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問いギャルシリーズ

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世の中ってホント理不尽! それでも、たくましく生きていく乙女たちの日常と、ひとくちヒント。
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2021年8月の記事一覧

ミスして落ち込み、いちごオレでは癒せない(問いギャルシリーズ)

あずき「D会議室とったから。30分。来て」 こころ「えっ、はい……」 いきなりだった。 こころはそもそも、先輩であるあずきと、そこまで関わりは無かった。 一度だけ小さなプロジェクトで一緒になり、その時の仕事っぷりを見て、尊敬を抱いてた。 そんな相手から、いきなりの会議招集。 こころ(あずき先輩にまで、迷惑かけちゃったのかな……) こころ(やっぱり私には、このプロジェクトは荷が重いんじゃ……) あずきは、いつもの速足で会議室に向かっている。 こころも、重い足取りを急がせな

自信に根拠は不要、ザリガニの子孫(問いギャルシリーズ)

エリ「あ、あそこ見てタラバガニ」 こころ「タラバだってわかるの?」 エリ「おいしそうじゃん」 こころ「いやわからん」 薄暗い、通路や部屋。 分厚いガラスケースの棚。 人工的に再現された小さな海で生物が動いたり、動かなかったりしていた。人のまばらな、水族館。 こころは有給を取った。エリはフリーランスなのでそのあたりは自己管理。 エリ「カニたち幸せそうだね」 こころ「わからんでしょ」 エリ「聞こえないの? 声が」 こころ「……言ってなかったっけ? 私の両親、人間なの」 エリ「

やる気ファイアー理論? 炎を保つ!(問いギャルシリーズ)

こころ「何読んでんの?」 エリ「独学大全って本」 こころ「へー。どんな本?」 エリ「独学について色々書いてあるの」 こころ「いやそれはわかるんだが」 休日の朝、二人はファーストフード店の二階席で100円のホットコーヒーを啜りながら、それぞれ勉強していた。エリの机にはアップルパイの抜け殻(包み紙)が重なっている。こころは、彼女のスイーツ食べすぎに対して呆れるのも飽きていた。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に

7つのケーキに意思は抗えない(問いギャルシリーズ)

エリ「いや~ダメだとわかっちゃいるんだけどねぇ」 こころ「だとしても、でしょ。ケーキ7個はさすがに」ブラックコーヒーをすすりながら言う。 ウッドと緑がバランスよく配置されつつも、打ちっぱなしのコンクリートや直線的なライン、随所のゴールドがモダンな雰囲気を醸し出すカフェ。外の道に面した全面ガラス張りの近くの席で、二人は話していた。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に読書家。ナチュラルにギャル。 ・・・ エ

傾聴ギャルと、冷めた焼きゲソ(問いギャルシリーズ)

こころ「いやホントさ、聞いてないのよ。アドバイスとか」 エリ「は~」 こころ「結局アドバイスとかいって、過去の栄光語って、ほめてほしいんでしょ。あーいう人たちって」 もうずいぶんハイボールを飲んで、酔いが回っていた。むしろそうでないと、こころは愚痴を人に言えない性格だった。今日はエリよりもペースが早い。薄暗い和風の居酒屋で二人、姦しい夜が今日も更けていく。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に読書家。ナチュラ