サンデル教授の対話術 (マイケル・サンデル)
「ハーバード白熱教室」で大いに話題になったM.サンデル氏の教授法について、氏自らが語ります。
本書の後半は、サンデル氏と交流の深い千葉大学小林正弥教授によるサンデル氏の講義術の解説となっています。
さて、最も気になる、サンデル氏の「ソクラテス方式」と呼ばれる対話中心の授業スタイルの誕生の背景についてですが、本書の前半のインタビューの中でこう語っています。
さらに、この教授法の目指すところについて、サンデル氏はこう続けます。
自己と他者との真摯な思索の往還ですね。
この「往還」がまさに「対話」という形で行われるわけですが、サンデル氏が、プラトンの著作である対話篇に顕れる「ソクラテス」の方法と自らの技法との違いについて触れているくだりをご紹介します。
といはいえ、もちろんサンデル氏も、講義の目的を意識しその論点を目指した質問を発しているわけですから、ある種「誘導的質問」があることは認めています。
そういう方法をとることにより、「最高の教育とは、自分自身でいかに考えるかと学ぶことである」というメッセージを強く発信しているのです。
さて、本書の感想ですが、前半のサンデル氏へのインタビュー形式によるサンデル流講義法の要諦や今日における哲学的思考の勧めを語っている章はとても興味深かったですね。
ティーチング・フェローによるセッションとセットにしたハーバードの教育方式も大いに参考になりました。
ただ、反面、小林氏による後半の「日本版白熱教室」へのチャレンジのくだりは、具体的で有益なTipsも紹介されてはいるのですが、少々冗長な感は否めませんでした。そのあたりちょっと残念です。
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