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おもてなしを嗤う(2010年代の記憶)

「おもてなし」は、メディアの作り上げた実態のない幻想だと思います。

私が、2010年台の日本で、この目で見たもの。

港区の某画廊は店先に店頭に「道案内はしたくありません」と手書きで張り出し、浅草の仲見世では商売人がイートインのない店先で食品販売をしておきながら、食べ歩きはやめろ、ゴミも捨てるなの注意放送をしていました。

観光客向けに膨大なもんじゃ屋が並ぶ街の某もんじゃ屋は「トイレは貸したくありません」と、デカデカと張り紙をし、客に横柄な口を利く銭湯では、「日本語をしゃべれない方はお断り」と店頭に平気で張り出していました。

大阪の有名なカニ料理屋に、台湾人観光客と一緒に行ったときには、予約時間に遅れたことで、店員の中年女性に鬼の形相で罵倒されました。

アジア人観光客と一緒に観光をしたことがある方は分かるかもしれませんが、外国人観光客は、ありとあらゆる場所で、失礼な態度を取られます。

商売人だけではなく、市民にも「おもてなし」の心はまったくありません。

世界から観光客が集まれば、観光公害だ、バスに乗れないだ、祇園の情緒が失われただ、銀座は中国人だらけだと、悪態をつく始末。

バブル崩壊後、リゾートや温泉街は廃墟になり、地方銀行は潰れました。観光産業が不況に沈滞していたのは、ほんの少し前の話です。

そんな状況を助けてくれたのは、外国人観光客ではないのでしょうか。日本に関心をもって、安くはない費用をかけてわざわざ観光に来る外国人に対し、よくまあ、あれだけ悪態をつけたものだと感心します。

「おもてなし」とは、ロボット口調のコンビニ店員のことを言っているのでしょうか。予約の取れない寿司屋の横柄な大将や、アメリカから輸入したテーマパークのキャストのことでしょうか。

一体、こんな国のどこに、「おもてなし」があるのでしょう。

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