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「猫が行方不明」クラピッシュ監督の映画が好き

Bonjour! 東京から陸サーファー的にフランスを語るわたくし、新行内です。

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今日は私の大好きなフランス人映画監督、セドリック・クラピッシュの作品について書きたいと思う。

みなさんはフランス映画にどんなイメージを持っているだろう?
「洗練されている」「哲学的」、「難解で暗い」「見ている間に寝てしまうくらい退屈」「ラストが曖昧」などなど、熱烈なフランス映画ファンがいる一方で、アンチも多いのではないかと思う。実際日本で人気が出る洋画はほぼアメリカ映画。日本で爆発的にヒットしたフランス映画を聞かれてもほとんど思いつかない(アメリとかグラン・ブルーとか?これらもまあまあ古い)。

ストーリーが明快で、元気が出る、そしてお涙頂戴ではないフランス映画をお探しならばおススメなのがクラピッシュ監督なのだ。

まずは監督のプロフィールから。

以下Wikipediaより引用

セドリック・クラピッシュ(Cédric Klapisch, 1961年9月4日 - )はフランス出身の映画監督・脚本家である。ヌイイ=シュル=セーヌ出身。高等映画学院の受験に失敗した後、ニューヨーク大学で映画制作を学ぶ。1985年にフランスに戻り、レオス・カラックス監督の『汚れた血』の照明部などで働いた。同時に短編映画も制作。1992年の『百貨店大百科』が初めての長編映画となり、セザール賞にノミネートされて注目される。1996年の『猫が行方不明』ではベルリン国際映画祭の映画批評家協会賞を受賞。毎回自作にワンカットほど顔を見せている。ロマン・デュリスなど、同じ俳優をたびたび起用することでも知られるが、特にジヌディーヌ・スアレムは全ての作品で顔を見せることで知られる。

私が最初に観たクラピッシュ作品は「猫が行方不明」だ。

この1本で完全にノックアウトされてしまった。

(予告編、英語字幕のものしか見つけられず)

この映画は1996年に制作された。原題はChacun cherche son chat(直訳すると、「みな自分の猫を探してる」)。

バカンスに出かけるために飼い猫グリグリを預けたいクロエ。やっとのことで近所に住むマダム・ルネに預けることができて一安心だったのだが、バカンスから帰ったクロエはグリグリが行方不明になったことを知る。

舞台はパリ11区。再開発の波に押されて古い建物が壊され、いわゆる「おしゃれな街」に変貌を遂げつつある撮影当時のバスティーユ界隈の住民たちの交流の物語だ。

クロエはゲイの友人ミシェルとアパルトマンをシェアする現代っ子。そんな彼女が猫探しを通して独居のおばあちゃんたちや、気取らないジモティーな面々と触れ合っていく。

封切当時19歳だった私は、この映画を観たことで翌年のパリ短期留学を決めたと言ってもいい。アルバイトを頑張り、語学学校の学費を貯める原動力のひとつになったのがこの作品である。

キャスト、演出、音楽、そして作品のフィロソフィー。どれをとっても素晴らしく、面白い作品だった。

クロエ役のギャランス・クラヴェルは今でも私のパリジェンヌのアイコンだ。

次に観たのは「青春シンドローム」だ。

原題のLe péril jeune は Le péril jaune(黄禍)をもじったもの。75年のパリ。リセに通う男子5人組の青春ドラマ。デモにドラッグ、ロックにヒッピー。

とてもじゃないが優等生とは言えなかった彼らが、再会したのはなぜか産院の待合室だった。

主人公トマジ役のロマン・デュリスはこの作品以降ほぼすべてのクラピッシュ作品に出演している。スーパーハンサムというわけではないけれど魅力的な俳優である。

この作品は監督の半自伝ともいわれている。監督もきっと仲間たちとこんな青春時代を過ごしたのだろう。悪ふざけやリセの教師たちへの口応えなど、セリフに嘘がない感じがする。この時代のパリで、しかも男子に生まれたかった!と当時の私は思って観たものだった。今じゃ自分の息子が彼らと同じ年頃になっているのだから感慨深い。

そしてご覧になった方も多いであろう、青春三部作と呼ばれるシリーズに突入していく。

まずは「スパニッシュ・アパートメント」原題 L'Auberge Espagnole

ヨーロッパの交換留学制度を使って、スペインはバルセロナの大学院に通い始めたグザヴィエ。彼がルームシェアをするヨーロッパ各国からの留学生たちと織りなす人間ドラマである。個人的に、すごく共感できる作品。留学生同士の友情や恋愛模様に「留学生あるある」が満載だ。グザヴィエ役はもちろんロマン・デュリス。

そして「ロシアン・ドールズ」Les Poupées russes

スパニッシュ・アパートメントで出会った面々との再会あり、グザヴィエのなかなか相手が定まらない恋愛ありの1本。イザベル役のセシル・ドゥ・フランスがすごくいい演技をしている。

三部作完結編「ニューヨークの巴里夫」Casse-tête chinois

ロシアンドールズから10年、40歳になったグザヴィエはパリで作家として成功しつつあるが、妻ウェンディがニューヨークで出会った男性と恋仲になり、子供たち2人を連れてニューヨークへ行ってしまう。こどもたちを追ってニューヨークに住み始めるグザヴィエだが、いろいろな厄介ごとに巻き込まれてしまう。典型的なフランス人グザヴィエがニューヨークというさまざまなルーツを持つ人たちのるつぼで、恋に生活に悪戦苦闘する姿は同世代の私の「まだまだやれるぜ!」魂に火をつける。

観た後に前向きになれる作品を撮り続けるクラピッシュ監督の今後の活躍が楽しみである。

それでは À bientôt !

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