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趣味は暮らし うるわしき内に棲まう  Mauriceを知る 

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Mauriceを知る

Mauriceは都会の古くからある高級住宅街の端に暮らしていた

10数年前から顔は知っていたがあいさつ程度で深い付き合いはなかったが
共通の友人が亡くなって葬儀のことで連絡が来た

亡くなった友人はお浄土へ行くことを切望していて

60代半ばで家族も家も綺麗に整理して枯れるように亡くなった

僅かに残ったセンスのいい遺品を整理する話で、初めてMauriceの家にいった

自宅にある事務所に通された

Mauriceのoffice

そこはブラインドから入る光は美しくコントロールされて
壁や家具に心地よい陰影を落としアールデコ空間を現していた

「まるでパリにいるようだね、日本じゃあないみたいだ」

「えっ、そうかい」

建築家として見ても半端じゃないアールデコ空間

ヨーロッパの光が再現されている

日本の建築家じゃあ、これは無理だ

「ヨーロッパに長く住んでいたのかい?」

「若い時にフランスとブリュッセルに移住していたんだ」

「なるほどね」

それから月に一度ここを訪れて1時間ほど話すようになった

お互いに好きな車のこと、建築のこと

美味しい料理や服のこと

食器や家具のこと

ちょっと工夫をすること

なんとも上質な衣・食・住の話をしていた


お浄土に行った友人の一周忌に

強いお酒を美しいグラスで一杯いただいた

iMacのスクリーンセイバーには美しい写真が代わる代わる映し出されている

Mauriceが撮りためた美しい写真だ

若かりしころはフォトグラファーで

新宿Nikon Salonで個展も行ったそうだ

なるほど

道理で腕と感性は確かだ


「ねえ、Maurice

あなたの写真と私の文章でフォトエッセイでも始めない?

Turkeyの一周忌だし彼も喜ぶんじゃないかな」

「確かにセンスのいい人だったし、お洒落な話なら喜ぶかもね」


「うまくできたらKindle出版でもして、

雨上がりのノルマンディに射す冬の低い陽射しを見に行こうよ」

noteでノリスとモリスのフォトエッセイを始めることにしました

よろしければおいでください

あっ、MauriceもnorisもTurkeyも
日本人だからね




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