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キッズドクターを支えるプロダクト開発

こんにちは。ノーススター(キッズドクター運営)で、エンジニアリングマネージャーをしている古谷と申します。

大きい方が僕です。小さい方は長男(4歳)

システムエンジニアという職種は、ほかの職種の人たちからすると「よく分からない人たち」かもしれません。しかしノーススターのエンジニアはほかの職種の人たちと同じで、「医療体験をもっと良くしたい!」と思っている人間の集まりです。

それを知ってもらいたく、今回はノーススターのエンジニアがどのような考えでキッズドクターを開発しているのかを紹介させてください。

 誰も正解を知らない領域の、ものづくり

キッズドクターの提供している「保険適用での初診オンライン診療」は2022年4月の法改正により可能になりました。つまり2023年7月現在、日本中の誰もにとって始まってまだ1年ほどの体験です。

患者さんにどんな体験を提供すれば、オンラインでもストレスなく診察を受けてもらえるのか…はたまた診察を行う医師や看護師、医療事務の方にどんなシステムを提供すれば、診察がスムーズに行えるのか…その答えはまだ確立されておらず、手探りでひとつひとつ作っていくしかないという状況です。

つまり私たちキッズドクターの開発チームは、まだ誰も正解を知らない未知の領域でものづくりをしています

そのためキッズドクターの開発チームでは、「リーン開発」という方法を重要視しています。最初から機能を手厚く・完璧な状態で作り込むのではなく、一旦最低限の状態で作り、仮説検証を行いながら改善していく、という方法です。

なんせ未知の領域なので、これが完璧だ!と思ったものを手間ひまかけて作ったとしても全然完璧じゃない可能性もあるし、これじゃ足りないのでは?と思いながら作ったものでも意外と足りたりすることがあるんです。

作ったものを実際に使ってみてもらわないと、本当に効果的かがわからないので、作ったものが無駄にならないように、そして素早く検証して本当の「完璧なもの」にたどり着けるように、あえて「これでは全然足りない」という状態で機能をリリースしています

病院に導入されている電子カルテのような医療システムは最初から多くの機能が搭載されていることも多く、医療領域でのリーン開発は特に珍しい
かもしれません。

なので、「キッズドクターの管理画面、なんでこんな機能も無いの?」「なんでこんなに時間かかるの?」「なんでこんな簡素なの?」と思われるかもしれないのですが…それは私たちが手を抜いているわけではなく、「最短で正解にたどり着ける方法を探しながら作っているから」ということを知っていただけると嬉しいです。

キッズドクターのプロダクト開発体制

キッズドクターの開発チームは、チーム開発の手法である「スクラム開発」を主軸としてシステム開発を行っています。前回の記事でもある通り、プロダクトマネージャー(スクラム開発でいうプロダクトオーナー)が製品としての方針を決定し、開発チームがシステムとしてどのように実現するかを検討・開発しています。

スクラム開発を行っている多くのIT企業が、この体制でしょう。

しかし現在キッズドクターでは、これまでのような「開発チームだけで完結する体制」から「実際に現場でサービスを運営してくれている医療チームのメンバーも含めてプロダクト開発と向き合っていく体制」へと変化させていく必要を感じ、徐々に体制変更を始めています。

実際に8月からは、多職種が集まる「フィーチャーチーム」という体制を作り、プロダクトに向き合っていきます

専門性の垣根を超えて

「正解を探しながら開発している」と書きましたが、もちろん私たち開発チームだけで正解にたどり着くことはできません。

私たちがどんなに考えても、それは机上の空論に過ぎません。医師や看護師、医療事務といった、実際に現場でシステムを使う医療チームのみなさんの意見が必要不可欠です

患者さんがキッズドクターアプリで良い医療を受けられるかどうかは、医療チームがキッズドクターシステムで最適に実務を行えるかにかかっています。キッズドクターの価値を高めるためには、サービスを提供する医療チームとプロダクト開発チームの連携をさらに強め、キッズドクターの「あるべき姿」をより鮮明にしていく必要があると思っています

「患者さんに良い医療体験を提供したい!」という根底の思いは、医療チームも開発チームも同じです。

しかし医療従事者とITエンジニアは、業界も業種も異なる別の文化圏の専門職同士。お互いがお互いを知らないことだらけです。価値観・肌感、仕事の時間軸、さまざまな点で「ここも感覚が違うんだ!」と驚くことも多々あります。

例えば「すぐやりますね」という言葉。

時には何ヶ月も掛けて一つの仕事を進めるエンジニアからすると、「1週間」でできてしまうことは「すぐ」に思えたりします。

一方、リアルタイムに患者さんの容態が変わる医療現場での「すぐやります!」は、ほんの数分・数秒先を指しています。特に救急の現場であれば「1週間」という時間軸は仕事において存在しないのかもしれません。

また開発チームからすると、製品利用者(ここでは医療チーム)からのフィードバックは、製品を良くするための何よりも重要な情報源です。

エンジニアはどんな業務システムを開発するときも、そのシステムを利用する業務のプロではありません。だからこそ、利用する人の「プロとして業務を行うときに、システムはこうあってほしい」というニーズを収集することで初めて、いいプロダクトが作っていけるのです。

しかしシステムを利用している人の立場からすると「せっかくエンジニアの人たちが頑張って作ってくれているのだから、ダメ出しするのなんて気が引ける」と遠慮してしまうこともあるかもしれません。思いやりの強い医療従事者の方々は、尚更そう思われているように感じます。

なのでここではっきりと宣言しておきますが、ダメ出し・提案、大歓迎です!!そうやって一緒に、キッズドクターのシステムを作っていってほしいのです。

これまでの社会に無かった新しい医療体験をキッズドクターで実現していくためには、お互いの専門性を尊重しながらも、「知らない」や「遠慮」のような垣根を誠実な姿勢で取り払い、専門領域を超えて支え合いながら、いいサービスを作ってっていきたいと思っています。

そんな文化圏の違いをできるだけ理解し合い、ミスコミュニケーションを防ぎながらいいプロダクトづくりに向かっていくために、先日開発チームと医療チームで交流会を行いました。

元医療従事者のエンジニアが「エンジニアの仕事の時間軸は治療計画みたいなもの」と言っていて、看護師の方々はすごく納得されていました。逆にエンジニアメンバーは全くピンときていませんでした。笑

きっとまだまだ解決すべきことは山積みですが、「医療をもっと身近に」というビジョンに向かって、真摯に課題と向き合うノーススターなら、乗り越えていけると感じています。

これからもチームの垣根を超えて、ノーススターのみんなで、一緒に、良いサービスをつくっていきましょう!