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おばあちゃんとの思い出、ほうれん草のゆで汁

わたしの両親は共働きで帰りも遅かったため、小中学生のころは学校から祖母の家に帰宅していた。
夕飯のおかずを我が家の分も祖母が作ってくれることも多く、幼少期から料理が好きだったわたしは、よく祖母が料理する姿をこたつむりになりながら観察していた。(台所は火を使っていると危ないから、と入らせてもらえなかった)

母は料理が得意ではないのだが、祖母は一通りのものは作れ、食の知識も興味があるタイプだった。
どこから入手した情報かは定かではないが、(恐らく午後は○○思いっきりテレビの影響はかなり受けていたと思う)手作りきなこに黒すりごまを混ぜたり、おやつに松の実を(ちょっとむりやり)食べさせてきたりもした。
多分祖母も物事を突き詰める性格だったんだろうと思うが、店で食品を買うだけでは飽き足らず、庭の畑で色んな種類の植物を育てては収穫し、季節のものを作っていた。
梅干し、ドクダミ茶、よもぎ餅、あんずジャム、柿の季節には干し柿など作ったり、「栄養価が高いから」と言って烏骨鶏を育てて卵を採ったりしていた。
(立派なキウイの木があったのに、毎年実をつけても食べずにいた気がする。なぜ…。)

小学生になると包丁を持つことが許されたので、祖母とともに干し柿用の柿を延々とむいて手をしわしわにさせたり、大きさがまばらで落ちた際に傷んだ部分もあるあんずの皮をむいたり、一晩水につけた梅のがくを採ったりとしたものだ。
どくだみは臭かったのでお手伝いの気配を感じると逃げていたのもいい思い出である。

そんな祖母がある冬の日、ほうれん草の胡麻和えを作るためにほうれん草を湯がいていた。
「葉物野菜は茹でたらこ~~~~んなちっちゃくなっちゃうんだよ、だから生野菜は食べた気になっちゃだめ。」と毎回言うのでほいほいと受け流していたら、その日は続けてこう言ったのである。


「ほうれん草のゆで汁で手を浸すと、あかぎれ予防になるんだよ。」


多分小3、4くらいのころで、そのころにはすでに料理の雑学は大好物だった私は、調理に使った水の有効活用は米のとぎ汁以外にもあるのか~~~!!!と大層びっくりし、心が躍った。

実際粗熱をとったゆで汁に手を浸してみても正直効果はよく分からなかったけど、おばあちゃんて色々知っててスゲーや!と幼い私は祖母を誇らしく思った。

今日久しぶりに自宅でほうれん草を茹でている際にこのエピソードを思い出し、確か夜寝る前が一番いいって言ってたよな…と記憶をたどりながら手を浸したのが先ほどのこと。

浸しながら、祖母との思い出を懐かしんでいたのだが、ふと何の成分があかぎれに効くのだろうと考えてみた。

ほうれん草と言えば尿路結石の原因となるシュウ酸カルシウムが多く含まれる。
このあたりでちょっと怪しい雲行きを感じ始めた勘のいいガキことわたくしである。

…山芋やさといもをさわったときのかゆみの原因って、シュウ酸カルシウムだよな…?

幸い私は皮膚がめちゃめちゃに強く、山芋等でかゆみを覚えたことがないので全然問題ないのだが、おばあちゃんはいったいどこからこの知識を仕入れてきたんだ…みのさんが言ってたんだろうか…。

もしかするとシュウ酸以上に何か効果があるのかも、と思いGoogle先生に確認してみたが、残念ながらほうれん草のゆで汁が手荒れに効くという情報はなく、代わりにシミ抜きに有効という記事(これはちょっとへえ!と思った)、ゆで汁はシュウ酸含むから再利用しちゃだめですよ、という注意喚起の記事ばかりが出てきた。
ほうれん草 ゆで汁 かゆみという検索もされており、もしかしたら、もしかしなくても、このおばあちゃんの豆知識は、まあなんか、誤情報の…可能性が…高い…です…。

品種改良によりごぼうは酢水ではなく水でさらせば十分アクがぬけるようになったように、もしかするとほうれん草も…、、いや…誤情報か…。誤情報だな…。

変に私が大きな声で情報発信する前に気付く知識を持ち合わせていたことが不幸中の幸いである。
おばあちゃん、あなたがたくさん色んなことを教えてくれたおかげで孫は立派な料理オタクになりましたよ。

まあそんなことがあったので、懐かしみつつ書いてみた次第です。

アッ…そうだな、祖母が作った梅干しはそれはそれはうめぇものでした。

それではおやすみなさい。

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