In my bag あとがき的なもの
英語に、" It's in the bag." というスラングがある。「準備ばっちり」とか「心配いらないよ」という意味でつかわれる。確かに必要なものがきちんと詰め込まれたバッグは私たちに安心と自信を与えてくれる。
今回短編5作を連載した小説「In my bag」では、私と同世代の主人公さなえが、小学生の頃から母になるまでに持っていたバッグをテーマに書いてみた。
(こちらのマガジンで読めますので、ぜひ読んでみてください!↓)
この作品はあくまでフィクションだが、各シーンでさなえがバッグに入れていたものは、私がその時代時代に入れていたものにかなり近い。みなさんのバッグの中身と比べてどうだっただろうか、興味がある。
興味があると言えば、人は他人のバッグの中身が気になる動物ではないだろうか?
昔読んでいた雑誌では、時々「○○のバッグの中身、全部見せます!」的な特集が組まれていた。
スタイリストさんの私物はセンスが良く、おしゃれなものの宝庫だったし、女子高生の通学カバンにはソニプラで買った外国製の文房具やお菓子が入っていて、それをうらやましく思ったものだった。(Tikky のシャープペン、ハリボーのグミなど)
バッグの中身はその人を表していると思う。どんな職業で、どんな性格で、どんな趣味を持っているのか。見た目だけではわからなくても、バッグの中身を見れば知ることができるような気がする。
さなえのバッグについて言えば、
1話のレッスンバッグには、母親が準備したものだけが入っていた。
2話の学生カバンには、母親や学校への反抗を示すものも入っていた。
3話のエディターズバッグには、将来への不安や自己実現への悲願を表すものが入っていた。
4話のクラッチバッグには、何か吹っ切れて刹那的なものだけ入っていた。
5話のマザーズバッグには、自分よりも大切な人のためのものが、きれいなものも汚いものもいっしょくたに入れられていた。
こう整理してみると私はバッグという小道具を使って、ひとりの女性の心の変遷を表現したかったのだと改めて思う。
読んでいただきありがとうございました。
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