大切な人を守るために絶対必要な「仕組み」

お疲れ様です!

記憶にまだ新しい台風15号、19号の被害は、メディアでの取り上げかたも大人しくなってしまいました。あれだけの記録的な災害も少しばかりの時間が経てば違う話題へとなりがちだ。でもまだ伝えたいことはある。まだまだ終わってなんかいないから。

僕自身も特にひどかった千葉の悲惨さを見て記事を書いたので、未だに気になってSNSなどではちょくちょく情報を掘りかえしていて、記事もまだ読まれ続けているので関心があると実感しています

今回、台風関連で注目されたニュースの1つに
【ゴルフ場の鉄柱倒壊現場】がありました。台風で倒れたゴルフ場の鉄柱が近隣の家を破壊した。その後、解体業者のフジムラが無償で解体工事をすると手を挙げ、メディアも取り上げみんな手放しで称賛した。
フジムラすごい!って。

でね、僕はもう一つすごいって思った企業がいるんです。ユニオンテックっていう企業。ここもフジムラみたいにもっと手放しで称賛されて良いと思うんですよ。
良いものは良いって素直に言うべきだよなって。

僕ら職人って、災害時は歯がゆい立場なんです。一般の方のようにボランティアに行っても自分の技術が活かせるかわからない、直接個人で行っても悪徳業者と思われるかもしれない。正直な話しを言えば、家族を養うために稼ぎを減らせない。
だから技術的にはいくら可能でも、実際形にできない。そういった状況を打開してくれたユニオンテックのこの取り組みは、もっと広く知られて欲しい

そもそも、募金したらそれだけでありがたい。社会貢献として充分なんですよね。
だけど、このユニオンテックという企業は
自社のノウハウを活かして職人を集めて「無償」で復旧作業をした。そういう直接的な支援をしたんだ。

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困ってる被災者を助け、被災者を助けたい職人の生活も守った。しかも1000万の資金投入予定に500万も追加して1500万円という規模に。現地での活動においても職人に丸投げせず自社の社員がまさに最前線で、なんならトップの会長まで現地に赴き活動するほどの情熱でユニオンテックは被災地に寄り添ったんだ。
こんなこと創業から約20年企画・設計・施工してきた上で、ジョブマッチングという事業をしてきた彼らにしかできなかったと思う。
良いものは良い。すごいことはすごい。何度だって言いたい。

今回のことを記事にするとき、どんな人がどんな事を考えて、どんな気持ちでこの取り組みに関わっていたのかを知らないまま、なんとなくで書いてちゃダメかなって思ったんです。なんか、知ったかぶっちゃいけないなって。

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ということで、直接ユニオンテック社に行ってきました。詳しい話しを聞かせてほしいってお願いしました。
ぶっちゃけ僕程度の弱小アカウント、門前払いが当然だって思っていたんですが、社員さん、社長さん、会長さんまで対応してくれました。

僕はユニオンテック社とは直接的な利害がない第三者だから、対応してくれたことに深く感謝しつつもそれはそれ、これはこれとグイグイ聞いた。失礼があったら申し訳ないなとは思ったけど、ユニオンテックの会長が隣にいるなんてこんなチャンス無いからね。

経緯を聞かせてもらうと、災害があってからすぐに社内では支援活動をやろうと決まったようで、自分たちの支援を求めていて、受け入れてくれる地域を探した。そして同志と言える仲間を集め、上記に書いてある通り1500万の資金投入をした上で無償の支援活動をした。

これ簡潔に説明したものの、実際のところ本当に凄いことなのに、何かイマイチ知られてなくないか?なんでもっとアピールしないんですか?もう少し広報活動してもよくないですか?って会長に聞くと、
被災地に行った職人さんや社員たちが実際に経験してきたことは大きかったし、なによりも被災者のために支援をした。その人たちから本当に感謝してもらえた。それが一番。
ですって…。(圧倒的敗北感)

現地に作業しに行った建設worker's Unionというチームの小林さんとえりのまきさん、お2人にもすぐにメールを飛ばしました。そうしたら別々に質問したのに同じ言葉が返ってきました。
『自宅の瓦が飛び隣の家を傷つけてしまって、申し訳なさから顔を背けてしまう日々が続いていました。でも皆さんが来てくれたおかげでやっと我が家に笑顔が戻りました』と言ってもらえたのが印象的だったと。

僕は支援を経験した皆さんの言葉を聞いたとき、僕らの仕事の存在意義を再度感じました。自分が行ったわけじゃなくてもなんか少し誇らしくて。

こうして彼らの今回の活動や実績などが評価され、千葉県からの要請を受けた形で、その後も千葉県全域の職人不足解消の手助けにユニオンテック社の展開しているプラットフォーム事業「SUSTINA」(サスティナ)が活躍していた。これは11月いっぱいでその役目を終えることになったが、支援しました!終わり!じゃなくて、その後もずっと活動してくれていたことで、彼らの熱量が推し量れるのではないかと思う。


一般の方はわからないかもしれませんが、実は今って驚くくらい職人不足なんです。参考までに一例をあげると、日本にいる大工さんの人口って

1995年の阪神大震災の時は76万人いた。
2011年の東日本大震災の時は40万人いた。
2019年の今は30万人もいないのではと言われている。

職人不足は深刻なんです。この状況で行政が僕ら職人を集めて、選別し、必要な場所に送り込むなんてことは不可能に近いだろう。そういった経緯もあってユニオンテックに白羽の矢が立ったのだと推察するのは容易で、ノウハウのある企業の力を借りるという行政の判断は決して間違いではないはず。

そもそも、日本ってかなり頻繁に災害が起きますが、その都度対応していてもいい時代はもう過去の話。
僕は東日本大震災の仮設住宅建設に大工として行きましたが、あの当時ですら各自治体、各企業も職人集めや配分にはかなり苦労していたように見えていた。手探りでやっていた感は否めない。
ボランティアも自衛隊もできることには限度がある。確実に僕ら職人が必要なのに、職人は驚くほど減っている。余剰人員なんていない状況なのだから、災害時の対応や職人の手配などはもっと迅速に、もっと効率的にやれるようにしなければいけない時代になっている。それは被災地だけが関係しているんじゃなくて、今すぐにでも解決しなきゃいけない日本中の課題なんだ。

今まさに、その問題にユニオンテックがチャレンジしていたってことを知ってほしい

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彼らはブルーシートによる応急処置の工事を仲介してた。被災された方の希望者がユニオンテック社の事業であるサスティナの問い合わせ窓口に連絡をすると、元請けとなる施工管理会社をピックアップして紹介してくれる。そこでサスティナの仕事は終わりで、お客さんとその施工管理会社で調整をした後、実際に作業をする施工会社が工事の見積もり、内容の確認、契約をして施工となる。施工管理会社は僕みたいな職人たちが工事に専念できるように段取りしてくれているという形だ。

この点を踏まえて、SNSなどで上がっていた話題と僕なりに気になる点を答えられる範囲聞かせてもらったので以下、まとめていきたい。

ブルーシート以外に素材を変更したり、施工方法を変更してもらうのは可能なのか?
今回は「ブルーシートの展張工事をマッチングする」という千葉県からの要請が前提で動いていて、サスティナとしてはお客様と施工会社との契約に介入する事がなかなか難しいようだ。現場サイドとしても、問い合わせが多くて何件も回る必要があったり、破損状況によって必要な工事が多岐に渡ることもある中で、できるケースもあれば、できないケースもやはりあるようです。
確かに特設ホームページで取り組み内容を見てみると、暫定処置が必要な方への応急防水施工という形が基本となっていて、千葉県が工事会社の移動、宿泊費を負担しているとなっている。公平性や緊急性を考えると要望を全て叶えるには難しい部分もあったのかもしれない。改善できるといい点ですね。

マッチングされる業者の選定ってどうなってるのか?
この基準も上に貼った特設サイトに詳しく書いてあるけど、僕なりに超サクッとまとめる

・反社会勢力じゃない人
・保険入ってる人
・ブルーシートちゃんと張れる人
・ぼったくりしない人
・変な営業しない人

という感じの業者をマッチングしているようだ。上記に記載されていない点は、元請けとなる施工管理会社はユニオンテックが取引きしている協力会社をマッチングすることを基本としているようで、安易な選定をしていないことはわかった。

ブルーシートを展張する代わりに本工事の契約を迫った業者がいたとの話はどうなったか?
該当する業者さんは否定していたが、まず第一に考えるべきは支援を求める被災者の方なので、業者さんはプロジェクトからは外れてもらった。被災者の方を不安にさせてしまった事を申し訳なく思っていて、何かあれば遠慮なく問い合わせて欲しい。との事でした。改善策も検討してくれていた。

マッチングした業者からキックバックのお金もらってるんじゃないか?
100%ないとのことです。かなり強く否定されてました笑

なぜ1500万の支援でやめなかったのか?今の取り組みはおそらく日本初で難しい課題だし、先ほどまでの質問のように一部では誤解されてしまっている

とにかく仕組みを作りたい。そうした活動を通して建設業界を良くしていきたい、変えたい。とおっしゃっていました。
確かにない。災害時に本当に助けを求めている人の元に職人が対応できるような仕組みがない。その仕組み作りのチャレンジをしている中でのネガティブな声にめげず、被災者の方を不安にさせてしまったり不備があったりしたケースもすごく大切に考えていた。

まとめ

ユニオンテックのこの復旧支援活動を見た人、聞いた人、経験した人、作業してもらった人、
僕はそこで感じたみんなの声こそが、家族、友人、恋人、大切な人たちを守るために必要な「仕組み」を作る上で一番大切なアドバイスだと思うんです。
『もっとこうして欲しい!』
『この部分は良くないんじゃないか?』
そういった改善を望む声は本当に貴重で、彼らも求めているはずだ。
『ありがとう!』
『頑張れ!』
そう感じたならどんどん言ってあげて欲しい、現場の職人も、ユニオンテックも、それこそボランティアも自衛隊も、その声に救われる。背中をグンっと押されるはずなんだ。

今僕らに必要なのは仕組みを叩くことでも潰すことでもない、ネガティブな声ばかり叫ぶことでもない。そんなことばかりしてたら災害支援や人助けをすることがリスクになってしまうんだ。
そうじゃないだろう?
今必要なことは、みんなを守る仕組みを改善していきながら作り上げていくことなんだと思う。それには千葉県の生きた声が、災害に備えるみんなの声が必要だ。改善を望む声を、改善案を千葉県やユニオンテックに届けよう。みんなで良い仕組みを作ろう!そうして今目の前にいる大切な人たちを、みんなで守ることが僕らにできるベストなことだと思います。ぜひそうしましょう!

以上、今日もご安全に!

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