スクリーンショット_2019-11-10_0

海外起業から初めて、東京で起業し、なぜブロックチェーンを使ってbajjiを作ろうと思ったか、その3つの原体験


いろんな場面で聞かれるので、今日は原体験について書いてみたいと思います。

そもそも、なぜこのサービスを思いついたのか。3つの原体験

きっかけとなる原体験は3つあるのですが、その1つを書いてみたいと思います。

2010年3月のことです。当時twitterを使い始めた私は、twitterの魅力に虜になっていました。
わずか140文字程度のテキストのみを投稿するというこのシンプルな機能に。世の中では、まだいったいその何が凄いのか、まだ理解されていない時期でした。そんな中、それでも世界中でユーザーは増えていきました。
どういう人が使っていたか?

最先端に敏感な人、そういうものを活用して、一歩前に進もうと動いている人だけが使っている。

そんなタイミングでした。出張で、オランダとフランスに行く機会がありました。私は出張の1週間ほど前に、twitterで、オランダとフランスに住んでいそうな日本人(ツイートからの推測)30人ほどに、「来週出張でいくので、コーヒーを飲みながら話せないか?グローバルで活動している日本人とディスカッションがしたいのです」というメッセージを送りました。

突然そんなメッセージが来たので、中には訝しんだ人もいたと思います。30通ほど送ったダイレクトメッセージの8割以上は無視されました。しかし、運良く、何人かの方が返信をくれました。
結果として3人と私は出会いました。

1人は、アムステルダムで建築家として起業していた吉良森子さん。
まさかオランダのアムステルダムに、女性が建築家として起業し、そこに根を張り、素晴らしい建築デザインを提供している。そんな人がいるとは思いませんでした。

2人目は映画監督の岡本珠希さん、
私が10歳のころから志している映画監督。岡本さんは、ロケハンをしながら、見つけた場所のフィーリングに合わせてシナリオや展開を考え創っていくという前衛的な撮影手法の映画監督でした。日本人で、ヨーロッパを股にかけて活動している女性映画監督がいる。そんな人がいるとは思いもよりませんでした。

そして、最後はフランスのパリでした。スタンフォードでデザイン志向を学んだ後、パリで就職していた鈴木篤史 さん(現在は京都工芸繊維大学の特任准教授)でした。
鈴木さんは10歳からハワイに単身留学(10歳ですよ!)し、高校はサンフランシスコ、大学はスタンフォード。出身は京都。そんな生き方をしている若者がいるとは、思いもよりませんでした。

私は、大小関係なく、たとえ1mmでも世界を前に進めるべく、動いている人のことをイノベーターと呼んでいます。

そして、twitterによって、私はたった30通のダイレクトメッセージを送るだけで、1週間でこの3人のイノベーターを発見したのです。
いや、発見したというのは失礼にあたります。その3人の方は、もうその場所で世界を変えるべく動いていたのですから。「巡り会うことができた」というべきだと思います。
この3人のイノベーターとの出会いは、私の人生を変えました。


世界にはまだ多くのイノベーターがいます。その土地で、その場所で、その領域で、命をかけて、修羅場を潜りながら、その場所の多くの人に良い影響を及ぼし、地球の発展を一歩二歩と推し進めているイノベーターがいます。
今のウェブでは目立たないイノベーターがまだまだいる。その人たちと巡り合いたい。

あなた(あなたの会社)を変革してくれるイノベーターは、世界のどこかにいる個人なのです。その人との巡り合いを提供したい。
実は身近なところにいるのです。まだ巡り合っていないだけで。そんな巡り合わせをサービスとして産み出したい。それがbajjiを考えた原体験の1つ目です。

画像1

当時訪問したコワーキングスペース(2010年)

海外で起業している時に感じた2つ目の原体験

2010年、そうしたイノベーター3人と巡り合った私は強烈に、「海外で勝負しなければ」という思いを強くしていました。

そこから2年後、2012年末に私はシンガポールで起業しました。そのイノベーターとの出会いがあったからこそ、最初の起業の地を海外に選べたのです。

最初の事業は、アジアにイノベーションの聖地を作りたいというビジョンのもと、the CHAOS ASIA というイノベーションピッチイベントをプロデュースしていました。その場所を通じて、30カ国を超えるイノベーター達と出会う機会を作ることができました。その世界の友人達は今でも私のグローバル展開を支えてくれています。

その後、ECサイトや飲食店や、バリ島にコワーキングスペースなどいくつかの会社を創業している中で、「シンガポールにいる小林」というのが少し広まり、日本から、私に会いに来るビジネスマンがたくさん来ました。多くは大企業の方々でした。

現地視察という出張で、市場の状況、今後の可能性、事業展開で気をつけるべきポイントなど、1時間2時間とヒアリングに訪れました。

1年で50人(社)以上はあったかと思います。

けち臭い話ですが、正直、そうしたただのヒアリング訪問には辟易していました。ヒアリングしてきたところで、何もしない、日本に戻っても何も決めない。いわゆる俗に言う大企業病というか、失礼ながら、ただの息抜きにしか見えない出張に思えました。

その1時間のヒアリングで語る話は、私が海外で起業し、数年悶え苦しんだ中で見出したものです。聞いたのならば、そこで得たものを活用して、死ぬ気で事業を推進して欲しい。

逆に言うならば、自分との出会いで、その人の人生を変えるところまでの影響力を発せられなかった、とも言うことができます。

こういう知り合いをみなさんは持っていないでしょうか?

何か困ったことがあると、「ちょっと聞いてください!」といって、お茶に誘う。1時間2時間、時には何時間も話にのってくれ、話している間に、心がスッキリする。

そんな誰からも相談される人。

こういう人の、「人類における価値」は過小評価されていると思うのです。その人とコーヒーを飲みながら話す1時間2時間で、相談した人は心が洗われる。そして翌日にはまた力がみなぎり仕事に打ち込める。

こう言う人の1時間というのは、大きく人類に貢献していると思うのです。しかし、いま、それがいったい何回あって、何人いて、というのが、何も、本当に何も、データとして蓄積されていない。

人類における影の功労者だと私は思っています。私の話はけち臭い話で片付けてもらっても構いませんが、そうしたリアルで共有する時間によって、人類に貢献している人にスポットライトを当てたい。

それが、bajjiを作りたいと思った2つ目の原体験なのです。

画像2

イノベーターを想定外の鉢合わせさせるためのイベント、the CHAOS ASIA(2013年)


本当の期待と繋がりが知りたい、という3つ目の原体験

シンガポールで6年弱住んでいる間に、大企業だけでなく、多くの若者も私に会いにきました。

私が学生のころは、バックパッカーで数十カ国旅してまわったのですが、当然ながら、スマホがない時代。途上国を、サバイバルし、新たな世界を見るので精一杯でした。

最近の若者は違います。SNSを駆使し、世界各国で事業を起こしている日本人を訪問しつつ旅をしている。そんな若者が数多く、私のところを訪れました。

今思えば、そうして能動的に旅をしながら、私のところを訪れたすべての若者に、私は「小林が期待し応援している」というバッジを贈っておきたかった。

その後、起業したり、NPOを作ったり、大企業で新規事業を立ち上げたりと、活躍している若者が数多くいます。そういう動きを知った時は、本当に嬉しい気持ちになります。

私との出会いが、彼ら彼女らの人生に影響を及ぼしたことを残したかったという自分勝手な気持ちも、もちろんあります。

一方で、こういう言い草をよく耳にします。

「○○くんは、私がビジネスの基礎を教えたんですよ」
「□□さんは、もう10年来の付き合いで、なんでも頼めるんで言ってください」

これは、個人的に私は最も嫌いなタイプです。そんなことより、その人自身のことが知りたい。逆パターンで、こういうこともありました。「△△さんから、小林さんのことはよく聞いていて」と言って私と名刺交換をする。その△△さんは、私はほぼ知らない人だったりする。

これだけウェブで繋がった世の中にも関わらず、本当の人と人との付き合い、人間関係が蓄積されていかない。そういうハッタリをかます人があとを絶たない。facebookで5000人友達がいても、人によっては繋がりが希薄だとしても、どんどんと増やす人もいれば、本当の強い関係だけを蓄積している人もいる。それは画面上ではわかりません。

また、共通の友人が出たとしても、数年コンタクトをしていない、残念ながら忘れ去られた関係も、密な親友の関係の隣に表示される。拠り所とするデータは、いまのソーシャルウェブ社会には、実は存在しないのです。

出会ったこと。そして、そこからお互い切磋琢磨したこと、お互いを称賛しあったこと、それが実態と即した形で蓄積されていかないものか。データとして残らないものか。これが、3つ目の原体験となります。

画像3


海外で戦う若者をけしかけるKUROHUNEというイベント準備中の様子(2013年)

無料で無制限からの脱却

そこから10年、facebookやtwitterが普及しました。世界で10億人を超える人が使っています。それだけの人がすでに繋がっているので、十分ではないか。そう思う人もいるかもしれません。確かに、今のSNSは世界の人を以前よりは繋げることに成功しました。様々な情報が瞬く間に世界に伝搬していきます。
しかし、今、大きな問題がそこにあると感じています。すべての情報が、無料で無制限に配信され、拡散されているためです。大量のユーザーがポストする大量の情報。繋がっているようで、実はノイズだらけ。自分にとってのイノベーターを見つけることが、非常に難しくなっていると感じています。twitterで突如ダイレクトメッセージを送る人を見つけることはもはや叶いません。

Facebookのタイムラインは、facebookが何かしらのロジックで計算された限られた友人のポストで埋め尽くされています。それは世界を表していないし、自分にとっての新しい可能性を見つける糸口にもなりません。それは世界を見ているようで、とてつもなく小さな村の回覧板のような状態になっているのではないでしょうか?

bajjiは、あなたが、確かに歩んできた一歩一歩、日々大なり小なり挑戦していることを蓄積し、見える化するサービスに出来ればと思い、設計し、開発し、プロモーションをしています。
そのために、リアルで、対面で会ったことをブロックチェーンに刻む「エンカウント」
友人やビジネスパートナーの活躍を、称賛し合うことを残すために、bajjiを贈る、bajjiをもらう、という機能を考えました。

人に対しての思いというのは多様だし、多様であるべきだと考え、bajjiは数百種類用意したいと思っています。

スクリーンショット 2019-11-10 0.05.40

いま世の中には、100年ほど進化がなく、同じものを使っているものがいくつかあります。
例えば、名刺と履歴書です。

名刺は交換したところで、その人の歴史や、人となりは見えてきません。

履歴書も読み込んだところで、自社にマッチするかどうかは何もわかりません。自社にとって必要なイノベーターかどうかは、履歴書を100回読んでも見えてきません。

bajjiは、そんなオールドファッションな名刺や履歴書を再発明したいと考えています。

自分を変える、未来を変える、イノベーターともっと出会いやすくすることで・・・

最後までお読み頂きありがとうございました! シェア頂けたら嬉しいです。 もし宜しければ、今後の記事執筆のためのサポートをお願いいたします。