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チョコミントについて考えているうちにカビが生える梅雨

 最近、湿気が凄まじい。空気がじめじめしているせいで心までカビが生えそうだ。何にも手が付かないよ。五月病よりも、もっと深刻であるように思える。
 おっと、こんな口上では皆様までカビが生えてしまうな。苔なら味が出て良いかもしれないが、菌など誰にも歓迎されない。アルコール消毒をして、てかてかした手でキーボードを打つことにする。
 鬱陶しい日々が続きますが、気持ちだけは爽やかに過ごしましょう。

 爽やかといえばミント。ミントといえばチョコミント。私はチョコミントアイスを底の底まで愛している。
 チョコレートのコクのある甘さや苦み。ミントの爽やかさ。アイスの冷たさ。これらが調和することによって、全てを凌駕するスイーツへと変貌する。この世で一番美味しい味と言っても過言ではない。……かもしれない。
 私のチョコミント愛は一線を越え、自作したこともある。ミントリキュールを買って、チョコを細かく刻み、生クリームをドバドバ入れて、数時間ごとに混ぜ混ぜして出来上がるのを見守った。しかし、出来上がったものは舌ざわりが悪く、食べられたものではなかった。金も時間も、手間もかかるくせに既製品には遠く及ばない。ちぇだぜ。やっぱり買うのが一番いいよ。自作する際にはくれぐれも注意してほしい。

 そんな私の中で今最も話題になっているのは、カフェドクリエから期間限定で発売された「ソルベージュ プレミアムチョコミント」だ。チョコミント発売十周年記念ということで、通常の十倍の爽快感が味わえるドリンクらしい。
 ……気になる! もう美味いか美味くないかはどうだっていい。ミンティアの黒い奴(多分、ドライハード)を一度に十粒は頬張らないと満足しない私の口は、過剰な爽快感を欲している。口内だけ北極に住みたい。
 ただ、一つだけ問題がある。というのも、私は一度もカフェドクリエのチョコミントドリンクを飲んだことがないのだ。この事態は大変由々しい。

 もし今「プレミアムチョコミント」を飲むと、私の基準がこれに定まる。すると「プレミアム」が私にとっての一倍になり、来年以降の「チョコミント」が十分の一倍となってしまう。なんとも物足りない。果たしてそれでいいのか。十分の一って、しょぼすぎないか?
 私の母は鎮痛剤を初めて服用する際にロキソニンを飲んだため、それ以降バファリンが効かなくなってしまったらしいが、正にそれと同じ状況だ。初めから桁外れな爽快感を求めてしまうと、その後の人生に支障をきたす可能性がある。知らない方が幸せでいられることもあるのだ。好奇心は猫をも殺す。今の私にとって「プレミアムチョコミント」は身の丈に合わない。
 ……いやでも、私の爽快感の針はとっくの昔にミンティアにぶっ壊されているから、今更こんなことを悩むのも不毛なのか。来年以降に従来の「チョコミント」を飲まなければいい話であって、さすれば私のミント人生はこれからも爽やかに続いていくかもしれない。

 あと、(話の腰を折るようで申し訳ないが)私はチョコミントに関して「アイス」以外認めていない。チョコミント味のチョコだとか、パンだとか、当然ドリンクだとかを試したことがあるが、あんなものでは爽快感が圧倒的に足りない。氷点下以下だからこそ爽快感があるのであって、常温やひんやり程度ではチョコの主張が強く全然爽やかじゃない。それではトべない。まあそれ故に、十倍を謡う「プレミアムチョコミント」がどれほどのものかと興味があるのだが。
 「十倍とはいえ所詮この程度か……」と見切りを付けられれば今後無駄な出費をせずに済むし、「え!? ドリンクでもこんなに爽快感が!?」となればアイス以外のチョコミントにも希望が生まれる。
 ふむ、カフェドクリエが私のミント人生を左右することに違いはないようだ。なんにせよ買ってみよう。

 ああー、でも近くにカフェドクリエないんだよなあ。
 こんな風にぐずぐず考えてる私の心や脳には、やっぱりカビが生えている。カビとミントで緑一色だ。うわあ、やったあ。麻雀なら役満だあ。



こんなところで使うお金があるなら美味しいコーヒーでも飲んでくださいね