B線TNS日記 55 散歩の効能
某月某日 TNSにて
先日、私のネット依存気味の毎日について書いた。あの日は朝からいろいろ考えることがあって、すごくマイナス思考になってしまっていた。
仕事がなくて、子供たちの世話も彼らの成長によってすることが激減したので、自由な時間が日中にできるようになった。
その時間をどう過ごしていても、自分の無力さに対する怒りや、世の中でひとり取り残されてしまうような不安や焦りが頭にちらついている。そういう日が続くと、いつもはできない口内炎やタチの悪いものもらいが出現する。
昨日は朝から少し遠いパン屋さんまで歩いた。
天気も良く、あまり寒すぎずに快適な散歩日和だった。
きちんと化粧をし、スウェットではない服を着て水筒を入れたリュックサックを背負って出かけた。
自分の重さを片足ずつに感じながら歩きはじめる。右、左、右、左。その足の裏への圧迫から、自分の血が体中に向けて押し出される感覚を覚える。
停滞していた体中の気に流れが生まれる。心臓は少し早く打ち始め、肌にはうっすらと湿り気を感じ始める。
風や街の匂いを感じながら歩を進めているうちに、頭から離れなかった心配は五感から取り入れられた新しい情報に上書きされて、初めからなかったことにされる。
数キロ先のパン屋さんに着いた時、朝食をほとんど摂らなかったこともあって、私は腹ペコだった。パンを買い、近くの公園のベンチに腰かけてパンを齧った。公園にはいろいろな人たちがいて、思い思いに過ごしていた。小さな男の子がこちらに歩いてきて、私に何か話しかけたそうにしていた。我が子たちにもこんな時期があったなと、思う。
少し早い昼食を済ませて、また家路へと歩き出す。
帰り道、店で働く人、道を掃除する人、体育の授業を頑張る中学生たち、いろいろな人の姿を見た。そのたびに断片的な考えが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消える。あの人たちから私はどう見えているのだろうか。
途中スーパーで夕飯の買い物をして家に着いた時には、多少疲れているものの、心はとても軽くなっていてとにかく夕飯の支度を早めに始めようと、すぐに台所に入った。
料理をしながら、散歩の効能について考えていた。
こんにゃくのあく抜きをしている時に、次男が元気に帰ってきた。
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