58.兌為沢(だいたく)~和楽愉悦②

六十四卦の五十八番目、兌為沢の爻辞です。
卦辞はこちらです。
https://note.com/northmirise/n/n7640e008759b

58兌為沢

主爻

成卦の主爻は六三と上六、主卦の主爻は九二と九五です。六三と上六はそれぞれ九二と九五に媚びを売りますが顧みられず、九二と九五はその誘惑に溺れることなく中道を貫くのです。

初九

和(やわら)びて兌(よろこ)ぶ。吉。
象に曰く、和ぎて兌ぶの吉は、行(おこない)未だ疑はざるなり。

(程よく)調和して喜ぶ。(進んでも疑われることなく)吉。

微賤にして応爻比爻なく、志を曲げずして自分の信ずる通りに、かつ喜ぶこと甚だしきに流れず、物事と調和し人と和合して、節度に叶って喜ぶのです。

九二

孚ありて兌ぶ。吉。悔亡ぶ。
象に曰く、孚ありて兌ぶの吉は、志を信ずるなり。

誠実なる心をもって喜ぶ。吉。悔いは滅ぶ。

不正にして応爻なく、かつ同じく不正なる六三と比しておりますが、中徳を備えているので皆その志を信ずるのです。

六三

来りて兌ぶ。凶。
象に曰く、来りて兌ぶの凶は、位当らざるなり。

(下方に)下りて(初九と九二に媚びへつらい)喜ばせようとする。凶。

柔弱にして不正、来るとは下に向かうことであり、九二のご機嫌を窺うのですが、中正なる九二はこれをまともに相手しようとはしません。

九四

商(はか)りて兌び、未だ寧(やす)んぜず。疾(しつ)を介(へだ)つれば喜(よころび)有り。
象に曰く、九四の喜は、慶(よろこび)有るなり。

(六三から)媚びを売られて喜び、(その六三が邪なることを分かって)心が安んじない。病のような存在(六三)を隔てて(遠ざければ)喜びがあろう。

不正にして優柔不断なる爻。下は邪悪なる六三、上は聖なる九五と比し、六三を遠ざけて九五に忠誠を誓うことによって本当の喜びを得られます。

九五

剥に孚あり。厲き有り。
象に曰く、剥に孚ありとは、位、正しく当ればなり。

(陽剛なる徳を)剥ぎ取ろうとする(上六を排斥せず)誠実なる心をもって(包容する)。(しかし油断はできず)危い状況である。

巧言令色なる上六の下心を分かっておりますが、これを排除することなく中庸の徳をもって包み込もうとします。しかし上六は邪悪なるままであり、決して油断はできません。

上六

引きて兌ぶ。
象に曰く、上六の引きて兌ぶは、未だ光(おおい)ならざるなり。

(下の陽爻を誘惑して)引き込もうとして喜ぶ。

九五を誘引しようとする邪悪な存在。九五に感化されて心を改めるか、邪悪なるままでいるかによって吉凶禍福が決まります。

まとめ

六三と上六の陰爻がそれぞれ邪悪なる存在であり、それぞれ下側にある陽爻、特に九二と九五がそれに誘惑されないよう志を堅く守っているのです。

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