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アムステルダムに移住するなら「アウト・ウェスト」へ!いつだって新しいものに出会えるとっておきのスポット20選

 起業、教育移住、SDGs、農業、インバウンド、ダイバーシティ、ワーク・ライフバランス、サーキュラーエコノミー、子どもが世界一幸せな国・・・ いろんなキーワードで注目され、最近移住者がますます増えているオランダ、またその首都アムステルダム

 ですが、「じゃあそのアムステルダムでどこに住めばいいの?」というと、そこまで細かい情報はあまり出てきません。アムステルダムは南北東西・中央と、大きく5つのエリアに分かれるのですが、今回は勝手に、僕が暮らす西地区「アウト・ウェスト」を全力でPRしたいと思います。将来のご近所さんを増やすために・・・!(カバー写真:De Hallen Amsterdam)

アウト・ウェストってどんな街?

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 僕が暮らすアムステルダムの西地区「アウト・ウェスト」は、アムステルダムの中心部「ヨルダン地区」の西に広がるエリアで、昔から移民の多い地区として知られています。

 以前は労働者階級が多く、治安があまり良くないイメージだったそうですが、2010年前後から再開発が進み、現在はオランダ人、そして「エクスパッツ」と呼ばれる駐在員など若い外国人、そして小さい子どものいる家族が増え、いろんな人たちが混ざるダイバーシティ溢れる場所となっています。

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 この地区が変わったきっかけがDe Hallen(デ・ハーレン)エリアの開発。もともと旧トラム(路面電車)の車庫だったところが複合施設に生まれ変わりました。

 中には、フードコート、映画館、図書館、カフェ、アンティークショップのほか、車庫の雰囲気を残すおしゃれなホテルも。2階にはオフィスやサービスアパートメントなどが入っており、2014年のオープン以来、多くの地元客や観光客で賑わっています。

 特徴的なのは、アムステルダム発のクリエイターたちによる手作りプロダクトを集めたセレクトショップThe Maker Storeと、デニムアパレルを作るための学校兼工房兼ショップDenim Cityがあること。毎月末には地元のマイクロメーカーが出店するマーケットも開催されていることから、クリエイティブな人たちが集まるエリアにもなっています。

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 まわりにはこのようなスポット、コミュニティに惹かれる人たちが住んでいて、アムステルダムのセンターまで歩ける距離にありながら、住む場所としても快適。

 ほぼ毎日、地産地消のためのマーケットが開催されるし、子どもが遊べる公園も多い。また、人気のカフェやレストランが店を構えるエリアでもあり、住民のダイバーシティを反映し、各国の本格的な料理が楽しめます。

 そんなアウト・ウェストの中でも、特に魅力的なスポットをピックアップしてご紹介します。

カフェ

 いいカフェが自宅の近くにあることは、僕にとって必須条件。忙しい毎日にゆっくりと流れる時間を味わえるし、人と会いづらいこの時期にも、つかの間のふれ合いを与えてくれます。また、地元経済に貢献し、コミュニティに属していることを確認できる場所でもあります。

Lot Sixty One

 以前、スペシャルティーカフェの記事でもご紹介しましたが、アムステルダムの人気カフェといえばここ。「カフェシティ」のアムステルダムを象徴するような場所で、地元の人も休憩中や買い物ついでに訪れます。ブラジルとエチオピアから取り寄せたコーヒー豆を特別なロースターで焙煎。毎月新しい豆も紹介されていて、トレンドも感じられます。訪れるたびに自分がアムステルダムに住んでいることを実感できる、地元愛を育む場所でもあります。

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Monks Coffee Roasters

 2016年にオープンしたスペシャルティーカフェ。特別に焙煎したコーヒー豆を地元のカフェに卸したり、バリスタの研修や焙煎機に関するコンサルティングサービスを提供したり、地元のカフェコミュニティにも貢献しています。

Berry Amsterdam

 ここで使われる材料はすべてオーガニック。静かな憩いの場として本や雑誌は置いてありますが、あえてWifiは提供していません。

文房具

Miscellaneuous

 編集者やライター、デザイナーのような手を動かす職業の人には文房具、ステーショナリー好きも多いのではないでしょうか。

 そういう人たちにオススメなのがこのお店。ヨーロッパの流行を感じられるシンプルでモダンな文房具や雑貨が並んでいます。雑誌『MONOCLE』と商品を共同開発するほか、MONOCLEが発行している雑誌も置いています。

 どうやらオーナーが日本好きのようで、波佐見焼のマグカップや神戸発のマッチ型お香「Hibi」など、日本のグッズも結構多い。海外のクリエイティブ層に日本のクラフトマンシップの今はどう映っているのか、いつもと違った視点で日本を見つめ直せる場所でもあります。

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食品・お惣菜

The Wine Spot

 アウト・ウェストのすぐそばにある、ワインのセレクトショップ。いわゆる王道ワインではなく、スペイン、ポルトガル、オーストリアなどのユニークなワインにスポットを当てており、15ユーロぐらいまでのお手軽なものを中心に取り扱っています。

 有機農法で作られたブドウを使い、自然な製法で作られた「ナチュールワイン」の取り扱いも多く、僕がこの種のワインにハマりだしたのもこの店のおかげ。割高なイメージのナチュールワインも、ここは10ユーロ前後から、クオリティの保証されたものを提供しています。

 トレンドを感じられる店でもあり、僕が「オレンジワイン」を知ったのもここ。「今度家で日本食パーティーをするんだけど、それに合うワインを教えて!」などと聞くと、気さくなポルトガル人オーナーが笑顔で優しく教えてくれる。とても信頼できて、つい通いたくなってしまうお店です。

Little Plant Pantry

 調味料量り売りのお店。油、粉、塩、豆、お茶、グラノーラ・・・ いろんなものが量り売りされていて、そのための瓶も購入できます。

 アムステルダムは環境に配慮した「サーキュラーエコノミー」の街。そんな都市に住んでいるからか、最近はどうしてもプラスチックゴミが気になってしまう。スーパーに行くと、使い捨てのゴミが大量に出てしまうため、最近わが家では、瓶持参で量り売りの食材や調味料を買うようにしています。

 冷蔵庫や食料庫の中にプラスチックトレーがずらっと並ぶよりは、ガラスの瓶が並んでいたほうが見栄えもいい。そういう環境に優しい生活をしたい人の食料庫と言えるのがこのお店です。店長さんも気さくで優しい。

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Salumeria Italiana

 イタリアン・デリカテッセン。イタリアン好き、おつまみ好きに欠かせないのがこのお店です。

 イタリアのパスタ、ハム、チーズ、ワイン、リモンチェッロ、焼き菓子、手作りのティラミスなどがそろい、ここに行くと「イタリア旅行帰りかな」というぐらい楽しい気分になれます。

 僕のオススメは、Finocchionaという「ワインサラミ」。ショーケースに入っていて、食べるとほのかな赤ワインの香りが。これとイタリアンワインを一緒に食すのが最高!

 しかも価格もとても良心的。おばあちゃん店長さんが優しく、訪れる度になんだか安心します。

KEMA

 コスパ最高の肉屋。オランダに住んでいると、日本食が気軽に手に入るわけではない。それなら、いっそのこと自分で作ってしまえという、料理好きの友人が足しげく通うお肉屋さんがこのお店です。

 意外とスーパーで売られていない豚ミンチもここでは調達可能。いまどきは生鮮食品をデリバリーしてくれるネットスーパーで買い物を済ませることも増えたけれど、お肉だけはここ。新鮮で美味しさが違う。

 このお店がある商店街・Kinkerstraatは、ほかにもユニークなお店がいくつもあって、アジアンスーパーの「Hong Kong Superstore」もよく利用していて、最近は新しくインド食材店De Indian Martもできました。

levain et le vin

 フランスのワインとパンの店。最近できたばかり、なのに開店以来、高い評判と人気を誇っています。

 ここで作っているパンはすべて天然酵母。ワインも小さなワイン農場でブドウ果汁だけで作られたナチュールワインが勢ぞろい。個人的には、シンプルなオリーブフォカッチャが好き。子どもたちもよく食べます(子どもって美味しいものに正直・・・)。

 環境に対する意識も高くて、ここではプラスチック製品を極力使っていません。

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カフェ・レストラン

Bar Centraal

 ナチュールワインが楽しめるワインバー。外で友達とワイワイ飲みたいときは、間違いなくこのお店。「ビオディナミック」と呼ばれる農法で作られる、ちょっとクセがあるけどユニークなワインをそろえています。

 ワインだけでなく、ここはチーズも絶品で、同じアウト・ウェストにあるKefというチーズの名店のものを提供しています。夏はテラス席が最高!

nNea

 アムスで(僕的に)一番美味しいピザ屋。昨年のオープン以来、ずっと盛り上がっています。店内のピザ窯で焼いた焼きたてのピザを、北欧風のモダンなインテリアの中でイタリアンワインと楽しめます。

 ここにしかないであろうユニークなメニューもあり、僕が「ヴィーガンピザ」を初めて食べたのもここ!ヴィーガンでなくても、普通にオーダーしたいくらい美味しかった。

 コロナ以降は自宅までデリバリーも頼めるので、ホームパーティーでも重宝してます。

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Spaghetteria

 アムステルダムで人気のパスタ屋。アムステルダムで6店、ユトレヒトで3店、ロッテルダムで1店を展開。イタリアからオーガニックの小麦を輸入し、本格的なイタリアの味を提供しています。

Lunchroom Wilhelmina

 コーヒーとサンドイッチのお店。「サンドイッチでこんなに感動することってあるんだ!」とびっくりしました。

公園

Zimmerterrein

 子どもがいる家族にとって、いい公園が家のすぐ近くにあるのはとても大切(大切どころか死活問題・・・)。だけどいかにも都会な、せまいアスファルトの公園では、子どももすぐに飽きるし、大人も楽しめない。

 そこで、とても気に入っていて助かっているのが、わが家は「動物公園」と呼んでいるこの場所。ただの公園ではなく、ウサギ、羊、ヤギ、豚、ニワトリ、モルモットなどがいる小さい動物園がついています。

 子どもの年代別に遊具スペースが分かれているのも嬉しい。コンパクトなイベントスペースの貸し出しもやっていて、先日は保育園の友達がここで誕生会を開きました。アウト・ウェストに暮らす子連れ家族、ご近所さんが顔を合わせる場所にもなっています。

 ・・・と、やや食べ物に偏った紹介になってしまいましたが(苦笑)、これらのスポットに共通しているのは、「常に新しいなにかを身近で発見できる」ということ。それはきっと、アウト・ウエストが多様性に富み、新しいものに対して柔軟で、アムステルダムのよさが凝縮されているようなエリアだからこそ。

 それでいて、食べ物にしてもプロダクトにしても、作っている人の顔が見え、地元やコミュニティを大切にする自然体な人たちが多い。だからきっと、家族で安心して住めるのだろうと思います。

 アムステルダムに来られたら、ぜひアウト・ウェストへ!一緒にお茶しましょう。そして移住された暁には、ご近所さんになりましょう。

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。
構成:山本直子
フリーランスライター。慶應義塾大学文学部卒業後、シンクタンクで証券アナリストとして勤務。その後、日本、中国、マレーシア、シンガポールで経済記者を経て、2004年よりオランダ在住。現在はオランダの生活・経済情報やヨーロッパのITトレンドを雑誌やネットで紹介するほか、北ブラバント州政府のアドバイザーとして、日本とオランダの企業を結ぶ仲介役を務める。

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