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[#レトリカル食レポ]陶酔に誘われる、帆立て貝とインゲンのジェノベーゼソーススパゲティ。

すくいあげたパスタから
バジルの青い香気が鼻に届いたかと思うと、
サッと茹でたインゲンのコリッとした
歯ごたえが口のなかをノックし、
硬さを残したアルデンテのパスタとの
噛み心地のアンサンブルを
感じたのもつかの間、
とろりとしたジェノベーゼソースの
緑のカーテンが一気に引かれる。

たっぷりのオイルとニンニク、
バジルが醸し出す濃厚なソースは、
細かなバジルの青みが絡みつく
穀物の甘みをしっかりと残したパスタと
口のなかで出会い、噛むほどに
うっとりと、とけ合う。

何度も押し寄せる陶酔にも似た
ジェノベーゼの濃厚な波を
繰り返し、繰り返し、
舌全体で絡みとめて味わううち、
大ぶりな帆立て貝を
忘れていたかのようにフォークに刺すと、
色濃く閉じ込められ凝縮された
潮の旨みが、
ソースの味わいを、さらに奥深く変える。
帆立の厚みある肉の繊維の
ほろりとした食感が、
インゲンとパスタの醸す
噛み心地のアンサンブルに
ぎゅっと重なったかと思えば、

インゲンがふたたび顔を出して、
五感の全てを楽しませるパスタが
またフレインしていく。

ご近所、神奈川・中央林間のイタリアン「Hal」。
食材の美味な邂逅に酔いしれる時間。


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