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無職日記5/20

とりあえずは、3日坊主を抜け出したく日記を書いている。
もっとも、そんなことを言っても、今日なんて近所のスーパーに食材を買いに行くくらいしか、動いていないけれど…。

空には雲一つなく日差しが心地よい一日だった。でも、窓を開けて外の空気を深呼吸するみたいに室内に取り込むと、カーテンを揺らし頬をなぜる風は冷たい。
前日も少し眠れなくて、結局うとうとし始めたのは午前三時。そして八時くらいにはのっそりと目を覚ました。
営業をしていた時代に無理に食べさせられてカナリ太ってしまい、現在も、いささか醜悪な熊みたいな、肉付きの良い体型になり果てている、でも依然として寝起きの血圧は低く、仕事を退職してからは大学時代の体内時計がぶり返してきたのか、夜の寝つきが悪い。

午前中は相変わらず仕事を探すために転職サイトをウロウロとしていた。選ばなければあるのかもしれないが、本当に求める仕事、さらには「本」を取り扱うとなると、実績もなく前職とは全くの別業界の為、どうしたものかとノートを取りながら小さな脳みそで悩んだフリをしてみたりしていた。
結局ボクは恣意的な人間で、向こう見ずに仕事を辞めてしまったのだけれど、一切をなげうって辞めてしまった今となっては、金はないものの心持は若干軽くなった気がする。

仕事探しにも辟易とし、パソコンを閉じると昨日読んでいた「coyote」の沢木耕太郎、ロバート・キャパ特集を読んだり、同じく沢木耕太郎の著書である「深夜特急」をとりだしてきてパラパラとやる。
沢木耕太郎の「旅」には憧れてばっかりだ。
2年前の夏、それまで5年付き合っていた彼女と別れてしまい、傷心旅行といったあんばいで、京都の下鴨神社の古本市に行きたくて、でも金はなかったので「青春18きっぷ」を買って京都まで旅行した。
その時に道中読もうと考えたのが「深夜特急」で、全巻リュックに押し込んで電車に飛び乗った。

沢木耕太郎は二十六歳で身一つで外国に行ってデリーからロンドンまで乗り合いバスで旅をした。
その「旅」は少し眩しすぎて、憧憬を禁じ得ない光景と経験に、なんだか人生として取り残されたみたいで、胸を締め付けられた。
そんな内容と対比なんかしてしまうと、ボクなんぞは二十八歳にもなって海外旅行の一つもしたことがなく、唐突に独り身になってしまったので、国内を旅しているんだなと…。

だから、本当は仕事を辞めたら、ベトナムに行ってみようなんて夢想していた。
それは開高健の著書が好きで、何となく「水曜どうでしょう」の影響もあると思う、ミーハーな考えだったけれど、いっそのこと海外を一人で旅行をしてみたいとかいう、無謀なことを計画していた。

まあ、でもまさかこんなにコロナが世界中で猛威を振るうとはその時は考えてもおらず、今となっては水泡となってしまい。引きこもっては自宅の積読本をのっそりと読むくらいの1日を過ごしてしまっている。