開放!芸術家たちがなんかやる!!』。13組のアーティストが参加し、10の演目+5つのWSが開催されます。
「まつり」開催に向けてそれぞれ準備を進める参加アーティストの方をマッチングし、普段の活動や「まつり」に向けての心境などを伺うクロストークを実施。
今回は、譜面絵画から三橋さん、かまどキッチンから佃さん・坂田さん、たちくらさんをお迎えし、それぞれの創作状況や心境を伺いながら、まつりの全貌とそれぞれの取り組みに迫ります!

-今回みなさんが「まつり」で実施することから伺えたらと思います。

:今回は次にやる公演に向けて、なんちゃってレクチャーパフォーマンスみたいなことをやります。上演自体は20分くらいで、その前後にレクチャーを挟んだ計60分ぐらいのパッケージのパフォーマンスを予定してます。

-次回の公演では何がテーマなんですか?

:大きい公演だとモチーフは毎回人間以外をやることにしてるんですけど、次は「石」をやることにしてます。

三橋:これまではどういうモチーフだったんですか?

:直近のこまばアゴラ劇場とかでやっていた『燦燦SUN讃讃讃讃』っていう作品だと、「衣服」をモチーフにして、その前は「塩」をやって、劇団の立ち上げのとき「建築物」でやってました。人間じゃないものが人間と同じような社会を構築して動いているところを見て、人間社会に思いを馳せたり、人間社会に批評的な目を向けるみたいなのが一個コンセプトとしてあります。

三橋:かまどキッチンは児玉(健吾)君もいれば、皆さんそれぞれが独立して自分のパワーを持ってらっしゃるアートチームじゃないですか。「石」をモチーフにするとか、新作公演をつくるとき、チームとしてどう決定しているんですか?

企画の立ち上げに関しては主宰である僕と児玉で話して、どういうものを扱いたいとか、どういうテーマで上演したいとかを話して方向性自体を決めるという感じですね。モチーフは児玉持ち寄りで、テーマは僕もちよりな場合が比較的多いかなっていう感じです。共同主催なので、児玉が作・演出で、僕が企画プロデュースなんですけど、立ち上げの時は一対一で話して二人でこういうのをやろうって決めて出すっていう感じで作ってますね。
そういう意味だと、僕は譜面絵画のことを、めちゃくちゃ制作がいっぱいいるすごいチームだと思ってて笑。

三橋:そうですね、五人メンバーがいて、サポートメンバーが一人の六人体制ですね。制作二人とサポートメンバー一人が制作助手としてやってくれてて。でも制作は三人とも全員日中働いてるので、公演のベースにおける応募や助成金とかの最初の叩き台は大川で、外部とのやり取りは河﨑が担当したりとか、チェックはみんなでやったりなど、ふんわり分担してやってますね。
作品に関しては本当にのびのびとやらせてもらってます。

:作品自体は、三橋さんが主体で考えてまとめていくみたいな感じなんですか?

三橋:そうですね。自分たち主催の公演とかはそんな感じです。でも、週に一回会議してて。

-すごすぎる。

三橋毎週金曜21時半から会議、最長で24時越えるまでやったりしてて。そこで助成金のタイミングだと応募するものの内容を擦り合わせたり。半分以上は雑談ですけどね笑。

:割と友達の延長みたいな形でその劇団が存在する感じですかね。

三橋:そうですね。話すこと自体が全然苦じゃない関係性というか、友達ベースで始まってて基本仲いいっすね、全然みんなでご飯行ったりしますし。あと集まったらみんなで写真撮るし笑。六人全員が集まることは稀なので。

-譜面絵画は今回『どんな演劇を(みんなは)観たい?』ということでトークイベントなんですよね。

三橋今回は「どんな演劇を見たいか」というテーマで、演劇に対しての言語化みたいなことをしたり、自分たちメンバーとかゲストを招いて一緒に話せたらなと思ってます。

-最初にこの企画を見た時、どういう動機なんだろうと不思議に思ってたんですけど、週一で集まっておしゃべりしてると聞くと、めちゃくちゃ必然性があるなと思いました。

:譜面さんの話したことって、大枠まとめて公開したりするんですか。僕らは上演の日程上、参加できなかったりするので、どんなこと話されるのかとかちょっと興味があって。

三橋:二回ステージがあるんですけど、最後に何か形に残ったらいいなと思っていて。でっかい模造紙にみんなで書き込んだやつを残したり、アンケートみたいな形でみんな書いたものをシェアしたり、みたいなことは考えています。オンラインで公開するみたいなのも面白いかもですね。

:僕は自分の団体とか関わる企画で、こういう感じでお話しする鼎談みたいな企画をやることが多くて。演劇やってる人たちが何を考えていて、どういうことをやっていて、今この界隈の人たちが何を考えているのかっていうのを、僕が始めた時は今ほどわからなかったので、アーカイブしてすぐ参照できるようにしておきたいなって思っていて。僕みたいな検索することが好きなオタクが見つけやすいようにと思って鼎談をやってるみたいなところがある。

三橋この夏のいろんな企画とか公演とかのプログラムが徐々に発表され始めていると思うんですけど、その中でどれが琴線に引っかかったかっていうところとか、自分たちが面白がってるとことか、面白そうだなと思ったことをシェアすることで、何を面白がってるのかっていうのがわかると今後の自分たちの宣伝にも役立つのではないかなというのは思ったりしますね。

-たちくらさんは今回、「まつり」ではいろんなプログラムに参加しながらずっといるみたいな感じなんですよね?

たちくら:「乗る場」がお客さんの休憩スペースになるんですけど、そこをコンフォータブルな空間にします。床をふかふかにして。ちょっとした飲み物とか、触ってると気持ちが落ち着くグッズとかを置いておこうと思っているのと、それのミニ版でお一人様用のテントを防災スポットに置いて、床をふかふかにしたり、こういうもの(ぬいぐるみ)を置くっていうことをやります。あと、西尾久の地図を作ったのと、たのまれやさんというお仕事をやろうと思っています。会期中この辺りをうろうろし続けて頼まれたことを悪いこと以外は全部やる予定です。

-たちくらさんの「まつり」への臨み方はすごいフレキシブルでアグレッシブですよね。公演のお試しとか、手前の準備みたいに使うアーティストもいる中で、不思議な立ち位置で、でもいい雰囲気を作っている印象があります。その取り組みはどういう動機から始まっているんですか?

たちくら:一応アーティストとしての肩書きとか専門性としては、演劇をやっている舞台俳優なんですけど、今はそんなに演劇を信じられないモードになってまして。以前は芸術原理主義というか、いい作品を作ってれば人は幸せになれるのではないかみたいな感じでいたんですけど、そうでもないなって最近思ってて。なんか疲れ方が健やかでないことは多々あるなと思って。最近ハラスメントの話もよくあるんですけど、そういうのもあって、演劇じゃないけど人をハッピーにできる何かを開発しておきたいみたいな気持ちがあって。すごく安易な方法として快適な環境を作るというのと、困ったら助ける人として常駐するっていう。演劇とかアートとかっていうのを抜きにしたら、結構シンプルな、せっかく来てくれたんだからハッピーに過ごしてよみたいな心持ちです。

:たちくらさんは「乗る場」のコミュニケーション強者だと思っていて。Slackをめちゃくちゃ活用しているし、いろんな場所に顔を出されているし、いろんな「乗る場」の方々の公演にも参加されてるっていうイメージがあったんですけど。今話しているのを聞いて、「乗る場」でのコミュニケーションのハブみたいな感じでいてくれてるのかなと思いましたね。今回も僕たちは「乗る場」に入ったばっかりで、全然ほかの「乗る場」の参加アーティストと関わりないんです。稽古場来てくれたりだとか、児玉君もやってる西尾久のポケカ会とかで交流があって非常にありがたいなと思ってます。

たちくら:ありがとうございます。自分はわりとコミュ障な人と思ってたので笑。人と会うことに結構エネルギーを使うタイプなので、『えいっ』と思って人に会いに行くんですけどね。「乗る場」界隈の人は安心できる人が多いから油断はしてますね。
「乗る場レポート」を書く係になってるのが効いていて。取材を口実にどこにでも行けるっていう。取材とかっていう口実がないと、もともと全然会ったことない人の稽古に潜入するのはハードル高いので。『取材したいです。記事書きたいです。』って言うと、だいたいみんな『あー』って言って受け入れてくれるっていう便利な肩書きですね。


たちくら:去年の「まつり」では庭を作って植物を大量に置くっていうのをやってました。今年の『NEO表現まつりZ』をやる時に、アラマホシ商店の江尻さんを呼んでおしゃべりする会をやってて、全然知らない外部のお客様があと二人ぐらいきてたんですけど、庭をやたら褒めてくれて。『あのおかげで「まつり」感があった』とか言ってくれた。これは良い効果があるんだなと実感して、この方向はわりといける、コンフォータブル方向を進める勇気をくれた出来事でした。

三橋:たちくらさんの「まつり」での振る舞いの選択の仕方は、人としてのつながりをつくる感じがすごいしますね。僕は演劇を作るとき、演劇はコミュニケーションツールとしていいなって思うところは結構あって。稽古場で集まって一個の作品を作っていくところとか、きたお客さんとコミュニケーションが取れたり感想を言い合えたりとか。そういう機会としての演劇ってすごい優れてるなと思うんですけど。たちくらさんはそれと同じように人同士のつながりというか、演劇じゃない形で、接点をもっと生活に近い単位で獲得しているというかチョイスしてるんだなと思いました。

たちくら:役割がない状態の人に興味があるというか、役割がなくても安心していられる状態を作りたいのかもしれない。演劇の稽古で会っている人たちとは、その時に仲良くなって、いろいろ信頼関係を築けたりするけど、もし私が俳優やめたら、この人は私と仲良くしてくれるだろうかみたいな不安があるんですよね。今仲良くしてもらえるのは、私がこの仕事をこなせているからではないだろうかみたいな不安がなんとなくあって。俳優やってますとかこの公演に関わってますとかっていう役割抜きで人と関われないかなみたいなのはあります。肩書きなしの状態でも大丈夫っていう安心みたいなのを提供できたらな、みたいなことは思っているんだなと今話してもらって気づきました。

-最後に、「まつり」にきてくれるお客さんに向けて一言ずつお願いします。

坂田:せっかく「まつり」に来てもらうんで、いつもと違う感じを楽しんでほしいんですよね。

:演劇公演を作るにあたって、どうしても創作って常に肩に力が入っちゃうというか、特に自分の劇団で責任を持って上演を実施するってなると、かなりキュッってならざるを得ないんだけど、今回「まつり」に参加させていただくという枠と規模的に大きなものにしえないっていうことなので、過去最小の座組でワークインプログレスみたいに実施します。演じるのも自分たちでやるという多分これまでにやったことない感じで進ませていただくので、良くも悪くも見たことない状態だと思います。それがポジティブかネガティブに終わるかどうかは置いておいて、僕らも挑戦なんで。

三橋:僕たちのステージが、21日の11時からで、「まつり」の一番最初のプログラムにあたるので、今回どれを見に行こうかなって迷ってる人に来てほしいと思います。そこで、どんな演劇を自分は面白いと思ってるのかな、何を面白がれるのかなというところを自分で見つめる機会にもなるといいかなと思っています。あとは、他の人の話を聞いて別のパターンを発見する機会にもしてもらえたら。

-たしかにここにきて「まつり」の見方を決めるというのも楽しそうですね。

たちくら:私はまとまっている作品をドーンとやるわけじゃないんですけど。他のパフォーマンスとかワークショップとかサロンとか、そういうものを楽しむための休憩所、楽しむための体力・英気を養う場所として、いい感じに過ごせる空間を作っておこうと思っていますので、疲れたら休みに来てね。あと、困ったことがあったら頼んでね。だいたい多分何でも、やれることだったらやるよっていうつもりでいるので、お気軽に。


譜面絵画『どんな演劇を(みんなは)観たい?』

作るのももちろんだが観る側にもコストが高いのが演劇の最大の魅力であり、最大の弱点でもある。そう思っていても私たちは観劇を続けている。コロナ以降なのかは分からないが、私の感覚では観劇不精になる人が増えていると感じている。今回のトークイベントでは、それぞれがなぜ演劇を観るのかを改めてシェアすることで、普段は観ない演劇に赴くきっかけになるかもしれないと思っている。今年の夏はどんな演劇を観られるだろうか。

日程|所要時間60分
6月21日㊎11:00〜
6月22日㊏15:00〜

会場|おぐセンター 2F 

かまどキッチン『遊星からの音楽.zip』体験版

かまどキッチンが予定する新作本公演『遊星からの音楽.zip』を円盤に乗る場がスクープ! 本作の世界観を体感できるリーディングにイメージトラックの試聴、構想** 年⁉️ 初代企画書の限定公開や企画書の限定公開や会場限定のオリジナルグッズも…⁉️ ここだけの催しが盛りだくさん!これは見逃せないぞ! (文:速報Gメン さかた)

日程|上演時間60分
6月21日㊎19:00〜
6月28日㊎15:00〜
6月29日㊏11:00〜

会場|おぐセンター 2F 

たちくらようこ『まつりのこんふぉたんとう』

『NEO表現まつりZ』をよりコンフォータブルにするべく活動します。 休憩スペースをフカフカにしたり、おひとり様用休憩テントをたてたり、会場近くの素敵な情報を集めたり、とか。 まつり当日は「たのまれやさん」をしています。「ちょっとこれ持って」から人生相談まで、なんでもたのまれます。ひと目でそれとわかる格好で会場付近をくるくるしているので、なんでもたのんでください。


かまどキッチン
東京を拠点に活動を行う劇団。私的な生活を再解釈・再構築して劇的な虚構をつくりだす。ミクロとマクロを軽やかに往復するモチーフとの独特な距離感が特徴。従来の劇場公演に縛られないギャラリーやライブハウスでの作品上演、地域創作など、場所とそこにある文化に基づいたクリエイションを心がけている。創作の傍らジエン社の制作協力など、他劇団のプロデュースも受け持つ。

譜面絵画
「観客における新たな体験性(ライブ性)」を制作目的とする。 その場で生まれる体験性の濃度を高めるため、会場や土地の文脈・観客のイメージを介し、想像力が会場空間から外に広がる演劇作品を発表する。そのため、劇場に限らず、ギャラリー、寺院、スタジオやカフェなど、様々な空間で演劇作品を創作および発表をしている。また、上記の演劇作品の強度を高めるため、戯曲の構造からも取り組んでいる。

たちくらようこ
漢字だと立蔵葉子。俳優、青年団。円盤に乗る場の庭の管理人。創作用ユニット梨茄子の主宰、梨茄子はなしなすと読みます、場所を使い倒すのが上手です。俳優としては青年団のほか、ムニ、お布団、円盤に乗る派などに出演。梨茄子では演劇のほか、体験型歌集、人形劇、メールマガジンなどを作っています。ごくまれに歌やLINEスタンプも作ります。もふもふと日向ぼっことフルーツサンドが好き。大きい音がちょっと苦手。

『NEO表現まつりZ­ –技術開放!芸術家たちがなんかやる!!』
会期|2024年6月21日(金)〜6月30日(日)

『NEO表現まつり』は2023年、アトリエ「円盤に乗る場」のメンバーが中心となって、東京・荒川区の西尾久エリアにて開催されました。アーティストによるいつもとは一風違った表現≪NEO表現≫を多数展開した『NEO表現まつり』は、多数のメディアに紹介されるなど大きな反響を呼びました。

そして2024年、よりパワーアップした『NEO表現まつりZ』となって帰って来ます! 同じ西尾久エリアを中心に、個性の異なる5種類の会場をご用意。ステージパフォーマンスやワークショップ、分類不可能なものまで、あらゆる表現が展開されます。

今年のテーマは「技術(ギジュツ)」。アーティストが日々アトリエで磨いている「技術」は、普段は作品の奥底に隠されています。しかしそこには、あっと驚く発見や思わず「自分も表現したい!」と感じてしまうような「何か」があるはず。それを掘り起こして、みなさんの前にお披露目します。

ここにしかない体験にあふれた6日間、あなたも未知に出会いに来ませんか?

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円盤に乗る場

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演劇プロジェクト「円盤に乗る派」が運営する共同アトリエ「円盤に乗る場」情報ページです。詳細はhttps://note.com/noruha…

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