不思議で美しいミクロの世界 (ジュリー・コカール)
(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)
ちょうど直前に「細胞」の仕組みについての本(「細胞の中の分子生物学」)を読んだばかりだったせいもあって、いつも行く図書館の新着本の棚で目に付いたので手に取ってみました。
電子顕微鏡があきらかにするミクロの姿はその仕組みの神秘さに呼応した精緻さで、「人工の拙さ・味気なさ」を改めて感じさせます。
本書は写真集なので、内容を紹介するのに説明文を引用してもあまり意味ないのですが、気になったコメントを2・3、書き留めておきます。
まずは、「砂の粒」の写真の解説文。
「砂」といっても単一の鉱物ではありません。まさに海と陸とそこに住む生物の歴史の堆積だということですね。
この砂の場合であれば100倍程度の倍率で一粒一粒の特徴を判別することができますが、細菌類や微細な寄生虫になると15,000~80,000倍程度に拡大しないと構造までは識別できません。そこまで拡大しても、生命体は精緻で複雑でかつ機能的な姿を現すのです。
本書の監修者国立科学博物館館長林良博氏は巻頭でこう述べています。
著者のジュリー・コカール氏は、本書に収録された数々を写真を見ることによって、今まで考えたこともないような疑問とその答えのヒントが得られると語っています。
この「顕微鏡で観察された地球」という表現は印象に残りますね。
確かにミクロの世界の集積が “地球” なんですね。