現場から見たイマ 〜ウッドショック編〜

お疲れ様です。

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(ウッドショックで現場が飛んだ僕です)

今回は建築に関連する方や不動産に関わる方、またその先にいる一般の方にも関係しているウッドショックについて、まさに最前線で働く大工さんという目線から記事を書いてみようと思います。ちなみに「現場から見たイマ」のタイトルでいくつか記事書いてるのでよかったら過去記事もお願いします。
今まさに問題視され話題になっているものの
ウッドショックって知ってますか?

ウッドショックとは?

ウッドショックについて詳しく掘り返すのは僕よりもニュース記事とか見てもらう方が適当なので貼りつけておきます(全力丸投げ)



とまぁ簡単にいうと海外で木造住宅の需要が急激に増えてしまい、材木を輸入しまくっていた日本は仕入れがキツくなっちゃったって感じですかね?単に費用がかさむだけでなく運搬の面についてもコストが上がったりコンテナが取れないこともあるみたいです。
以前から問題視されていましたが今まさに影響が出てきています。
どれもこれもコロナ禍での影響で、この状況がウッドショックと呼ばれています。

最前線の現場は今どうなってるか?


ウッドショックの影響により、すでに仕事がなくなった大工さんもいます。大工さんの仕事がなくなると特に外壁屋さんやクロス屋さんなんかも大打撃です。
基礎が出来上がっているものの上棟が延期になっている現場もすでに多く、下手をすると延期どころか未定になってるところもあるようですね。
注文住宅を検討している方や建築予定の方は定期的にチェックするのが良いと思います。
コロナ禍の影響で戸建ての建て売りも売れているようで営業さんは売り物が無くなっちゃうって言っていました。

かく言う僕も今の現場と次の現場はあるものの予定は延期になり、その穴埋めに躍起になっています。更にその先までは見通しが立たない状況ですのでジタバタ足掻いている期間はしばらく続くかもしれません。関係ある職人さんたちは早めの行動や対策が吉ですね。

施工にまつわる変化と言うと、まずは材料が変わりました。今までと違う樹種や集成材になったり、無垢材が集成材に、またはその逆など一部変わりました。そうして代替品になったもので施工をしています。今は代替品と言っていますがこれはこの先も継続される可能性は大いにあります。
昔と違い、適当な材木を代替品として使うことができないのは木造住宅に使う材料の多くは規格や品質の基準があるためです。代替品はその基準を満たしているものを原則使います。とはいえ基準の中での良し悪しもあれば、中にはよくこんなの納品してきたなってのもあるにはあるんですが。

代替品と聞くと多くの方は品質が落ちると思うでしょうが、そうとは限りません。
実際僕の現場では通し柱や管柱と呼ばれる構造材に変更がありましたが同等品と思われますし、屋根垂木はサイズが大きいものが来たりすることもありました。間柱が等級の低い無垢から素性の良い集成材に変わった現場は材料の反りやねじれ、微妙なサイズの違いなどが無くなり施工しやすくなりました。
これは材木を卸す業者やプレカットを請ける業者もここまでの事態になる前から請けた仕事の契約や長く継続してきた取引先との付き合いなどがあるので、今は利益を少し圧縮してでも仕事の流れを止めないことを優先しているということみたいです。
もちろん納品される材木の品質が下がっている現場もあるみたいですが、現状はどちらもあります。

ですが今後のこと、少なからずこの状況が改善されるまでこれ以上建築費が上がりすぎるのは皆が避けたいところなので、以前と同じ価格帯の家で比べたときにこの先時間が経つほど材木の質は下がることはあれ、上がることはないように感じています。年々現場に入る材料は悪くなってる実感があるからです。

今このときこそ国産材を使うべきだろうと思う人も多くいますが、輸入に頼り国産材をないがしろにしてきた現状では供給量が足らなかったり価格が高かったりします。やはり思いつくことは皆同じですね。
国産材をないがしろにし日本の林業を衰退させてきた筆頭とも言える大手ハウスメーカーを始め、今はどの企業も国産材に手を出そうとしているので以前から国産材を売りにしていた地場のハウスメーカーや工務店などにも影響が出ているとの話しを聞きました。

こんな取り組みがこのコロナ禍の中で始まりました。資源や現場の人材を消費してきた側だったハウスメーカーさんたちが今度は国産材と現場の人材を守ってくれるようです。無くしてしまってからでは遅いので現場としては今さら感ですが。
それでも何とか改善してもらいたいなと望む気持ちもあるが正直なところです。

これから先どうなるか?

ウッドショックの影響で建築費があがると言われていますが、木材の費用は工事費のおよそ10〜20%程度と言われています。(そうネットに書いてありましたよ)
建物や仕様によってかなり差があるのであくまで仮に15%とし、建物価格が1500万としたら225万が木材の費用になります。この225万の部分がいくらか上がるということになりますので勘違いなさらずに考慮してください。


 先日、建材屋さんの担当者が「この状況は1年くらい続くと思っていてください」と話してました。
いろいろな方が今後を予想してると思いますがまさに仕入れの最前線で体感している人間が言うわけですから2、3ヶ月でどうこうなるような問題では無さそうですね。様々な企業の現場に納品しているドライバーさんも仕事量が激減したと話していて「流れ」が止まってきている実感が湧いてきます。

また、ウッドショックのインパクトに隠れていますがすでに以前から指摘されている問題が
職人の高齢化による人材不足インボイス制度による個人事業主の税制改正です。

木造住宅の担い手である大工さんの就業者数は年々かなり減っていて、この30年ですでに半分以下です。
そしてこの40%ほどが60代と言われていて、40歳未満の大工さんを全部合わせても25%もいないと言われるほど高齢化が進んでいます。
最近の現場は老人ホームってブラックジョークがよくあるんです笑

大工さんに限らず、職人の人材不足は施工能力の低下、形骸化に繋がるのは当たり前で、住宅需要に対する供給が間に合わなくなると思われます。現に着工数より職人の減少率が上回っています。
これが今後の建築費にどれほど関わるか未知数ですが価格が上がるのでは無いかとも言われています。

もう一つの問題、インボイス制度という個人事業主の税制改正についてですが、これは一部の事業主は消費税の納付が免除されていた税制が新しくなります。10%懐にいれて良かったボーナスタイムがもうすぐ終わります。税制について詳しく知りたい方は調べてください(また全力丸投げ)

木造住宅の大工さんにおいては大手も地場のメーカーも問わず全国の多くを占めるのが、1人親方と呼ばれる個人事業主の大工さんに依頼し、それらは免税事業者がほとんどです。きちんと雇用された社員大工さんは全国的に少ないのです。

昨今、叩かれた単価の煽りを受けこの免税分でなんとかやりくりしていた大工さんもかなりいると言われており、それを踏まえた単価設定をしているハウスメーカーなどの発注者も多くいます。
免税分が無くなると実質的な賃下げになるので免税分の単価を上げるか、ギリギリでやっていた中で実質的な賃下げをするかの2択を発注者、受注者ともに迫られています。今後の若者たちのためにも先人たるもの踏ん張りたいところです(そうじゃなくてもお金はほしい)

コロナ禍でウッドショックになり、人材不足は顕著でそこに税制改正もくる。流動的かつ不透明な部分が多いのでどう転ぶかなんて断言できるほうが不思議なんです。
ですが少なからずこれ以上建築費が安くなる可能性は少ないんじゃないかと僕は思います。
その要素が現場にはないと思うからです。
今は建築費が少し高いから買いじゃないと判断し、コロナ禍が明けたとしても建築費が安くなるかはわかりません。コストが戻ってもコスパは悪くなっている可能性も大いにあります。
それなら融資や自分のタイミングや良い出会いを優先する方が満足度は高いと思います。
とはいえ木がねぇんだけども。

逆に長く付き合える良い職人さんを捕まえるならお互いに今こそチャンスです。職人さんもピンチのときこそ営業しましょう。
コロナ禍で以前よりストレスのある生活になっている上にウッドショックなんですが、みなさん何とか乗り切りましょう。それぞれの現場へエールを送り、締めたいと思います。

*追記


以上、今日もご安全に!














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