(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
検察による冤罪事件の被害者たる元厚生労働事務次官村木厚子さんの著作です。
以前、podcastで村木さんの穏やかながらも理路整然としたお話ぶりを聞き、一度その著作を読んでみたいと思っていました。
期待どおり、「まえがき」からいきなり印象的な言葉が飛び込んできました。
村木さんは、自らが37年間従事していいた「官僚」を「国民の願いやニーズを制度に変える翻訳者」と “意味づけ” ていらっしゃいました。なるほど!
また、国としての変革スピードを加速させる方法として、村木さんはこう語っています。
至極、納得ですね。
このコメントに代表されるように、本書で示されている村木さんの指摘はとても素直に腹落ちできるものです。
「第3章 日本型組織で不祥事がやまない理由」の章では、こういった指摘がされています。
これも「なるほどそうだ」と思いますね。こういう “言い訳” 的な言葉はつい使ってしまいがちです。
それから、キャリア官僚として入省してからの「お茶くみ」に係る村木さんの考え方。これも人柄が滲み出ます。
巻末の「解説」で読売新聞の猪熊律子さんが、“村木さん流の改革” をこうまとめてくれています。
さて、本書を読み通しての感想ですが、村木さんの人柄そのもののような “邪心” を一切感じさせない近年では稀な著作だと思います。
語り口も至って自然体で穏やかで、そこに開陳されている考え方そのものがとても “真っ当” なんですね。