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【体育授業の型】

守破離

初任の頃の私は、とにかく授業が上手くいきませんでした。

自分なりに一生懸命考え、試行錯誤しましたが、中々手応えは得られませんでした。

そんな時、ある先輩から授業には型があることを教えてもらいました。
私はこの型を知ったことで、授業をシンプルに考えることができるようになりました。

みなさんは、「守破離」という言葉をご存知ですか?
守破離とは、以下の意味があります。

剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

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これは、授業でも同じです。
自己流で技を身に付けるよりも、まずは型を身に付け、それを自分流にアレンジし、新しいスタイルを創り出すことがより良い授業作りに繋がります。

私自身も、体育授業の型を知ったことで、授業で悩むことが減りました。
また、そこに自分なりの工夫を加えることで、子供達に楽しい体育授業を提供することができています。

まだまだ追究するべき点は山ほどありますが、現時点での私の経験と知識が少しでも皆さんの役に立てばという思いで、記事にまとめました。

ぜひ、お読み下さい。

体育授業の型

私の体育授業の型では、以下の3場面に分けて行っています。
①もとになる運動(序盤)
②力を高める運動(中盤)
③力を試す運動(終盤)

では、私がなぜこの型で授業を作っているのか。

それは、子供達が技能に関係なく、全力で運動を楽しむことができるからです。そして、その中で必要な力を習得することができます。

当たり前ですが体育は学習ですので、各学年に応じた目標があり、習得するべき技能があります。

しかし、その技能習得ばかりに目が行ってしまうと、体育の最大の目標である「豊かなスポーツライフの実現」からは遠ざかってしまいます。

あくまで、技能習得は「豊かなスポーツライフの実現」の為の過程です。
教師は、いかに運動の楽しさを伝え、もっとやってみたいという気持ちにさせるかが大切です。それが、技能習得にもつながり、子供達が生涯を通じて運動を楽しむことにもつながると考えます。

そして、上記の体育授業の型を身に付けることが、その第一歩になります。

では、それぞれの場面を具体的に説明していきます。

①もとになる運動(序盤)

「もとになる運動」では、易しい運動を通して、単元で行う運動に必要な基礎感覚・基礎技能を養います。

その時に意識するのは、以下の3点です。
①色々な種類の運動を行う。
②遊びの要素をたくさん盛り込む。
③主運動とのつながりを意識する。


様々な感覚を耕せるようにできるだけ多くの種類の運動を行います。

その際、みんなができる易しい運動を行います。また、易しい運動は、単調になってしまうことや、技能が高い児童にとっては退屈なものになってしまうことが考えられます。

そこで、遊びの要素を盛り込むことで、技能に関わらずみんなが楽しく運動を行うことができるようにします。

遊びの要素とは、具体的には、以下の4点です。
①競争
②偶然性
③模倣
④眩暈

例えば、マット運動で「ゆりかご」の運動をする際、じゃんけんを取り入れます。
じゃんけんをして、負けた方がゆりかごを5回、あいこだったら2人で一緒に3回行います。

そうすることで、じゃんけんによる「競争」と「偶然性」が生まれます。さらにあいこの場合は2人で合わせることで「模倣」にもなります。

易しく単調になりがちな運動でも、遊びの要素を盛り込めないかを考えることで、楽しく基礎感覚・基礎技能を養うことができます。

②力を高める運動(中盤)

力を高める運動では、本時のめあてにあった運動を行います。できない運動をできるようにしたり、安定して運動をしたりできるようにする場面です。
また、コツやポイントに気付けるような工夫をすることも大切です。

反復練習を行うのではなく、環境やルールを工夫することで楽しく技能習得ができるように意識しています。

例えば、試合の一場面を切り取ったり、ルールを工夫したりして簡易化された試合形式にします。

また、子供達が進んで取り組みたくなるような場の設定をすることも大切です。

この場面では、教師と児童がきちんと目的を共有しながら運動に取り組むことが大切です。

③力を試す運動(終盤)

力を試す運動では、授業のまとめとして試合や発表を行います。

ここまでの過程で習得した技能を発揮したり、自分の成長を感じたりできる時間にしたいです。
また、身に付けた技能をどのように表現させるかを考えさせることも大切です。

ボール運動では試合、器械運動では発表、陸上競技では記録測定をすることが一般的です。

その際、エッセンシャルスキルを意識したデザインをすることで、技能に関わらず、全員が楽しむことができます。

技能が低くても、ゲームに参加し、楽しむことができるルールや環境の工夫が大切です。

それに加えて単に簡単なだけでなく、深める要素もあることが重要です。

例をあげるとボッチャがわかりやすいです。
ボッチャは、ボールを転がすことができればゲームを楽しむことができます。
さらに、戦略がとても奥深く、高度な作戦を実行しようとすればそれと同じ高度な技術が必要になります。

また、機会運動であれば、以下の実践がエッセンシャルスキルを意識したデザイン例として参考になると思います。

このように、技能が低くても高くても楽しめるデザインをすることが大切です。

まとめ

今回、ご紹介したように授業の型を身に付けることは、授業上達の大きな一歩です。

型を身に付け、自分流にアレンジし、そして新しいものを創り出す。

そのように先生方が力量を高めることが児童の可能性を広げることにつながると思います。

今回の記事がその一助になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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