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アメリカの現実に見る「戦争論」の是非。

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:終結が見えないウクライナ戦争、拡大するガザ戦線、人類は再び戦争の世紀に突入しつつあるのか。しかし戦争の可能性を無視することは、自国の防衛を放棄し、平和への効験をできなくすることにつながる。The Wall Street Journal最新記事に学ぶ、国防の意義。

今、危ないアメリカの現状

色んなところで盛んに言われている、アメリカの分裂。

https://qr1.jp/BvIWCZ

民主党も共和党も大統領選を控え、党利党略ばかり主張し、アメリカ全体の国益が見えてないように思えます。

その象徴が、ウクライナへの軍事支援法案がペンディングになっていることです。

昨日もロシアによる首都キゥイに爆撃がありましたが、圧倒的に武器が足りないウクライナをほっておけば、ロシアの勝利は時間の問題です。

ロシアの脅威は早晩NATOに向けられ、アメリカにも、そして世界にも累が及ぶでしょう。

そんなアメリカの、世界の危機をそっちのけで、両党がいがみ合っているアメリカ。

国益の根本である国防がおろそかになっている象徴的な出来事が、このウクライナへの支援法案が通らないことなのです。

国防の真実

The Wall Street Journal電子版2024年3月20日号は、America’s Strategic Posture Is Slouchingアメリカの戦略的姿勢はグダグダ、と題し、アメリカの国防が揺らいでいるとの警告を出しています。

しかし、この記事は同時にアメリカという国の凄さ、したたかさも、物語っているのです。

国が分裂していることに、超党派的な懸念を持つリーダーたちが、ロシアと中国にどう対応すべきかを真剣に具体的に検討し始めたのです。

これは、コミッション ・オン・ザ・ ストラテジック ポスチャー オブ ザ ユナイテッドステイツ(Commission on the Strategic Posture of the United States)という組織で、これから数十年のスパンで、アメリカが巻き込まれるかもしれない戦争の脅威にどう対処すべきかを協議する機関になりました。

コミッションのメンバーたち。https://qr1.jp/m6JZNA

あらゆる組織は、まずその理念が大事だと考えます。

以下、この国防超党派機関のそれをご紹介しましょう。


政治家の多くが自分の時間とエネルギーを平和のことを考えることだけに使いたいと願うのは、無理もない。

しかし、そこには残酷な逆説があるのだ。

もし我々が軍事的脅威に対して手をこまねいて、備えなければ、どうなるか。

外交にうまく立ち回れなくなる。

核軍縮の合意を得ることが難しくなる。

経済的な損失も覚悟しなくてはならない。

戦争の可能性を無視すれば、これらのことは現実性を増すばかりなのである。

これが国防の敗北のシナリオなのだ。

前掲The Wall Street Journal


この理念は、腹ただしいけれど、反論ができない真実を反映しているから、正しいと言うしかない、そう思います。

冒頭でアメリカ分裂を嘆いてみせましたが、やはりこの国はしたたかですね。

それは戦争に限らず、物事の本質をふまえた理念というものを持っているからではないでしょうか。

野呂 一郎
清和大学教授



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