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怪奇の醍醐味は東スポのUFOより体験談

実話の重さ

怪奇経営学(笑)の話をしているんだけれど、怪奇経営学の体系の一つに「実話」という項目がある。

「実話」とは当事者が話してくれた話のことだ。怪奇の醍醐味は、やはりムーの心霊写真だとか、東スポ一面の宇宙人発見だとかじゃなくて、「実話」つまり読者の体験談、だと思う。

経営や経済の話になぞらえると、「実話」とはインタビューや取材で得た当事者の生の声だ。これは当然当事者の許可を得て名前を掲載できれば学術論文にも使用できる。それは事実だということが前提だからだ。

しかし、「怪奇談」という実話はどうだろうか。錯覚かもしれないし、嘘を言っているかも知れないというバイアスが入る可能性がある。しかし、普通だろうが、怪奇だろうが、直接人から聞いたその「実話」の存在の重さはそれなりに重いはずだ。

怪奇経営学は、この実話を大事にするアプローチである。

取材は宝の山だ

元マッキンゼー日本支社長の大前研一氏はこの実話を重んじるタイプだ。彼は海外を題材にした本を書くとき、既存の情報に頼らないという、現地に飛んで現地の人の話つまり僕のいう「実話」をたっぷり仕込んで本をモノするという。

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怪奇経営学も実話を重んじるアプローチだ。

僕は学問としての経営学に全然足りてないのは、この「実話アプローチ」だと思うんだよ。言葉を変えると経済、経営はもっと当事者に取材をして、分析を深めろ、ということだ。

なぜかというと、お話してきたように僕の今の「売り」はケーススタディだ。

そしていくつか日本語と英語でケースも書いている。ケースを書くとは、要するに企業の取材だ。そこでいろいろな人に話を聞く。そうすると巷間言われていること、つまり新聞や雑誌に報道されている事実や常識とぜんぜん違うことがたくさんあることにびっくりするのだ。

そして、この「実話」は本になるし、ケースになるし、学生を指導する授業のネタになる。海外に紹介する知られざる日本の現代を説明する貴重なデータになる。「実話」はつまり、宝の山であり、経営学の可能性の塊なのだ。

経営学の教師はジャーナリストであるべし

経営学の大学の教師の新しい定義という話をしているが、僕は、だから、新しい時代の経営学の教師は、ジャーナリストでなければいけないと思っているんだ。新聞記者みたいに、フットワークよく取材する。これが大事だと思う。

昔新潟経営大学で教えていたとき、僕はスポーツ新聞の記者をやっていた。学内のスポーツ新聞があって、バスケット、サッカーを中心に運動部が試合がるときには必ず行って取材をしていた。試合を見てレポートを書いて、選手にインタビューするのだが、これは考えてみるとケーススタディのケースを書くのとまったく同じだ。

あ、忘れていたが(笑)僕はいま新潟プロレスマガジンの編集長、なんだ。そう言えば。もう15号まで出しているこのプロレス団体のパンフレットも、同じ作りだ。

試合をレポートし、選手や関係者にインタビューする。それを骨子にまたパンフレット全体のストーリーが出来上がり、そこから一つの看板連載が生まれたりする。

ネットの弊害がジャーナリズムを弱くしている

実話は、まだまだいろいろなビジネスチャンスや可能性を生むはずだ。コロナ禍で取材という行為自体に逆風が吹いている。

そして、コロナ前から、新聞、雑誌の売れ行きが激減している。取材という行動も弱ってきている。ネットの記事を見るといい。記事はほとんどナマの取材などしてやいない。ネットで何でも調べられるから、聞いたような話をつなぎ合わせて、どれも同じ様なパンチのない文章が並ぶ。

しかし、いまこそ、取材つまり「実話」を取る行動の価値がクローズアップされるべきだ。

取材と言えば、二人の人物を思い出す。読売新聞社社長のナベツネこと、渡邉恒雄と

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先日なくなった立花隆氏だ。

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ナベツネさんはスクープを取る記者として現役時代ならした。過激派のアジトに単身乗り込んで殺されかけたが、その記者魂が気に入られて、一面スクープ記事をモノしたという武勇伝は有名だ。

立花隆氏はその超人的な好奇心を武器に、当代一流の科学者、知識人たちに切り込んだ。怪奇では「臨死体験」という著書がある。

リーダーは魅力を磨け

彼らは「実話」を大金を生む価値に変えたわけだが、その秘密は何だろうか。

それは彼らの魅力に他ならない。

魅力とは取材者の取材にかける情熱、聞き出す力、知識量、視点の鋭さのことである。

取材は取材対象が同じでも、その結果は同じにはならない。そこが面白いところだし、ビジネスとしての可能性なのだ。

話が長くなったので、僕が最近経験した怪奇実話は、明日お話しよう。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。

じゃあ、また明日。

                             野呂 一郎

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