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リライト論[第一章]「リライト」について

一般の方にとっては、あまりなじみのない言葉かもしれない「リライト」について書きたい。
試みにYahoo!検索をするとウイキペディアをはじめ、「リライト」を
説明しているページはもちろん存在するが、ごく普通の方がブログや
ツイッターでよく使うような言葉でないのは、検索結果からでも分かる。
リライト(rewrite)という言葉は和製英語ではなく「書き直す」という
意味のれっきとした英語だ。一度書いた文章を書き直す。単にその意味なら、別に書く仕事をしている者でなくても行為の内容は想像できよう。

ちなみにウイキペディアでは
「記事や論文などにおいて文章を再度書き直すこと。推敲とは違い、
ある一定の目的を持ってほぼ全部を一から書き直すことを特に言う」と
ある。
この定義は、広告業界で言われる「リライト」の意味とは明らかに
違う。
今後、説明していくように結果的に「ほぼ全部を一から書き直す」
ことになる場合もあるのだが、基本的に広告業界で言われるリライトは
「元のコピーをちょっと変えるだけだから、そんなに手間はかからない」
というニュアンスが含まれる場合が大半なのだ。
私はずっとコピーライターとして仕事をしてきたので、エディトリアルの
世界や学者の皆さんの世界では、この定義が一般的なのかもしれない。
しかし、私がこのリライト論を書く動機となったのは、ひとたび広告業界で使われると混沌の度を加えるその定義にある。

そこで本論ではまず、私なりに「リライト」とは何かを定義し、
それと照らし合わせる構成で、現在、誤って使われている広告業界の「リライト」の用法について指摘してみたい。
と言っても、大きく捉えればリライトの定義は明らと言ってもよい。
要は「書き直す」という意味に限定すればよいのである。
では「書き直す」とはどのような行為か。
 “既に書かれた文章を直す”のだから、元の文章があるというのが
最低条件であるはず
だが、広告業界の人間の多くがこの原点を無視している(他業界ではどうなのだろう)。
だから混沌としてくるのだ。この “元の文章”を前提に、

広告表現における「リライト」を次章で定義したい。

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