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アスリートの新定義:スポーツのやる楽しさを広める仲介役

スポーツは必要か

さて、時代にあった夢の新定義を、という話だけれど、スポーツマン、はどうだろうか。その言い方は古い、そのとおりだね、今はみんなアスリートと呼んでいるよね。

スポーツは、スポーツだけじゃないけれども、コロナ禍、そしてこのオリンピック騒動で、客観的な立ち位置が相当変わってきたと言えるのではないだろうか。

誤解を恐れずに言えば、はたしてスポーツが必要なのか、という議論にスポーツ界、アスリートは向き合わなければならない、ということだ。

コロナで国民が皆苦しんでいる。これでもかと延長される緊急事態宣言で飲食業界は限界だ。関連業種の倒産件数もうなぎ登り、学生はオンライン授業を余儀なくされ、人生でかけがえのないキャンパスライフという絶頂期を失ったままだ。

空手師範がインドで見た”現実”

僕の空手の先生がこんなことを言っていた。

彼はインド政府に招かれ空手を教えに行った。帰国後「どうでしたか」と聞いた。

「いやー、インドの空手熱は凄いよ」そんな答えを期待していた僕は面食らった。

「いや、インドの人たちは空手どころじゃないんだよ。空手もスポーツも、生活が出来て、余裕がなければやることも、ましてや楽しむことなんか出来ない、それがよく分かったよ」。空手の先生はそう言ったんだ。

まさにそうなんだね。社会の安定と繁栄があって、はじめて僕らはスポーツを楽しめるんだ。

僕らはコロナでそれを突きつけられてしまった。

コロナと五輪で貶められらたアスリート

オリンピックがそれに悪い意味でダメを押した。

コロナでみんな苦しんでいる時に、オリンピックどころじゃねえだろ、という世論が沸騰したのだ。

コロナ以前からオリンピックのイメージは悪かった。オリンピックが、商業主義にまみれたビッグビジネスだとわかってしまったからだ。

今、マスコミは誘導尋問のように、オリンピック代表選手に「無観客になりましたが、どう思いますか」と質問を投げかける。

意地悪な罠だ。

「残念です」などと言ったら最後、ネットでバッシングだ。

「たかがスポーツで思い上がるな。おまえたちは自分さえ良ければ、感染者が増えていいと思ってるのか」。という具合だ。

大谷翔平という救い

唯一治外法権にいるのが、いや別次元にいるのが、大谷翔平。その打棒と投球で走塁で日本人のアメリカコンプレックスを、木っ端微塵に打ち砕いたからだ。

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メジャーリーガーを遥かに凌駕するそのスピードとパワーは国民的劣等感を吹き飛ばし、全国民を恍惚とさせる喜びを与えてくれたからだ。大谷の活躍は、スポーツを完全に超越した国家的、歴史的快挙だからだ。

五輪で常套句のように言われてきた「スポーツで感動を」というスローガンも、いまや「感動の押しつけ」よばわりだ。コロナ禍につづく、タイミングの悪すぎるオリンピック開催論議が、日本社会にアンチ・スポーツ層を生み出してしまった。

現実の話として、スポーツは生き延びるためにはまず経済的基盤がなければならない。そのためには、社会に愛される存在でなくてはならない。アスリート個々には様々な思いがあるに違いないが、まずはアンチに寄り添うことだ。

今までが幸運だったのだ。スポーツをやってこられたのは、日本が平和で繁栄していたからだ。未曾有の逆境では、スポーツどころではない人々がたくさんいる、そのことをまず考えなければならないだろう。

スポーツのやる楽しさを今こそ伝えよ

スポーツ界は野球からヒントをもらえるのではないか。

野球は五輪種目だけれど、なぜだから、バッシングの対象にならない。それは、野球がスポーツじゃないからだ。野球は日本人の精神文化であり、そして米国同様ナショナル・パストタイム(national pastime 国民的娯楽)だからだ。一言でいうと、野球は親しまれている度合いがスポーツ界随一なのである。

その根本的な理由は、だれでもがやれて、楽しめることだ。

日本の男性で国民でボールを投げ、バットを振ったことのない人はいないだろう。女子にもその機会はどんどん及んでいる。

各スポーツは、どんどん国民が行い、楽しめる機会を提供すべきである。

武道を必修科目にしたように、卓球を、バレーを、バスケットも必修にしたらどうか。マイナーな種目、例えば水球ならば水泳教室に働きかけて、水球教室をもうける。

アスリートはその推進役だ。

スポーツはそもそも楽しいもので、楽しむものだ。それが勝利至上主義で、オリンピックで勝つためのスポーツになってしまった。

アスリートは、いまこそスポーツの”やる楽しさ”を伝えて欲しい。

スポーツのやる楽しさを伝える仲介役、これが野呂の新しく定義する現代のアスリートだ。

今日も最後まで読んでてくれてありがとう。

それじゃあ、また明日会おう。

                           野呂 一郎

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